彼は優秀か・・・１１

高辻課長は山川君を呼び寄せてこう言いました 。
「今夜の勘定は俺が払うから気にせずやって来れくれ 」
「それと彼女は市内じゃあないからタクシーで送ってやれよ」
それだけ言うと山川君にタクシーチケットを渡しました。
「はぁ…」何かを言うつもりでしたが、何を聞けばよいのか…直ぐに思い付きません。
ペコリと頭を下げると「頑張れよ♪」パンと肩を叩かれ山川君はもう一度頭を下げていました。

それから・・・二人は借りてきた猫・・・（ちょっと古い言い方ですか）みたいにじっと座り込んでいました。お店のほうは心得たもので（・・と言いますのがこの時代、このようなぎこちないカップルには皆が暖かい目で見守っていたのです。） 適当に料理を運ぶ以外には立ち寄らないでいました。
山川君はしきりにタバコを吸っては消し、又吸っては消しを繰り返しているだけで気の利いた台詞なんか出せる状態じゃあありません。単発に「今日はなんだか暑いねぇ」「ええ・・・」「最近仕事忙しい？」「いえ、あまり・・・」「俺もそう忙しくなくて・・・」「・・・」ただ灰皿だけが見る見る間にいっぱいになっていました。やがて・・・時間は過ぎて、（こうなると女のほうが厚かましく出来ているのでしょうねぇ（＾＾）モジモジして煮え切らない山川君に「私そろそろ帰らなきゃあ」「おっ！もうこんな時間か」我に返った山川君（笑）高辻課長からレクチャーどおりに言いました。「送っていくよ」「ありがとう、でもまだ早いから大丈夫です」なるほど・・時計はやっと八時を過ぎたころでした（＾＾）
井上さんは座り直しながらおかっぱ髪をサラリとなで上げます。その仕種が妙に色っぽく見えたのです。
何かの行為を終えた後の水商売系の造作に似ていましたが、初心（うぶ）な山川君は気がつきませんでした。むしろ新鮮に映っていたのです。
このとき瞬間的に山川君は恋をしました。たぶん井上さんは気がつかなかったでしょうが、男はこんな謂われないところでふと嵌（はま）ってしまう生き物でした。
「あの・・今度の休みに映画見に行かない」帰り際に山川君は思い切ってアプローチをかけました。在り来たりのセリフですが、この際映画でも魚釣りでも何でもよかったのです。
「はい、」うつむき加減のまま井上さんはうなずきました。（＾＾）
「じゃあ、又会社で・・・」＃なにが会社か分かりませんが要するに詳細は連絡する。ということでしょうね（＾＾）＃ああ携帯があったらメールかなんかで済ませるものを・・・
「おやすみ」「おやすみなさい」居酒屋の前で二人は別れました。
　その姿を少しはなれたところでじっと見ている人影がありました。

彼は優秀か・・・ ９

「おい山川、今いいか」
「はい、課長何か…」京都の事務所で呼び止められた山川君(当時)「うん、帰りにどうや…」高辻課長(当時)は右手でお猪口で飲む仕草をしました。
「ええ、大丈夫です」「そうか…じゃあ終わったらこの前のところで…」
「はい、」
山川君が頷くと高辻課長は「じゃあ後でな」山川君の肩をたたきながら去っていきました。
なんだろう…？二日前にも高辻課長や亀田達と飲んだばかりでした。
高辻課長を中心に四五人のグループで月に一二回飲み会がありますが、先ほどの通り一昨日あったばかりでした。
当時高辻課長はバリバリの遣り手課長で京都事務所を引っ張っている原動力の一人でした。
将来を嘱望されているのは勿論自他共に認められていた存在です。
そのグループに山川君や亀田君や円山君などがいました。
いわゆる親衛隊ですね(笑)
俺だけ別に呼ばれるなんて…
山川君は改まって話すことなど身の覚えがありませんが、親分の呼び出しは絶対でした。
仕事が終わって山川君はあまり深く考えずにこの前の居酒屋に向かって歩きました。。
会社からバスでふた駅歩いた場所で会社の人間はまず立ち寄らない場所にありました。
当時まだ珍しく町屋を改造したお店は時間も早いせいかお客がいませんでした。
「いらっしゃい」
「ああ連れがまだなんだけど…」
店内を見渡して山川君はお店に告げました。 「いいですよ」
じゃあ…と山川課君は店のカウンターに腰を下ろします。
出てきたおしぼりで顔を拭うと、煙草に火をつけ店内を見渡しました。
当時煙草は男性のシンボルマークです。  男性と言うよりは社会人として一人前の証みたいなもので、今みたいに喫煙コーナーなんかありません。例えば電車は完全に喫煙でしたし、駅の待合室やホームもスパスパでした(懐かしい～～)

山川君が煙草を二本吸った頃。入り口がガラリと開きました。
「いらっしゃい！」さきより力強い呼び声は開店を意識したものでしょうか。
お客は高辻課長でした。店の中で待つ山川君は腰を上げましたがそれに気づかずに高辻課長は後ろを向き手招きしていました。
誰か一緒か…
山川君が立ち上がりかけた時、高辻課長の後ろから一人の女の子がチラッと見えました。 二人は何か話しながら仲良く揃ってのれんをくぐってきました。  「なんか随分慣れた感じだなぁ…」チラッと山川君は思いました。
店に入って高辻課長がすぐに山川君を見つけると、「おう、来てたのか」笑顔になりました。
ふだんからブスッとした感じの高辻課長でしたが、今夜は何故かニコニコです。
「お先に来てました」山川君が立ち上がり会釈をすると「まあまあ…」いいからと席を勧めます。
気配りのある高辻課長は当時から人を圧する雰囲気を持っていました。
親しくしている山川君でもこうして改めて接すると気圧(けお)された感じを受けてつい卑屈な態度になってしまいます。
高辻課長は店内を見渡して、「今日はあっちにしょうか」
この店は奥の方に小さな座敷を設けてありました。
「座敷いいかなぁ…」高辻課長がカウンターの中に声をかけます。
「どうぞ１」カウンターの奥から気風のいい声です。いつの間にか店には会社帰りのサラリーマンが二三人テーブル席にいました。 それをよけるように高辻課が進みます。山川君は続いて行こうとして気がつきました。 「あれっ！」
高辻課長の後ろから出てきたのは、管理課の女の子でした。
「確か…」面識はありましたが名前まで覚えていません。
「はて…」思い出そうとしていると、 相手のほうが会釈をしてきました。
おかっぱ頭の髪が揺れています。
慌てて山川君も頭を下げましたが、
この時点でも山川君は気がつきませんでした。
小じんまりした座敷は一応四人席の造りです。
高辻課長が奥に座ると向かいに山川君 、
「井上さん、こっちに来て」
おかっぱの彼女は井上と言うのを知りました。小さなテーブルを挟んで高辻課長と井上さんが並ぶと 山川君は何かいつもながらの威圧感を覚えずにはいられませんでした。

「さて、何か頼むかな・・・」今出されたばかりのお絞りを大きな手で弄び高辻課長は独り言みたいにつぶやいています。

「う～ん」メニューをにらんで唸っていましたが、目はほとんど動いていません。
高辻課長のくせでしょう・・・注文するものは決まっていたのです。
今日に限らず高辻課長は即断即決の人でした。即断・・・よりも予め決めているようで、考えている様子でその時間はほとんど他の事を考えているのでした。
たとえばこの後の話の切り出しとか・・・そんな高辻課長を山川君はじっと待っていました。ルールと言いますか暗黙の呼吸でした。親分が料理を頼むまでは親衛隊はお待ち・・でした。これは山川君に限らず他の親衛隊も〃です。以前ある若手が知らずに注文をしたことがありました。そのときに流れた不穏な空気・・・皆が一斉に高辻課長を見ると普段から渋い顔が一層していて苦虫を噛み潰した顔・・・あるんですねぇ（笑）その夜の飲み会は盛り上がることなく散会しました。それ以来誰もが注文を控えたのは言うまでもありません。又運ばれてきた料理も「さあ食べようか！」の一言があるまではみんなお待ちでした。こうして万事が高辻課長の意のままに動いていったのですが、京都の事務所の帝王の雰囲気さえ漂わせていたのです。この夜も山川君はじっとメニューとにらめっこしているだけでした。高辻課長の注文が終わるのを待っていたのです。ところがここで思ぬ声が発せられました。「なすの田楽とおぼろ豆腐お願いします」井上さんでした・・・

彼は優秀か・・・

　お盆も過ぎて「暑い！暑い！」も言い訳みたいに聞こえてきますね（笑）
つまりそれくらい何もやる気が起こらないといいますか・・・例えば一日中冷房の効いた建物にいたとしましても、やっぱりなぜかしら体の調子が今一ではないでしょうか。
　むしろ汗を流しながら何かに没頭しているほうが後々楽ではないでしょうか・・・と、私は思いましたので、今年の夏休みには出来るだけ身体を使ったことをやりました。
　普段身体をそう使わないせいで、おまけに冷房ガンガン浴びる仕事でしょう・・・
実家が近くにあるので、屋外のそう、片付けをこまめにしていました。
おかげさまで元気です！といいたいのですが、冷たいお茶なんかがぶ飲みしたせいかお腹の調子がさっぱりです（笑）
　まあそれでも夜はグッスリ寝られたのは幸いです。少しはアイデアの効果がないとやった甲斐がないでしょう（笑）それで片付けのほうは自画自賛になりますが、さっぱりと片付きました。
しかしこれは見る人が見ないと分からない部分がありますから、自分で納得するしかないでしょう。

さて表題です！以前高辻役員がご乗車されたときのことでした。
　役員は普段あまり話されませんが、乗車の最初、二言三言お話になられます。
この方は風貌もさることながらいわるる「威厳」と言うものをもたれています。
昨今の「オーラ」とは少し違うような気がしますが・・・兎に角気を使わせる気軽に（取締役ですから当たり前でしょうが・・）話しかけられない雰囲気があります。
やっぱり威厳と表現をさせていただきますが（笑）
「今日込んでいたねぇ」と乗車からいきなり声を掛けられました。
込んでいた・・・とは今京都駅からピックアップしたわけですから新幹線の事なんでしょうね、「そうですか、大変でしたね」と私は受けますが、この返答は正解か？バツか？今もって分かりません。
　「え！世間話でしょ」確かに他愛もない話ですが、こと高辻役員が口にされると何かあるんじゃあないかとついつい考えてしまいます（笑）つまり言い方に何かしら含蓄を感じてしまうのです。考えすぎでしょう・・・皆さん思われるのは当然です。
しかし私以外の運転士に尋ねてみると皆（と言いましても三人ですが・・・）一様に「話しにくいといいます。でポイントのずれた答えでもいいわけですが、あまりにあほみたいなこと言っていてはこっちだって僅かながらあるプライドが許しませんから・・・
以前私が仲間にそんなことを喋っていたら「ハッハッハッ」と笑われました。「そんなの気にしなくてもいいんじゃあない」と彼は言うのです。
所詮は運転士、まっすぐ前を見て運転していたら給料貰えるじゃあないですか。そう言う彼は47歳、社用車の運転歴は15年を超えています。彼曰く「自分らは運転マシーンだから・・・」そうなのです！
　確かに彼の言う通でしょう。まっすぐ前を見て運転に専念していたらいいのです。
余分なことを考えていたら疲れるよ（笑）とも言います。彼の言葉足りない説明をよくよく考えてみると「なるほどなぁ」と得心することもありますが、そんなに割り切った大人のお付き合い、じゃあなかった（笑）割り切れるほど私は単純に出来ていませんでした。だからこうして「ブログ」を2年近くも書いているのだと思います・・・話を戻しますが、冒頭の「込んでいる」くらいならまだついていけますが、たまに試していらっしゃることがあります。それは夜の会食の後自宅までの帰り道なんかが多いです。

ご自愛下さい・・・

残暑・・・いい古した言い方ですが、実際残った暑さというよりも灼熱の真っ只中でしょうか（笑）
確か去年もこんな風に暑かったんじゃあなかったでしょうか（笑）とまあ笑うしかないのがここのところ・・・です！
私もここ数日はお盆を言い訳にゆっくりとさせていただきました（笑）確かご紹介をしました様に会社はまだまだ夏休み！であります。
来週からようやく社業に励んでいくのですが、この休みの前でした・・・
あの鬼塚専務が一週間の早めの休暇を採られました。
「へえ～やっぱり専務ともなると余裕だなぁ」と巷の声でした(笑）ところが差にあらず・・・
実際は検査を兼ねた入院でした。
・・・ただしこの話はどうかご内密に・・・一部の幹部しか知らされていない機密事項です。
しかし、あの！鬼のような鬼塚専務が入院とは正に鬼の霍乱（かくらん）でしょうか（笑）
聞くところによると「飲みすぎ、吸いすぎ、働き過ぎ」で血圧や心電図がめちゃめちゃ悪いそうです。

そりゃぁ、みなさんうなずきますよねぇ（笑）
若い人ですらあんな生活を続けていたら、身体壊しますよ(笑）何度もご紹介していますように
「え！知らないぞ！！（外野の声）」ならもう一度お話いたしましょうか・・・
それはもう酷使酷使の連続であります。鬼塚専務は主が東京（本社がありますから・・・）ですが、月曜日朝、とりあえず本社に出社です。会議の後すかさず埼玉の工場、お客様と昼食を済ませ昼一番で九州に飛び夜は会食・・・翌日、朝一番の飛行機で東京、会議の後新幹線で新潟、そこで昼食を採られて又機上の人、午後は大阪のお得意先と会談、会食、京都に泊まり朝一番で台湾・・・ああこんなスケジュール書いていたらこっちのほうがおかしくなりそうです・・・兎に角朝一番、がやたら出てきますし、昼夜は会食三昧です。合間には各工場や各部門からの報告が津波のように襲い掛かってきます。
それらを瞬時に捌きながら（中には最悪な報告や相談事もありますが・・・）笑顔で会食を済まさなければなりません。
ストレスなんて生易しいものはとっくに超えているでしょうね（笑）
だから専務は会食が終わってお客様と別れた後でも飲み直すのでしょうね。会食とは大体が懐石料理やフランス料理が多いようですが、これってお酒を飲むための料理ですから、塩っ辛いのが普通になっています。洋食は脂っこいものが多いですしね・・・これでまともな健康体な方が不思議なくらいです(笑）
さて皆さん！年収数千万円を取るか（億近いです）うだつの上がらないオヤジのままでいるか、どちらを選びますか！と言いましてもオヤジに甘んじるのは簡単でしょうが、この数千万円の所得を得るだけの地位になることは並大抵ではありません。運、実力、ヨイショ！ありとあらゆる手段を駆使してやっと上り詰めることが出来ます。それを私は仕事柄そばで見るにつけ、「やっぱり凄いよなぁ」と感心してしまいます。色々な噂や四方山（やもやま）話をこの紙面を借りて皆さんにご披露・・・いえいえ暴露しています（笑）ただ際どい話もあります！！！私もこんな首ですが賭けています。なんと言いましても役員の方の目に留まったらアウト！です。つまり私は「クビ！」ですよ（鼻息）どこまで続くかは神のみぞ知る・・・でしょうか（笑）

 

 

猫に鈴をつけるのは誰か・・・２４

ここはとある京都のビルです。６階の広いフロアの片隅の喫煙室でした。

近頃は喫煙者に肩身の狭い環境ですね。ヘビースモーカーの鬼塚専務と言えど流れには逆らえません。喫煙室が設置されたときでした。「俺は囚人かよ！」(笑）馬鹿にするなよな・・・

そりゃあ専務でなくても怒りたくなりますよ。国が税収に苦しんでいるから止もうなしに協力しているのに・・・それを何だよ。犯罪者扱いしやがって・・・！

(笑）犯罪者・・・はさすがに負いすぎでしょうけど、我々は優良納税者ですよ！！！

そこのところ、国や非禁煙者の方はご理解を下さい。

ところでここ６階に戻りましょう・・・

鬼塚専務の表情は相変わらず硬いままでした。

河田部長の神経性失語症の件で、反省も含めてだと加藤課長は思っていましたが、

どうもそれだけじゃあなさそうでした。

３本目のタバコを吸い専務は思案に暮れていらっしゃる様子です。

広い肩がどこか寂しげに見えていますいますが、課長クラスじゃあとても声をかけられる雰囲気ではありません。

加藤課長はユニフォームのポケットを探りました。

・・・俺だって、こうもタバコを目の前でスパスパされたのでは、愛煙家でしたら堪ったものではありませんよねぇ（笑）

タバコに火をつけ「ふぅ～」一息吐いたのと専務が振り返ったのがちょうど合いました。

「何だ、お前も吸うんだ」専務も表情から厳しさが消えていました。

「ええ、」短く返事をして加藤課長は専務の次の言葉を待ちました。

「そうか・・・」一人納得した様子でうなづくと「ところでお前ここにきてどれくらいだ？」

「はい、ちょうど一年ですが・・・」

答えて加藤課長はビビリました（苦笑）

又転勤かよ・・・さっき違う、と言ったじゃあないか・・・

肝で舌打ちしたいくらいです。

この会社では出世はまず転勤がつきもので総務課などはまさにその典型でした。

専務はそんな加藤課長の思いなどは知っていてもそ知らぬ顔をしています。

「転勤が嫌なら辞めろや！！！」かく言う専務は結婚以来奥さんと一緒に暮らしたのは

３２年間の中でたった７年でした。この体験が専務の勲章見たいもので、家を守るのが女房の勤め、亭主は外でバリバリ稼いで家族を養うんだ。

こんなポリシーを持っているトップをもって部下はさぞかし辛い思いでしょうねぇ（苦笑）

誤解のないように一言付け加えますが、これはいわゆる社風でして鬼塚専務以前からありましたし、今後もこの社風は変わらないでしょうね。

またまた脱線しました（ゴメンナサイ）

「それじゃあもう分かってきただろう・・・」

「はぁ」確かに一年も経てばおおよその流れは把握できました。

しかし・・・おかしいなぁ　　　　加藤課長は思います。

何がって・・・ここ京都営業所のことを理解できたか？なんて何故きくんだろうか？

そこまで緻密な心配りをする人とはとても思えません（苦笑）

果たして専務は意味ありげな面持ちでこうおっしゃいました。

「それじゃあお前も洗礼を受けたのか・・・」

「せんれい・・・ですか？」今日の専務はどうかしているぜ、いったい何が言いたいんだよ

いつもの専務なら単刀直入、「まずは結論から言え！！」

・・・それがどうでしょうか。奥歯に物の挟まった（笑）言いようです。

「あの・・なんのことでしょうか」加藤課長はじれたように聞き返しました。

「うん？」　　お前まだか・・・そんな表情でしたが、

タバコの灰を落としながら、「まだってことないだろうが・・」

上目遣いに見直されました。さあ答えろよ！専務の目が鋭くなりましたが

「・・・・・」加藤課長は返答に窮しました。

しばらく加藤課長は考えました。いや考える振りをしただけでした。

専務の言葉はあまりにも抽象しすぎていて答えようがありません。

うっかり変な答え方をしてしまったらかえって痛くない腹をを探られるようなものですから・

根競べだ！加藤課長は思いました。

しかし専務にはそんな加藤課長のことはお見通しでした。

「おいおいそんなに気張らなくてもいいぞ、俺の聞きたいのはだなぁ・・・

」　　「はい」

苦笑いを浮かべて専務がおっしゃったのは・・・