寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

四十にして惑わず…2

2011年11月21日 07時53分30秒 | 日記
朝の打ち合わせを済ませると長原部長は席につきました。
まず昨日留守中の書類に目を通します。
その間、昨日の報告を次から次と若手社員が立ち寄ります。
「ふむふむ…」書類と社員を見比べてうなずいたり、質問したり長原部長は精力的に働きました。
「大体俺が昼からいないとみんな頑張るんだよなぁ」苦笑いしていましたが、自身もそうであったように上司とはいつの時代も煙たがられるものでした。
俺はガキが出来るんだから余計に頑張らなくっちゃあ(笑)「ピピピ♪」内線です。
「はい!」ぶっきらぼうに出るのは長原部長の特徴的な電話の態度です(笑)
「お疲れ…俺だよ!」
なんだ~河田か…
昨日のチョンボ以来逃げるように別れて帰りました…
「どうした?」
「実は俺朝から出ているんだけど…どうだった!?」
ははん~♪
高辻役員のご機嫌を知りたがっているんだな♪
長原部長は今朝の件は隠しておこうと思いました。
「どう…って!?」
「おい、何もなかったのか!!」
「さあ~何もなかったよ」
まさかエレベーターの話を言うわけにはいきません(笑)
「そうか…」
河田部長が不思議がっているのが電話からよくわかりました(笑)
「昨日のことを気にしているなら大丈夫だって♪」
「本当か♪」
「ああ高辻さんは気にしていないのじゃあないの…」
あの様子なら…
長原部長には確信がありました。
「そうか…そこまで言うのなら…」
電話の向こうの河田部長もほっとした感じです。
「じゃあもういいかい?」
「ああ、ありがとう…」
河田部長も一息つきます。
「やれやれだ…」
気が落ち着くと喉の乾きを覚えました。 河田部長がいる大阪は青空が一面に広がっていて、所々にぽっかり白い雲が浮かんで見えました。
近くに見えたベローチェ(喫茶店)に入るとコーヒーを頼みます。得意先を訪問するまで時間がありました。
ぼんやりコーヒをすすりながら「ふ~」
肩から力が抜けていくのがわかります。 昨日の遅刻の件もありましたが、もうひとつもありました。
昨日あれから会社に帰った河田部長は仕事が手につきませんでした(笑)頭の中を怒りに満ちた高辻役員のデカイ顔が迫ってくるようでした(笑)
「えらい事やったなぁ…」悔やんでも仕方ないのですが、どうしたらいいのかな…思案に暮れながらぼんやりと座っていました。すると隣の部署の金沢さんから声を掛けられました。
「部長お疲れさまでした♪」
「え、ああどうも…」 控え目な笑顔にカールの掛かった栗色の髪が揺れています。ベテランなのでしょうが、どことなく幼さが残るタイプです。いつもなら笑顔で返すでしょうが…
頭が痛いとはこの事でしたね(笑)
「昼過ぎに○△商事さんからお電話がありましたが… 」
「ああそう…」
それどころじゃあないよ…河田部長は上の空で返事をしていました。
「あの~部長どうかされましたか(微笑)」
いつもの河田部長と感じが違ったので金沢さんは思わずのぞき込みました「ああ大丈夫ですから…」
「部長それと…」
今度は同じ部署の山田さんでした。「あ…ああどうも…」我に返っりました。そうだ…
!河田部長は頭を軽く振ります。
高辻役員の面影を振り落としたのです。
「ええありがとう」顔が一偏に笑顔に変わりました。 「わかったよ」
頭の切り替えは自信がありました。
「大体長原はのんびり屋だからなぁ…」
確かに能天気な長原部長です。上司の顔色をうかがうような器用な事できない奴だからなぁ… 苦笑いしていました。
「ねえ、もう嵐山の紅葉(こうよう)きれいかなぁ~」
「どうかしら、暖かいから…」
「ねぇ、私ライトアップしたの見てみたいわ」
「そうね♪」
ぼんやりしている河田部長のそばで 山田さんと金沢さんがお喋りです。
京都にはこの季節紅葉の名所がいっぱいありますから(笑)「やっぱり清水寺がキレイらしいですよ」
山田さんは年上の金沢さんに遠慮しながら話しかけていました。
「そうよね、私前に行ったことあるわ」
さすが年の功でしょうね(笑)
「きれいでしょうねぇ」地方から来ている山田さんは古都京都に憧れていました。
六階の事務所から望む市内は赤や黄色に彩られた山並みが一望に見渡せました。
「ライトアップしていると幻想的に見えるわよ」
「そうでしょうね~」窓から山田さんは飽きることなく眺めています。
「ねえ、連れて行ってくれる人いないの?」「え!そんな人いません」振り向いてはにかむ笑顔を見て彼女の若さが眩しく見えました。
コメント
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