東京ナイト

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「前衛仏教論」

2010-01-10 09:40:52 | 
本は「前衛仏教論」(ちくま新書)。
町田宋鳳という比較宗教学者の書いた仏教再生への熱い提言書。



先日読んだ、西本願寺門主の書いた「愚の力」が面白かったので、本棚からまだ読んでいなかった仏教関係の本を探したら出てきた。

著者の本で、以前「山の霊力」を読んだ事があり、単に文献だけに頼らない、現代にも通じる視座に立った書き方に好感を持っていた。
http://blog.goo.ne.jp/mask1970/e/ea3e8031744833ab9ec0d36e915998c1

この本は、著者が「新たな廃仏毀釈の時代が来る」との危機感が根底になっている。
つまり形式主義と金儲けに溺れた今の仏教の脆弱さでは、これからの危機の時代を乗り越えられず、迷える衆生を救うことも出来ない。
ならば、仏教は社会の「前衛」として世界的なスケールで新たな役割を担うべきだ! と言うのが著者の主張。

葬式仏教から脱し、世の人々の固定観念を壊すような大爆発を起こすこと。
それが若い時、京都の禅寺で修行し「いのちの宗教」としての仏教に目覚めた著者の熱い思い。
さまざまな具体的提言が書かれていて、それは宗派を超えた仏教の根本道場を作ろうと言う壮大なものから、座禅のススメまで様々だが、全てが著者の熱い思いから出ている言葉なので説得力がある。

やんごとなき西本願寺門主の清らかな法話も、この著者の前衛論も、元は現代社会に対し仏教は何が出来るか、何をしなければいけないのかという思いがあっての事。仏教関係の本を続けて読みましたが、どちらも興味深い本でした。