東京ナイト

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小沢昭一さん+篠田正浩さんのトークショー

2009-12-23 08:54:56 | イベント
昨日は江戸東京博物館のホールで、小沢昭一さん+篠田正浩さんのトークショー。
映画監督・篠田正浩さんが「河原者ノススメ―死穢と修羅の記憶」という本を出版したのを記念して、「私は河原乞食・考」の小沢さんと対談することになったということ。

で、博学のふたりによる台本無しの対談。面白くないわけがない。
主に、本のテーマでもある「芸能と差別」について語ったんだけれど、小沢さんが篠田監督の映画に出演した時のエピソードや大学時代の先生の思い出なども話題になった。
芸能に関する固有名詞がぽんぽん出てくるインテリの監督に対し、(お客さんの反応も気にして)なるべく具体的なエピソードを語ろうとする小沢さんの話芸といった、ふたりのキャラクターの違いも出て、本当に興奮した対談。

本にもちょっと出てきたんだけれど、今回の対談で気になったことをいくつかメモ。
・監督が若い時、「横浜の河原で、三味線を持った老女が死んでいた」という新聞記事を読んで、そこに日本の芸能の系譜が途絶える瞬間を感じた、との事。

・篠田監督がドナルド・キーンに「日本の文化は、侘び寂びと言われるモノトーンの文化だと思われているけれど、では歌舞伎の派手な文化はどこから来たのですか?」と聞かれ、そうした派手な文化を担ってきたのが、河原モノと呼ばれる人たちだったと気がついた、とのこと。

・「錦着て畳の上の乞食かな」四世団十郎の句。

・そうした差別された人たちが担ってきた文化は、ハッピーだけれど悲劇で、グロテスクだけれど美しい。その底流には「死」があって、それは芸能が鎮魂であり祓いであったということ。それを引き受けてきたのが役者だった。

などなど。
いやー素晴らしい夜でした。
ただ、気になったのが、こんなにすごいおふたりの対談なのに、ホールはガラガラだったこと。せっかくの機会なのにもったいないよ。

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