寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

四十にして惑わず…9

2011年11月30日 08時43分57秒 | 日記
「あ~きれいやったワ♪」山門をくぐり抜けて山田さんはひとつ背伸びをしました♪
「ほんとね…まだ頭に残っているわ♪」
真っ赤に染まった紅葉がライトアップされ一段と映えている姿はとてもこの世のものとは思えないくらい見事でした…
「素敵だったわ…」夢見る心地よさに酔いしれていました。堪能するとは正にこのことでしょうか♪
三人は余韻に浸りながら歩いていました。

高台寺を出て路地を南に取ります。因みにここを東に小さな坂道を上がると坂本竜馬のお墓があります。三人は南に真っ直ぐ歩きました。目の前にある三重の塔をで追ってなだらかな坂道を上がります、二年坂ですね。この辺りから門前町の様相で小さな土産物屋がところ狭しと軒を連なっていました。西陣織の小物、べったら漬け、素茎、壬生菜、千枚漬け、おたべ、京観世、五色豆、京人形に清水焼、真田紐の細工品…それら京の特産品を冷やかし尚も歩くと有名な産寧(さんねい)坂です。
この小路に続く石段が見えてきました。目の前は清水寺でした…
「疲れたろ…」
わずかな道のりでも観光客の洪水です。
それをやり過ごして河田部長は声をかけます。
「見るものは見たし…どこかで飯でも食うか…」
「はい、でも山田さんが見えないのよ」「あれ、さっきまでいたけどなぁ…」
参道から少し外れると観光客が途絶えていました。
「おかしいなぁ…土産物屋で何か買っているのかなぁ」
町中で見ればたいしたことのないものでも、こんな雰囲気に呑まれるとつい手が出てしまうのも観光地ならではでしょうか♪
しばらく二人はその場で待つことにしました。 秋も深まり夜風が冷たく頬を撫でていきます。
雲の合間から覗く満月…朧月でしょうか…
月明かりに照らされて金沢さんの影が長く延びていました。
濃紺のスカートにベーシックなカーディガンを羽織りブロンドの髪が風に揺れています。所在無さげな面持ちがインテリっぽくて、乱れた髪が妙に色っぽく見えました。
一体この子はどう思っているのだろう…さっきの拝観料のヘルブと言い如何(いか)にも気が利きすぎているし… 金沢さんは河田部長から少し離れた角に立っていました。
ぼんやり金沢さんを
見るとはなく見ているとふと目が会いました。
実は金沢さん…近親なのですが、ですから本人は全く河田部長が見えていません。
ところがこの近視は厄介ですなぁ(笑)
焦点の定まらない瞳が河田部長のハートをキュッと掴んだのです(笑) 勘違いとは時に様々なドラマを巻き起こすのです。
愁いの含んだ瞳で見詰められた河田部長はすっかりその気になりました(笑)
…このまま山田が来なかったら…(ウッシシシ♪♪)
これはどう見たってチャンスだぞ♪
さっきの拝観料のヘルプだって山田にわからないようにそっと手渡してくれたんだから…ひよっとして…♪♪

朧月は相変わらず煌々と二人を照らし続けていました。
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〓四十にして惑わず…8

2011年11月29日 08時32分44秒 | 日記
八坂神社の鳥居を抜けて石畳を進みます。しばらく行くと左手に見える土塀(土と瓦で作った塀です)が高台寺です…
この 季節京都で一番の観光スポットです。 私はパンフレットで観ただけの言わば素人です(笑)
果たして河田部長はどうでしょうか…!?
「困ったぞ…」 高台寺の山門を前にして立ち止まって思案顔です。
拝観料大人700円
とありました♪
三七…2100円か…実はこの河田部長はガード派でした(笑)
飲食代は元より地下鉄やバス代に至るまでカードで賄っていました。コンビニはおサイフ携帯で済ませられますから、現金を持つ必要がありません。
財布や小銭入れがないぶんスーツも変な膨れ方をしなくなります。
最初現金を持たなくて心細かった河田部長は使う必要がないのに気がついて今ではNOcashuで一日を過ごしています。
ところが…今この高台寺です。
拝観料をカードで支払うのはさすがに聞いたことがありません(笑)
まさか受付で訊ねる訳にもいかずどうしたものか…と途方に暮れていました(笑)
…まさか金を貸してくれ、とも言えないし
そんな河田部長に助け船がありました「部長、これを…」
河田部長の右手に何か触りました。
「え?」
見ると金沢さんがニッコリ(笑)
手にあったのはお札でした。
「あの…」
「ねぇねぇ!山田さんあそこ紅葉よ、きれいでしょ♪」
「うわ~全部紅葉…ほんと真っ赤ですね~♪」
土塀の上を真っ赤な紅葉がいっぱいに彩られていてライトアップの光に照らされて更に燃え上がるようです。
しばし見取れている二人を尻目に…危うく助かったワイ(笑)
河田部長はほっと肩の力を抜いていました。 「ねぇ…中にはいりましょうよ♪」
「ええ…部長!…」
ほっとした河田部長も遅らばせながら見事な紅葉に目を奪われていました。
「部長、早く早く!」山田さんは呼びます
(笑)
「はいはい~」
気がつけば二人は受付で手を振っています。 「ああ入場料やね…」「いえ、拝観料ですが(苦笑)…」
「あはは♪…こりゃあ失礼しました♪」
河田部長は手にある五千円札をじっと見詰めました。
…これは金沢さんが俺に握らせてくれたお札だ…
なんの変わりもない五千円札…ですが 仄(ほの)かな温かさを感じたのは気のせいでしょうか♪
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〓四十にして惑わず…7

2011年11月28日 07時27分02秒 | 日記
八坂神社の石段を上れば境内です。
ここは京都の象徴的な神社であるのです。観光客が大勢訪れていて少し興ざめしますが、これはこれ… 三人は人混みをかき分け境内を進みます。
境内から右手にももうひとつ鳥居があります。
実はこちらが正面玄関です♪
一見四条からが正門に思えるのですが、それは素人の悲しさ…
ハハ♪何の素人かわかりませんが、こんな話を河田部長は一席喋っています。
三人は連れ立って参拝しました。
「ねぇ、山田さん今熱心にお詣りしていたけど何を頼んでたの♪」「え~見ていたのですか…」「見ていた訳じゃあないけどエラクご熱心だったわよ」京都の名題の八坂神社、祇園の舞子さんもお詣りする由緒ある神社です。「そんなことないですよ…」「ホント?誰かいい人のことを頼んでいたんじゃあないの♪」「そんな事ありませんよ(苦笑)」「あら赤くなっちゃって(笑)」「違いますよ…」山田さんは照れていましたが、満更でもない様子です…「ここはね、願掛けで有名なところだから叶うといいね♪」「も~違いますったら~」「おいおい、いい加減にしたら…」「あら、部長…」「どうせ私はお邪魔虫よね(笑)」あ~言えばこう言う…全く三十路の女は手が付けられないね(笑)河田部長の嘆きをよそに金沢さんと山田さんはまるで姉妹みたいに仲良くしゃべっていました♪…八坂神社の鳥居を潜り抜けました「あら、ここから高台寺はどう行けばいいのかしら…」
八坂神社を出たところで金沢さんは立ち止まりました。
辺りは薄暮れないの闇が漂い始めていました。
「え~と、この道を真っ直ぐに行けばいいかな(微笑)」
八坂神社の朱色の鳥居を抜けると石畳の小路が続いていました。
「うわ~きれい♪」
振り返ってみた八坂神社の鳥居がライトアップされて浮き上がるように輝いていました。 「ほんと!きれいね…」
この辺り一帯は神社仏閣があちこちに散在していていました。
「なんか昔に戻ったみたいだゎ♪」
山田さんは一人はしゃいでいます。
その後ろを河田部長と金沢さんが続いていました。
「なんかデートでもないし…変な気分だなぁ…」
はしゃいでいる姿はまるで子供みたいで…山田さんを眺めて河田部長は ボヤいています。
「どうしたのですか?私が邪魔みたいね(微笑)」
「とんでもないよ」
慌てて手を振りますが、…年増はやりにくいよな~ 内心舌打ちしていますが、気を取り直して「金沢さんが来ているから助かるよ(汗)…」
少し持ち上げました。 「本当ですか…」
「本当だとも…あまり若い子は苦手でね…」つい口が滑りました。(笑)
「え~それって私はおばさんだってことですよね(笑)」
「ち、違うよ違うってば…(汗)」
しまった!! 思ったけど後の祭りです。
「どうせ私はおばちゃんですから(怒)」
「そんな事ないから…金沢さんはきれいですよ」
「ダメですよ、今さらお上手言われても…」「お世辞じゃあないよ、いつもきれいだと思っているよ!!」
「ホント!!」金沢さんの顔が輝きました。
…ちょっと誉めるとすぐこうだ…
「ねえ部長、本音は違うんでしょ…」
しつこい奴だなぁ(苦笑)
「ホントにきれいだと思っているよ!!」
…ああ一緒にこなけりゃよかったな…
河田部長はほとほと後悔しました…
「なんですか…お二人で仲良く…夫婦喧嘩みたいですよ(笑)」
「そうじゃあないよ!」
慌てて取り消すにも金沢さんの視線が気になりますし、肯定すれば山田さんが白けるだろうし…
挟まれた河田部長は苦笑するしかありません。
「こんなにモテて大変ですね(苦笑)」
「おいおい冷やかすなよ…」
もう汗ビッショリになっていました(笑) …
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四十にして惑わず…6

2011年11月25日 09時12分11秒 | 日記
会社のある烏丸通りからタクシーを拾った三人(河田部長、金沢さん、山田さん)は祇園神社の石段下まで走りました。。
さすがに山田さんと後ろに一緒とはいかず河田部長は助手席に座りました。
「あら部長ここじゃあないのですか(微笑)」金沢さんが自分の座った後部座席からからかうのですが、河田部長は冷静でした。
「ははは♪遠慮しておくよ♪」
「そうですか~(疑目)」
まだ何か言いたげな金沢さんですが、横の山田さんに気を使ったのか話題を変えてきました。
クソ~金沢はなぜこんなに絡んでくるんだろ
栗色の長い髪♪ 黙っていたらイケてるのに…
金沢さんはもう三十路を過ぎていました。
それにしても、俺の見たところ27くらいにしかみえないけど…
男運がないというのか未だに未婚とはわが社の七不思議だよなぁ

タクシーは スイスイと走ります。
いつも見慣れた景色が続くのに今日は違って見えました。何かこうわくわくするものがありました。それを説明せよ、と言われると困るのですが…滅多にない両手に花の河田部長です。これが嬉しくない筈はありません…タクシーが四条通りまで来てビタリ…観光バスとタクシーが道に溢れんばかりでした。
「やっぱり観光かしら…」外に見えるのは人人…又人です。
「この季節は京都中どこに行ってもこんな調子よ」
「へぇ~私も学生時代に来ました。たぶんあの中にいたのね」「山田さんも結構ミーハーなんのね」「ええ…私思い込みが深くて…」「そうなの!だから…」言いかけて金沢さんは口にチャックをします(笑)この子に悪気はないわ♪…「それよりどうして高台寺なの?」話題を変えました。「はい、高台寺は…○△□☆…」後部座席ではよもやま話で盛り上がっていました。ところでタクシーはこの季節が一番の稼ぎ時かも知れません。
普段稼げない分を取り戻そうと皆さん必死になっています。それでも三人が乗った運転手は以外とのんびりムードです…
「お客さん、どうします?」
え…何をどうするの?河田部長の前の横断歩道は止まることなく人が流れていました。
「ここからは進まないよ」
「はは~ん」
運転手が言いたいのがわかりました。
「そうだね…歩いた方が速そうだね!!」
さっきからタクシーの横を追い越してゆく人並みを見ていたので河田部長はピンときたのです。
「降りるんですか~」「ああ歩いた方が速そうだから…」
運転手のせいにするつもりはなかったのですが河田部長は支払いを済ませると二人を促せました。
祇園神社はもうそこにありました。
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〓四十にして惑わず…5

2011年11月24日 07時29分57秒 | 日記
秋の日暮れは釣部(つるべ)落としです。五時を過ぎて早陽が沈み始めます。
薄紅の夕陽を眺めて何となく気分が重く河田部長にのしかかってきました。
表彰式の遅刻は何とか過ぎていきました。
なるほど高辻役員からあれ以来お咎めはありませんし…
他の懸案も過大なく処理できました。
…とここまではなんとか片付けましたが事務所に照らされた夕陽の長い影がこれからの河田部長の心に暗く翳りを作っていきます。
雨だったらなぁ(苦笑) 河田部長のやるせない気分にしたのは昨日湧いて出たような高台寺の紅葉狩りでした。
いつもの洞を吹いた話の鼻を捉えられ今更引っ込みがつかなくなっていました。(カッコをつけるのもほどほどにね…)
河田部長は余程他の部員に声を掛けようかと思いました。ところがそれを察してか金沢さんから「侘寂(わびさび)の雰囲気を壊すのはNGじゃあありませんか♪」と釘を刺されました。万事休す♪
しまった…調子に乗って約束しなきゃあよかったよ…
河田部長は侘寂の世界まで調子よく講釈していました。それを金沢さんに逆手に取られてしまったのです。「仕方ないか…」
肝が決まれば開き直るのがこのタイプでした。
もっとも金沢さんも一緒にあるとはいえ山田さんと一緒に夜のライトアップを散策できるのはラッキーかも知れません。
これをきっかけに…ニヤついたり、いやいや社内不倫はご法度だぞ、と戒めたり河田部長は不安と期待のごちゃ混ぜの気分でいっぱいでした(笑)
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