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佐藤友哉「1000の小説とバックベアード」(上)

2008-07-09 16:08:44 | ノンジャンル
 今朝の朝日新聞に、地層に含まれる花粉の種類を分類した結果、その地層ができた時の気温を推定することに成功し、今から1万5千年前あたりに100年で7度も気温が上がっているのが分かったという記事が載っていました。その頃の気温の上昇で氷が溶け海面が上がったとしたら、日本列島が大陸と離れた時期に近く、海底遺跡などの謎も解けるかもしれません。今後の展開に注目です。

 さて、去年の年末の朝日新聞の特集「2007年 心に残った一冊」の中で推奨されていた、佐藤友哉さんの「1000の小説とバックベアード」を読みました。
 第一章「約1万4千册の本たちから遠く離れて」僕は、23才から続けていた、大勢で1人の依頼人のために文章を書く片説家の仕事を、方向性の違いを理由に27才の誕生日にクビになり、そしてそのショックから文字が書けなくなります。
 第二章「ジャポニカ学習帳とトーカイグラフィック学習帳の交換」翌日、文字を読むこともできなくなっていることを知り、文房具を捨てます。そこへ元依頼人・配川つたえの姉ゆかりが訪れてきて、1編の小説を書き、妹への片説を読ませてくれ、と頼まれます。私は前者の申し出は、他に読者がいなくても私が読むという彼女の言葉を信じて受諾し、後者の申し出には、妹が失踪した行方を知りたいと言うので、知り合いの腕のいい探偵を紹介します。そして眠り、目覚めると、ゴミ袋の中のジャポニカ学習帳が消え、トーカイグラフィック学習帳に替わっていました。
 第三章「バックベアード」紹介した探偵・一ノ瀬さんの事務所に行き、妹に書いた片説の1ページを読んでもらうと、一ノ瀬さんは僕が文字を読めなくなったことを推理し、読んでくれた文は僕の記憶にないものでした。小説家になる才能があるのにならない「やみ」が書いたものだろうと一ノ瀬さんは言います。そしえtトーカイグラフィック学習帳には、バックベアードを名乗る人物から「嗅ぎ回るのはよせ」と書いてありました。バックベアードとは、水木しげるが創作した妖怪とのことです。
 第四章「山ノ上ホテルでの『凌辱作業』」(1) 帰りの電車の中で美少女がゆで玉子を食べるのを見て、家に帰ると万年筆で執筆に取りかかりましたが、何も書けないので、山ノ上ホテルに部屋を取りましたが、書きたい題材が思いつきません。配川ゆかりから携帯に連絡があり、今からここへ来ると言います。
 第五章「山ノ上ホテルでの『凌辱作業』」(2) やってきた配川ゆかりは妹から送られてきたDVDを持ってきました。その中で妹は『日本文学』という老人と暮らしていて、私のことは忘れてくれ、と言っていました。僕は激しい怒りにかられた後、悲しみで泣き、そして物語の中で生きる、という妹に喜びを感じ、DVDが終わると射精する、という喜怒哀楽に性欲まで満たすDVDを見てしまいます。ゆかりもオーガズムを感じ、シャワーを浴びて帰っていきました。
 第六章「90年後の石川啄木」DVDを小説とは無縁の一ノ瀬さんにも見せましたが、彼は全く反応せず、僕はこのDVDは小説だからだ、と気付きます。そして石川啄木が小説家に憧れて書いた言葉を反芻しました。
 第七章「遅れてきた思春期・テスト・1000の小説・これより始まる」僕は一ノ瀬さんの頼みで、ボウガンを持って元の職場に乗り込み、片説家たちに文学に関するテストを実施します。採点し終わると、僕に一ノ瀬さんが替わりました。テストによってつたえに書いた小説の1ページは南野さんが書いたものと分かりますが、彼女は自分はやみではないと言います。そこに水口社長が現れ、僕と一ノ瀬さんを社長室に入れました。そこで、かおりがやみで、しおりがやみたちによって毒だけの小説を流布させる「1000の小説」という作戦が企てられていることを知って教えてくれたことを水口社長は言い、僕のことを徹底的に侮辱したので、僕も水口社長に怒り狂いましたが、その後、小説を書く心になっていて、文字を書けるようになっていました。

 ちょっと長くなったので、続きは明日にアップします。