ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその395-鞄を持った女

2019年10月19日 | ヨーロッパ映画
年上の女性との実らぬ恋。

多感なる思春期。もしそのような時期に、男性が年上の女性に恋をするとどうなるだろか。
まっすぐ、盲目的に走ってしまい、大体が恋愛成就とはいかない。
しかし、思春期の男性にとって、年上の女性は、たまらなく魅力的なのである。
今回紹介する映画は「鞄を持った女」思春期の青年のほろ苦い体験を描いた作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

田舎道を走り抜けるオープンカー。運転するのはマルッチェロと言う裕福な家庭の男性。助手席に座るのは売れない女性歌手アイーダ。
マルッチェロはもともと遊びでアイーダと付き合い、挙句は彼女を帰宅途上のカフェに置き去りにして逃げてしまう。
自分が遊びの対象だと思っていないアイーダは、マルッチェロの家まで訪ねてくる。
しかしマルッチェロは、弟のロレンツォをたぶらかし、自分はここの家にはいないと言い訳をし、アイーダを帰そうとする。
兄の言われるままロレンツィオは彼女を帰そうとするが、彼はアイーダに一目ぼれをしてしまい、その後アイーダを様々な状況から救おうとする。
自分の気持ちを、押し殺したままアイーダと付き合うロレンツィオだったが.......

若干16歳の設定のロレンツィオの、押し黙ったままの恋心が痛いほど伝わってくる。
印象的なシーンは、或るホテルの中庭で、アイーダと初老の男性がチークダンスを踊るところだ。
ロレンツィオの心に、メラメラと嫉妬が湧き出ているのが観るものに伝わってくる。
自身のその年代の頃を思い出すと、ロレンツィオの態度等思わず首を縦に振ってしまう。
少し残念だったのは、物語の後半以降、マクガフィンであろうと思った、アイーダの大きな「鞄」を見かけなくなったところであろう。
「鞄を持った女」の肝心の「鞄」の設定がなくなった事で、若干ストーリー全体がちぐはぐしてしまった。
ポスター等に見る重い鞄を持ったアイーダは、そこで何かを訴えてくるのかと思ったが、それが肩透かしで終わってしまった。
しかし物語として、青年の年上女性に対する淡い恋心、決して成就しない恋への抵抗感はよく描けた作品と言える。
アイーダを演じた「クラウディア・カルディナーレ」ロレンツィオを演じた「ジャック・ペリン」の、素直な演技にはとても共感が持てる。
まだ観ていない方には、是非観ることをお勧めする。

1961年、イタリア製作、モノクロ、121分、監督:ヴァレリオ・ズルリーニ

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