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トマス・ハリス著『レッド・ドラゴン』

2008-01-11 18:33:03 | ノンジャンル
 ジェフリー・ディーヴァーの推薦本で、レクター博士を世に送りだしたことで有名な、トマス・ハリス著「レッド・ドラゴン」を読みました。
 アトランタとバーミングハムで一家5人全員が殺される事件が立続けに起きます。FBIの特別捜査官クロフォードは、以前連続殺人犯レクター博士を捕まえて、今は引退しているウィル・グレアムに協力を要請します。2人の捜査は行き詰まり、グレアムはレクター博士に協力してくれるよう会いに行きますが、彼は暗号を使って犯人にグレアムを殺せ、と指令を出します。そうしている間に犯人は次の標的となる家族に狙いを定め、行動を開始します‥‥。

 名作の誉れ高い本作ですが、読みごたえはジェフリー・ディーヴァーに一歩譲ると思いました。この本の中核をなすのは、世間で言われているようにレクター博士の存在ですが、本作では大勢殺しているというだけで、彼の異常性が今一見えて来ません。行われる犯罪も家族を全員殺すというもので、インパクトに欠けます。今凶悪犯を描こうと思ったら、その残虐な殺し方を描写するしかありません。
 また、捜査の方も前半の捜査はすべて空振りで、フィルムが出て来るところからはすぐに犯人に行き着くという構成もあまり感心できませんでした。
 犯人も可哀想すぎます。醜い姿で生まれ、家族から見放され、独りぼっちになり、こんな育ち方をすれば、誰でも頭が少しはおかしくなるものです。犯人には同情することはあっても、憎しみを感じることはありませんでした。
 本来ならあらすじなど載せないところですが、読みながら細かくあらすじを書いていったのを無駄にするのに忍びなく、ここに掲載させていただいたものです。何かの折りにお役に立てれば、幸いです。