ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその228-レヴェナント 蘇りし者

2016年05月26日 | アメリカ映画
自然も人間も撮りきった傑作。

人の「生」に対する執着とは何であろう。
平凡に生きている我々には、この「生」に対する意識はあるだろうか。
何のために生き、生きるために何をするのか、自分自身に問いかける人は少ないのではないだろうか。
今回紹介する映画は「レヴェナント 蘇りし者」
先ごろのアカデミー賞で、念願の「主演男優賞」を獲得した、レオナルド・デカプリオ主演の映画である。

ストーリーを紹介しておこう。

西部開拓時代の、アメリカ北部の雪深い場所。
狩をして動物の皮を剥ぎ、それを商売にする一団がいた。
彼らは、その地域の先住民にいきなり襲われ、被害にあう。
その一団のガイド、グラスと息子ホークは舟を捨て、山沿いのルートで砦に向かうことを進言する。
しかし、翌日、見回りをしていたグラスは、熊に襲われ、瀕死の重傷を負う。
余命の無い状態と察した、隊長は、グラスの息子ホークを含む三人に、グラスが死亡したら丁重に埋葬するように命じ、先に進むことにした。
しかし、居残りを命じられた一人、フィッツジェラルドはグラスの事を、あまり良く思っておらず、卑劣な行動にでるのだが......

グラスは熊に襲われ、正に瀕死の状態。普通なら余命幾ばくもないだろう。
しかし彼は許せないことを体験・目撃する。
フィッツジェラルドがまず、死に切れないグラスを生き埋めにするため、グラスを埋葬用の穴にいれ、上から砂をかける。
それを止めに入った息子、ホークをフィッツジェラルドは殺して逃げてしまう。
一度は死に掛けたグラスだったが、この光景を目の前にして、彼は満身創痍の体にムチ打ち復活を遂げる。
彼は「生きる」ことの執着を、自身の体に叩き込んだのだ。彼の息子の仇をとるために。
全編を通じて、デカプリオの演技が素晴らしい。
これ以後のシークエンスは、かなりハードな内容の撮影が続いたものと思われるが、鬼気迫る彼の演技は賞賛に値する。それはまるで、時分自身を、スクリーンに投げつけるような演技だった。
また、全編、数少ない台詞だけで、雪山等の自然の風景を大胆に撮りきった監督、イニャリトゥも素晴らしい。
全体がブルーがかったカラーで、独特の緊迫感を出し、人と自然の対比を見事に表現している。
最近稀に観る傑作である。
ただし、注意しておかなければいけない点がある。
動物愛護心が強い方は、観るのをお控えいただいた方が良い。
馬が射殺されたりするシーンや、かなり残酷なシーンが多い。
観る人によって、普通に観られるシーンでも嫌悪感を持たれる方もいる。
その点だけ、ご注意いただきたい。

監督の「アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ」は昨年、以前このブログでも紹介した前作の「バードマン」でアカデミー賞を総なめにした。
前作が素直な作りでなかった映画だったが、本作は実にストレートに作られた一本で、誰にでも観ることをお勧めできる。
まだ、観ていない方(前述した動物愛護心の強い方以外)には是非観ることをお勧めする。

2015年、アメリカ製作、カラー、156分、2016年日本公開、監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

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