寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

さあ大変、異動だ…(12)

2012年01月31日 08時42分40秒 | 日記
メールで誘われた若宮本部長です。
新幹線を降りて言われた場所に来ると亀田部長が待っていました。 「お疲れさまです」
ペコリと頭を下げて挨拶しました。
「あ、どうも若宮です」歳は下でも若宮本部長が一枚上だからで、亀田部長は笑顔で近寄りました。
「お疲れですがお付き合いよろしいですか」丁寧に言われて若宮本部長に断る理由はありません。

それに…亀田部長は円山事業部長の自他共に認める盟友でした。

(これは好都合だ、)
若宮本部長は思いました。
鬼塚専務から円山事業部長の様子を探ってこい!と指示されていましたから…
向こうから来るなんて好都合だな♪

わざわざ円山事業部長に会わなくても亀田で済ませてしまおう♪
余ったお金で帰ったら銀座でパラダイスだ!!
鬼塚専務ゆり機密費をたっぷり頂いていたのです(笑)
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さあ大変、異動だ…(11)

2012年01月30日 09時09分51秒 | 日記
「永らくご乗車お疲れ様でした…」
アナウンスの声に若宮本部長は目が覚めました。
「あれ?」ここはどこだっけ!
グッスリ寝込んでしまったようです…
アナウンスの肝心なところを聞き逃したお陰でどこに着くのか見当もつきません。
窓からは相変わらず真っ暗な闇。ところどころに街の明かりが見えていますが、果たしてここは?
窓についている水滴をを触った指をおでこに当てて目が覚めました。
のぞみ(新幹線)だからどうせ名古屋だろ…
確か東京→名古屋→京都…こんな感じじゃあなかったかな♪
名古屋なら京都まで時間はあるし… ポケットの携帯を取り出してメールのチェックを始めようとしました。
近ごろ部下からの報告は全てメールに切り替わっていました。
メールの良いところは自分の見たいときに見られことでしょうか。 空いた時間を有効的に活用できると若宮本部長も最初は歓迎していました。
しかし馴れてくると報告が簡単過ぎて或いは言い訳に使われたりと中々うまく活用出来なくなってきました。
若手には理系が多いせいか文法が滅茶苦茶な文章が目立ちました。今も読んでみるとめまいが起こりそうです。
それでも我慢しながらメールの発信者を目で追っていて思わず座り直していました。
…亀田 文彰 …
「!」
亀田部長だ…
噂をすればなんとやら…
幹部クラスはお互いにメールアドレスがオープンになっていました。
「そうか…なるほど♪」
メールを開いてみると「今夜9時までに京都に着くなら連絡を下さい。」とありました… 「何だろう?」二人は職場が西と東…顔や名前は知っていても挨拶程度でした。親しく言葉など交わした経験がありません。
メールの発信時刻は7時37分とあります。 あわてて携帯の時刻を見ると8時24分。
寝込んでいたせいで着信音に気がつきませんでした。
「間もなく京都~京都~」
アナウンスが流れてきて次の停車駅を告げていました。
これを聞いて若宮本部長は改めて思い出したのです。
「そうだ!京都到着は8時30分だったよ」携帯を取り直してました。
「とりあえず…」
亀田部長のメールを返信しなくっちゃあ…
「お疲れさまです。今気がつきました。8時30分に京都に着きます…若宮」それだけ打つと送信したのです。
メールを返してから思いました「なんか気が利かないメールだな~」
あまりに愛想のない文章はうちの若いや奴と変わらないよ…
苦笑いしながら降りる支度を始めました。
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さあ大変、異動だ…(10)

2012年01月27日 08時47分31秒 | 日記
「それでは失礼致します」新幹線のホームで若宮本部長は最敬礼しました…
たまに見かけますよね(笑)上役をお見送りしているサラリーマンが…見送りを受ける上役は照れ隠しに無表情を装っていますが♪(あれって中々気分の良いものらしいです…)……グリーン車はホームのほぼ中央です。この辺りはさすがに人も疎(まば)らで遥か遠くに行列があるあたりが、若宮本部長の指定席がある車両でしょうか。
顔を上げるともう高辻役員の姿はありません。
「やれやれ…」ひとつ伸びをして足早にホームを歩いていきました。車両の中を歩いてもいいのですが、車両の横を歩いた方が速かったからです。上からこののぞみ号がまもなく発車する旨を放送しています。
「はいはい…」
若宮本部長はそれにいちいち返事をしながら歩き続けました。
寒風に火照った顔が気持ちよく、 足早に歩くのと全てがリズミカルに感じられました。
「ビールは乗ってからでいいか…」ホームの売店を通りすぎるときチラッと考えました。 「そうそう…何でも段取りだよなぁ♪」
一事が万事ソツのない若宮本部長です。 ピピピッピ~♪
駅員のホィッスルがホームに鳴り響きます。
発車前のホームには急ぎ足、駆け足の人達がこれを合図に一斉に車内に乗り込みました。 「やれやれ…」
最後は駆け込みになって苦笑いです。
久々の新幹線でした。 本来埼玉県生まれで大学ももちろん東京です。
「関西は変な奴がいっぱいいるからなぁ…」 同期の東京育ちがぼやいていたのを思い出していました。
確かに… 明日関西の営業所に行くのは久しぶりで、東京から離れるのさえ何ヵ月もなかったことでした。

「いいか、関西に行ったら余計なことは言わなくていいから、円山だけマークしろよ」
「マークと言いますと…」根がお人好しの若宮本部長は鬼塚専務の指示が今一つ理解出来ません。
「何でもいいから夜に一杯やって本音を聞き出すんだよ」
グッと迫って話す鬼塚専務の迫力のあること(笑)
若宮本部長は思わず逃げ腰になりながら「でも円山事業部長は飲まないのじゃあないですか 」
確かに円山事業部長は下戸でした(笑)
「そんな事、関係ない、ねえちゃんのいる店ならいいだろうが…」
「しかし…」
「バカ野郎!しかしも案山子(かかし)もないんだよ!とにかく情報を集めてくるんだぞ…」
「は、はひ~」
最後に怒鳴られて頭を抱えながら逃げたのでしたが…
「おい、待て…」
… とそこで先ほどの東京駅の地下街の一件になったのでした。

「お前が今より上に行きたかったら俺以外の役員も味方につけないとダメだぞ!!」
又々顔がそばまで近寄ってきましたが今度は逃げずに睨み返しました。そして一言一句漏らさず秘策を受けたのです。
「いいか、高辻さんはもうすぐ役停になるけど他の役員に受けがいいんだよ…」
これは何を意味するか聞かずとも若宮本部長もわかりました。
だから…
あのゴツイ手に握手をしました。 協定を結んだのですね。
あのゴツゴツした手触り…力強さはとても老人の手とは思えません(笑)
専務にしろ高辻役員にしても60を過ぎてどうしてああもエネルギッシュなんだろうか…
(俺もあと十年経ったら…)若宮本部長は新幹線の席に着くなり考え込みました。
新幹線は真昼のような明るさの中を発車しました。

「♪次は名古屋です…」アナウンスが終わると窓の外は真っ暗闇に包まれました。
ビールが来れば(ワゴンサービスです…)
…それまで頭を休めなくっちゃあ…
若宮本部長は深く座り直して目をつぶりました。
今日の出来事を頭の中で回想しています。 頭の中を鬼塚専務や高辻役員がグルグル廻り出しています。秘書の笑顔、本社の玄関先、社員が一同に会釈すれ風景…他人には見せない真摯な一面でありました。
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さあ大変、異動だ…(9)

2012年01月26日 08時30分38秒 | 日記
高辻役員の言葉に若宮本部長は顔色を失っていました。
内心「下手を打ったなぁ」と思いました。
避けていた役停を自ら話してこられたからです。
若宮本部長は直ぐに顔を背けました。
高辻役員の眼光が射るように怖かったからでしょう…
「た助けて…」
目で鬼塚専務に助け船をだします。
「お前…何言ったんだ…」
二人の中を傍観していた鬼塚専務も堪らず割って入られました。
「いやぁ~違うんですよ」高辻役員は笑って手を振ります。
「本当の事をしゃべっただけで、若宮本部長にはこれから頑張ってくれよ…と激励の意味で言っただけですよ…」
そう高辻役員は笑いながら若宮本部長に話しかけますが、目は決して笑ってはいません。
「おい、若宮、お前高辻さんにそう言って貰っただけでも有難いじゃあないか…」
「ははい…」
緊張気味に返事をする若宮本部長…
「お前、はい…じゃあないだろう、頑張りますだろ!」
鬼塚専務も高辻役員の顔を立てて若宮本部長を叱りつけました。
そして…
高辻役員の方を向いて「亀田部長も優秀な奴だよ…」
うん、と頷き…それは自分に言い聞かすようにでしたが、
その意を汲んで高辻役員も笑顔に戻りました。
「なぁ、お前もそう思うだろ…」
「はい、」
専務から振られて若宮本部長はオウム返しで即答しました。
…要するに亀田に気を使え、と言うことか… 若宮本部長は思いました。
「高辻役員、私もこれから亀田部長と一緒に頑張っていきます」
「うん、頼んだよ」
初めて若宮本部長に見せた柔らかな笑顔でした。
これは非公式ではありますが委譲の儀式でした。
あとは「俺はいいから…」と鬼塚専務は高辻役員にお酌しろと言いますが、
「これからも頼むよ…」高辻役員から声を掛けられた若宮本部長は「はい承知しました」神妙な顔で返事をしていました。
「あっ、はい…」目の前に差し出された高辻役員のゴツイ手…握手を求めていました。若宮本部長は両手で握ります。ゴツイ温かな掌(てのひら)を握りしめて何故か自然に頭を深々と下げていました。こんなのを貫禄負けと言うのでしょうね(笑)…あ~疲れるねぇ(苦笑)胆で自嘲しながらもやれやれですね…
そのあとも硬い顔つきは崩しませんでした。
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さあ大変、異動だ…(8)

2012年01月25日 08時48分48秒 | 日記
現代社会は時間との戦いです。 しかし昔の諺に「時は金なり」ともありましたから、時間を有効に使え、の教えは今でも引き継がれている諺の一つかもしれません。
この東京駅の地下街にあるカウンター式のバーで若宮本部長は精一杯ヨイショをしたのですね。この態度は鬼塚専務には好評でしたが、盟友の高辻役員には「何か下心があるのじゃあないか…」と警戒心で見られていました。
事実前もって鬼塚専務より密かに高辻役員に媚びを売るよう言い含められていたのですが…(笑)
高辻役員はウスウス気づいておられましたが、
「新幹線が同じでも席が違うから…」
と高をくくっていらっしゃいました。
…新幹線の座席ですが、役員さんはグリーン席、本部長以下は指定席と会社の規定にあります…
ただし鬼塚専務のように指定席まで来て酒宴をする場合はこれに有らず、 ですが…(笑)
果たして若宮本部長はベラベラブラとよく喋りました。
それにはさすがの高辻役員も閉口しました。 「一体専務が話があると言いながらなぜこんな雑魚(ざこ)が俺の前をチョロチョロするんだ!」
雑魚とはひどい言い方でしょう(笑)しかし役員さんから見て自分たちはサラリーマンを越えたの勝ち組、会社で本部長といえばかなりな地位ですが、それをアゴで使える役員さんからすればまだまだ、ということでしょう(笑)
以前ある役員さんが「部長やその上の本部長までは少し出来たらなれるんだよ…ホッホッホッ♪」と高笑いされていらっしゃいました。要するに頭だけじゃあダメなんだよ…と右側頭部を叩きなからです…
頭だけでもヨイショや努力などを越えた運や社内の流れなど自分の力以外の要素もあるんだよ…そう指摘していらっしゃったのですが、 実に曖昧無垢な表現で拝聴していた私や部課長たちは分からないなりにもうなずくしかありませんでした。
「なぁ、若宮本部長よ…」
高辻役員は肩を叩きながらこう話しました。 「俺は知っているとうりこの四月でこれなんだよ~」
首の横で手を水平に切りました。
クビだよ…と言うように…
これには若宮本部長も面食らいました。
確かに役停を間近に控えて幹部連中はこの件には触れないよう気を使っていました。下手に話題に上がって逆鱗に触れるのを避けていたのです。
四月になれば役員はお役御免になります。つまり絶対的な権力は削がれてしまうからです。それでも恐れているのはイタチの最後っ屁じゃあ(笑)ないですが、「あの野郎、俺が役停だと思って嘗めたまねしやがって…」と逆恨みされることでした。そうでなくても役停でイライラしているのは本人ですから…
又この役停は他の役員さんでもいずれ迎えることでこの件に関しては同じ役員の仲間意識みたいなものが連動してきて、
「そうあいつがそんな失礼な事を言いましたか!」
「そりゃあ、イカンわな!」とあっと言う間に役員さんたちに噂で広がります。
こうなると誰の子飼いだ?(派閥を問うのです…)こんな雰囲気が役員連中に流れたらその親分は子飼いを泣く泣く処分しなければなりません。そう しなければもっと高いところからご自分に鉄槌が下るからです。
恐ろしい話ですが、組織とはこんなもので役員さんの連帯感とはこんな感じです…
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