今朝の読売新聞の編集手帳に、こんなことが書かれていた。
大変だけど、書き写してみる。
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米国のロックバンド・スティクスが生んだ『ミスターロボット』(1983年)は、日本語の歌詞で始まる。
♪ドモ アリガト ミスター ロボット マタアウヒマデ…
日米両国が自動車、半導体と貿易摩擦に揺れた時代、ジャパン・バッシングも起こる中での“ありがとう”である。曲調も明るい。
いいものはいい、だから日本製品を買う、という米国市民の理性抜きには、曲の大ヒットは説明できないだろう。
かつて自動車産業で栄えたデトロイト市が財政破綻した。
ゼネラル・モーターズの不振から失業者が増え、人口が往時の半分以下まで減ったという。
廃墟となったホテルやビルが街のいたる所に残されている。
アーサー・ヘイリーの小説『自動車』(新潮社)にある。
会社の重役は、月曜と金曜に製造した車を決して買わなかった。
日曜と給料がもらえる木曜は、工場の労働者たちが深酒をする。
二日酔いで作った車は不良品が多く、とても乗れたものではないと。
一つの都市を人の心がだめにしたのかもしれない。
やっぱり誠心誠意、仕事をしないと。
お客さんに、ありがとうと言ってもらわないと。
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恐らく、言いたいことは、最後の2行だろうと思われる。
参議院選挙も絡めているのだろう。
人の心が都市どころか、国家も滅ぼす。
人に感謝されるために、一生懸命に仕事をする必要がある。
議員さんにはそういう仕事をしてほしいと、暗に訴えていると受け止めた。
そして、スティクスのことを考えた。
当時の記憶では、『ミスターロボット』は、日本に対する皮肉だと思っていた。
まるでロボットのように、感情を内に秘めて働く日本人。
有能かも知れないけど、とっつきにくい。
何を考えているのかわからない…
なので、ここに書かれているように、
【いいものはいい、だから日本製品を買う、という米国市民の理性抜きには、曲の大ヒットは説明できないだろう。】
というのは信じがたい。
なぜって、日本人は見下されていたと思っていたから。
それでも、日本製は悪くないからと、分けて考えていたのだろうか。
一方スティクスは、前作Pradise Theaterで頂点を極めた。
その絶頂時にあってのKilroy Was Here(収録アルバム)
よりによって、このトータルアルバムを、デニス・デ・ヤングと並ぶもう一人の中心人物のトミー・ショウが嫌がり、二人の確執が始まった。
そして、トミーは去った。
私にとっては、二人が揃ってこそのスティクス。
そのせいなのか、ジャケの気持ち悪さのせいなのか、
今いちミスター・ロボットは好きではない。
よって、ミスターロボットを良いものとして捉えている編集手帳の文章は、ウソっぽく感じる。
締めの歯切れが悪く思えてしまう。
(Kilroy Was Here:監獄の中でキルロイが自由を手に入れるため、
ロボットの手を逃れて脱獄するというストーリーを元にしたトータル・アルバム。
ロボットが、ケンタッキーの箱を手にし、整然と運ぶ写真が印象的だった)