ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本の大手電気メーカーのシステムLSI半導体の事業統合が報じられています

2012年02月11日 | 日記
 2012年2月8日の日本経済新聞紙の朝刊と、同日の朝日新聞紙の夕刊はそれぞれ、日本の半導体大手メーカーのルネサスエレクトロニクス(川崎市)、富士通、パナソニックの3社のシステムLSI半導体事業の統合に向けて交渉中と報じました。

 この3社のシステムLSI半導体事業を統合して新会社を設立する計画です。



 新会社が設立されると、システムLSI半導体事業を日本で唯一手がける会社になります。元々、ルネサスエレクトロニクスは、2010年4月にルネサステクノロジとNECエレクトロニクスのシステムLSI半導体事業を統合してできた新会社です。

 その片方のルネサステクノロジは日立製作所と三菱電機のシステムLSI半導体事業を統合してできた会社でした。つまり、日本の大手電気メーカーのシステムLSI半導体事業を統合し尽くしてできるのが、現在交渉中の新会社です。

 その新会社に、経済産業省系のベンチャーキャピタル(VC)といえる株式会社の産業革新機構(東京都千代田区)が、資本を強化するために出資する計画です。

 歴史的な円高によって、製品競争力が落ち、事業収益も落ちたことから、“オールジャパン”の会社を設立するという事業再編計画です。新会社は、システムLSIの製品開発と設計を専門に手がけ、その生産は海外のファウンダーと呼ばれる生産受託会社に任せる計画です。これによって、現在3社が合わせ持つ、システムLSI事業を手がける10工場を整理すると、報じられています。

 この半導体事業の統合による生き残り策は、DRAMと呼ばれるメモリーでも実施しています。現在、日本で唯一、DRAM事業を手がけているエルピーダメモリは、日立と三菱電機、NECのDRAM事業を統合して誕生した会社です。このエルピーダメモリは、超円高の影響で赤字に陥っています。

 こうした日本企業の事業統合は、半導体事業ばかりでなく、LCD(液晶ディスプレー)でも進んでいます。2011年8月31日にソニー、東芝、日立、産業革新機構の4社は中小型LCD事業を統合し、新会社「ジャパンディスプレイ」を設立すると発表しました。スマートフォン(高機能携帯電話機)やタブレット型情報端末機向けの中小型LCDの事業を統合し、オールジャパン体制を築くことで、事業不振を乗り切る構えです。ジャパンディスプレイは、2012年の春に設立される予定です。

 産業革新機構から出資を受けて、新会社が合理化を進める構図は、システムLSI事業と同じです。

 少なくとも日本の大手電気メーカーは不採算部門の事業は事業統合会社を設立しないと乗り切れないようです。かなり日本企業は追い詰められています。

 製造業以外で、こうした企業統合が先行したのは銀行です。20年ぐらい前の“金融ビックバン”によって1990年代に、都市銀行は10数行あったのですが、現在は数行に統合されています。統合前の銀行名が思い出せないほど、新銀行の名前は変わりました。製造業の企業統合はどこまで進むのでしょうか。