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江國香織『がらくた』

2008-01-06 15:47:14 | ノンジャンル
 年末の朝日新聞の特集記事「2007年 心に残った一冊」の対談で推奨されていた江國香織さんの「がらくた」を読みました。
 母の桐子とプーケットに休暇で来ていた私こと柊子は日本人の15才の美少女ミミを海辺で見かけます。私と夫は溺愛しあい、情事でお互いに結びついていました。乗馬していた時にミミと出会い、彼女がステッペンウルフを聞き、彼女の父が私とバカンスをしたがっていると聞きます。ミミの父と夜の浜辺でキスをし、セックスしましたが、後を引くものではありませんでした。
 話し手が替わり、ミミになります。ミミは父の仕事を手伝ってくれている亘君と桐子さんに会いに行きます。それ以降、度々私は桐子さんを訪ねます。柊子さんとも話し、今までの人生を振り返り、両親の離婚に至った経過も語ります。桐子の誕生パーティーに参加した話、彼氏ができて身綺麗になった母の話、亘君と私の関係が語られます。
 また話し手が柊子に戻ります。日々の生活、母との思い出、ミミの訪問を受けたこと、夫との生活などが語られます。
 最後にまた語り手がミミになります。桐子さんの家で柊子さんと3人で過ごしたこと、パパとママの恋人の後藤君とママと私の食事会のこと、パパと別れた後のママの恋愛遍歴、柊子さんの夫との度々の食事、ママと亘君の母の家へ訪問したこと、柊子さんの夫と初体験したこと、などが語られます。

 典型的なブルジョワの生活の情景を淡々と描いた小説です。そこには波瀾も事件も何も起こりません。起こるのは、男女関係が複雑にからみ合った中での、小さな恋愛であり、小さな失恋です。一応最後まで読みましたが、興奮を覚えることは一度もありませんでした。淡々とした小説がお好きな方にはオススメです。