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豊島ミホ『リリイの籠』

2008-01-13 16:03:21 | ノンジャンル
 豊島ミホさんの最新刊「リリイの籠」を読みました。7編の短編からなる本です。
 第一話「銀杏泥棒は金色」は、美術部の先生に好きなものを描けと言われ、好きなものがない主人公はとりあえず気になる生徒にモデルになってもらいますが、彼女のイメージから描いた絵画の中に自分の好きなものを発見する話。
 第2話「ポニーテール・ドリーム」は、校則違反でおしゃれをしてくる生徒に注意する女教師が逆におしゃれ指南をされ、思い入れのあったポニーテールを切って彼女に会うとプリクラに引きずり込まれる話。
 第3話「忘れないでね」は、転校を続ける主人公が転校先で友人になるのは皆から相手にされてない生徒ばかりだということに気付き、現在仲良くしているが、やはり皆から相手にされてない真琴のような子とは別れたいと思い、彼女の偏差値の低さに目をつけ同じ志望校にするが、結果的に彼女が受かり自分が落ちてしまうことによって、彼女と別れることになる話。
 第4話「ながれるひめ」は、姉が教師をしている学校に教育実習に行き、受験生の時に「あんたなんか落ちればいいのよ」と彼女に言われたことを話すと、彼女は謝り、自分に嫉妬して言ったのだ、と言ってくれ、そういえば、姉と同じ学校に通うのは小学校以来なことに気付く、という話。
 第5話「いちごとくま」は、小さい頃から「ぶりっこ」といじめられてきた私は、クラスに皆からも人気がある「くまっち」というあだ名の生徒と仲良くなるが、くまっちに彼氏ができてクラス中が大騒ぎしているのを見て、「あなた、からかわれているだけなのよ」と私がくまっちに教えると、「そんな目で私を見ていたなんて、あなたが一番ひどい」とくまっちは泣きながら走って行ってしまう。くまっちの彼がくまっちの手をしきりに触っていたのを思い出し、私も彼氏に手を触って、とねだると言う話。
 第6話「やさしい人」は、顔だちもよく一歩下がったポジションでいる木田芙美が私は気になっていて、いつも欠点探しをしていたが、学校行事をきっかけに話をするようになり、卒業後は存在も忘れていたが、同窓会の準備を手伝いに来てくれた彼女と10年ぶりに再開し、彼女は当時私と仲良くしたかったということを聞く。同窓会で彼女のグループだった子に聞くと、彼女の父の会社が倒産し、その後銀座で働いていて店を持つ話もあったらしいが、多額の借金をかかえることになり、今は一ケ所にいれないらしい、という噂を聞くという話。
 第7話「ゆうちゃんはレズ」は、一年下の新木結生がレズだという噂が広まる中、同じ弓道部だった私は彼女から「好きなので、付き合って下さい」と言われ、付き合うが、彼女の望んでいた付き合いには肉体的接触も含まれていることを知らされ、それを拒み続けた先輩はひどいと言われる。大学は共学だったが、男子は今一で、ゆうちゃんのことを思い出すのだった。

 ということで、すべて主人公は女性で、第2話、第4話を除けば、すべて女子高生です。また舞台はすべて仙台のようです。自分探し、人間関係が主なテーマになっていて、読みやすい文体で、一日で読んでしまいました。豊島さんの小説の最大の強みは、この読みやすさにあると思います。次回作も期待です。
 なお、詳しいあらすじは「Favorite Novels」の「豊島ミホ」のところに掲載しておきましたので、興味のある方はぜひご覧ください。