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青山七恵『ひとり日和』

2008-01-02 15:05:14 | ノンジャンル
 朝日新聞の年末の特集「2007年 心に残った一冊」の対談で名前が出ていた青山七恵さんの「ひとり日和」を読みました。
 コンパニオンとして夜働く三田知寿は、母の紹介で、遠い親戚の老人・萩野吟子の家に下宿します。部屋に飾られた23枚の猫の写真。セックスだけでつながっていた恋人の陽平とは、別の女性と彼の部屋ではち合わせになり、別れます。昼は刺繍、夜は編み物と決めている吟子さんは、社交家でボーイフレンドも多いのですが、庭は草ぼうぼうの状態です。私は昼に駅の売店でのバイトも始め、それが縁で新しい恋人ができるのですが、ライバルが現れまた恋に破れ、最後には二つのバイトとも辞め、やることがなくなったので、フルタイムで事務のバイトをします。暮れに仕事先の中国から帰って来た母は中国人と結婚するかもしれないと言って、私の様子を伺います。正月明けの初出勤の日、私は正社員にならないか、と言われます。綿足は社員寮に入るため、吟子さんの家を出ます。そして不倫のデートに出向く時、吟子さんの家が見えるのでした。

 上では省かれていますが、吟子さんと私の対話が多く収められ、その中で、恋、憎しみ、死について語られます。主人公(著者)はひねくれていてネガティヴな考え方をもつ人で、小説自体、主人公の独白によってなりたっています。大したことでもないのに、いちいち暗く捉える主人公。文体も無味乾燥で、会話部分以外は読んでいても面白くありません。一応、四季に応じて話が語られる形を取っています。
 しかしこれが芥川受賞作というのですから、驚きますねえ。綿矢りさの時もそうでしたが、芥川賞には期待する方が間違い、という考えを強くしました。次回の芥川賞が楽しみです。