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スティーヴィン・キング『セル』

2008-01-01 15:25:13 | ノンジャンル
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。昨日お伝えしたように、今日から京都議定書の約束期間に入ります。私は初日から車を運転してしまいました。

 さて、新年のネタにふさわしいかどうか分かりませんが、スティーヴン・キングの最新の翻訳本「セル」を読みました。
 ある日の午後3時、美術教師の傍ら漫画家を目指すクレイは、ボストンで出版者に原稿が売れ、喜びを持って別居中の妻と息子のジョニーに会いにに帰ろうとしたところ、携帯電話を使っている人々が急に凶暴になり訳の分からぬ叫び声をあげ、近くの人に襲い掛かり始めます。町は大混乱になり、交通事故が多発し、爆発音が次々に起こり、町は死体の山で埋もれます。クレイはその時たまたま近くにいたトムと、路上で途方にくれていた15才のアリスの3人で焼け落ちんとするボストンの町を脱出します。クレイは息子のいるはずの北の場所に向けて、アリスも北の自宅へ向けて、トムと一緒に向かいます。途中の私立高校のグラウンドには携帯狂人が大量に集結し、そこの校長と唯一正気で残った生徒ジョーダンとともに、クレイらは携帯狂人たちを焼き殺しますが、校長は携帯狂人のリーダー〈ラゲディ・マン〉のテレパシーにやられ自殺してしまいます。ジョーダンを加えた4人は〈ラデディ・マン〉のテレパシーで北に向かいますが、正常者からも虐殺の首謀者として白い目で見られ、そうした1人にアリスは殴り殺されてしまいます。クレイは家に着き、そこに息子からの「カシュワクに助けに来て」というメッセージを発見します。携帯狂人たちは、変化を始め、暴力は振るわず、集団でテレパシーを使って行動し始めます。ジョーダンは、この現象は、携帯電話に何かしらの電波を送ったコンピュータのプログラムがワームに汚染され、その影響が出始めたのだと考えます。そして途中で出会った5人の正常人のうちの1人が、クレイに、いざという時にはこの携帯でこの番号に電話しろ、と言って自殺します。バスに乗り移動するクレイたちを空中浮揚して携帯人が付いて来ます。そして、カシュワクへ着くと、そこには8000人もの携帯人が集結していました。クレイは携帯を使ってバスの後部に仕掛けた爆薬を爆破させ、携帯人と〈ダゲディ・マン〉を皆殺しにします。クレイはテレパシーを頼りに南に向かい、やっと息子と会えますが、息子は言葉がしゃべれず、ベッドの下で眠り、夜中に悲鳴をあげる知能の欠片もない人間になってしまっていました。クレイは最後の賭けに挑みます‥‥。

 というあらすじです。始めから暴力、流血、殺人の嵐。これは最後まで続きます。血で血を洗う抗争、そうした状況の中で、少年ジョーダンの知恵が大きな武器になります。人間は武器を何を持たない時、歯が武器になることが何度となく描かれます。これほど、主人公が大量の殺人(主人公は狂人であることを理由に殺人だとは思っていない)を行うのは珍しいのではないでしょうか。ゾンビ退治に似たようなものかもしれません。とにかく、一気に読ませるキングの力は遺憾なく発揮されていると思います。未読の方、オススメです。