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アルフレッド・ベスター『願い星、叶い星』

2008-07-16 16:03:08 | ノンジャンル
 11日の朝日新聞の夕刊の1面に「元受刑者を就農支援」と題する記事が載っていました。法務、厚生労働、農林通産の3省が来年度から行なうもので、対象は更正と就農の意欲があるのに、仮釈放か、満期に釈放されても行き場がない元受刑者。茨城の就業支援センターが12人ぐらいを半年から1年24時間監視して農業させて、退所と着には、農業関連の職に就けるよう目指すというもの。これはいいですね。精神障害者にもこういったシステムを導入してもらいたいものです。

 さて、アルフレッド・ベスターの短編集「願い星、叶い星」を読みました。
 「ごきげん目盛り」は、殺人癖を持つようになったアンドロイドと逃避行を続けるうち、アンドロイドの性格が投影し、殺人癖を持つようになった主人公が、新しいアンドロイドにまた投影し、殺人癖を持たせるようになる話。
 「ジェットコースター」は、未来から女を調達して攻撃させるためにやってきた男の話。
 「願い星、叶い星」は、夢のような機械を作る友人やテレポートする友人の姉のことを書いた少年の作文を読んで、相続詐欺を働く2人組と一緒になってその少年を探す校長が、少年が願うことが全て実現することを知り、自分も異次元に飛ばされてしまう話。
 「イヴのいないアダム」は、自作のロケットのせいで地球を滅亡させてしまった男が、海に辿り着くことによって、自分の体が新たな生命の源になるという話。
 「選り好みなし」は、アメリカ本土に核が落とされ焦土と化す中、人口が増加している中心地に行くと、他の時代から大勢の人間がタイムマシンで送られてきているのを発見し、自分も他の時代に飛ばされてしまう話。
 「昔を今になすよしもがな」は、核爆弾でニューヨークに生き残った一組の男女の物語。
 「時と三番街と」は、未来の年鑑を買ったとしてそれを奪いに来た男が、代わりに未来を教えるとしてホテルのマネージャーに渡した偽札に印刷されている財務省長官の名前が自分の名前だったという男の話。
 「地獄は永遠に」は、6人がこの世の感覚を全うしようと、酒、麻薬に溺れるが飽きてしまい、劇で驚かせてリーダーの夫人を殺し、現れた亡霊によって、自分の望みを一人一人が叶えんとする話、です。

 この本をどうして読むことになったのか、忘れてしまいました。多分、お気に入りの作家の推薦書だったような気がします。で、結果的にどうだったかと言うと、あまり面白くありませんでした。最初の「ごきげん目盛り」で、私とアンドロイドが両方とも「私は」と言い、読者を故意にに混乱させんとする技術を駆使している辺りで嫌な予感はしていましたが、その後はまともな小説だったのにも関わらず、あまり面白くありませんでした。でもどれか一つと言われれば「イヴのいないアダム」でしょうか。ただ、あとがきを読むと、編集・翻訳を手掛けた中村融さんはベスターの「虎よ、虎よ!」がSFナンバーワンだと書いているので、その本だけは読んでみようと思っています。ちょっと変わった短編小説をお好みの方には、オススメかも?