石油と中東

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BPエネルギー統計2018年版解説シリーズ:天然ガス篇 (5)

2018-07-31 | BP統計

 

2018.7.31

前田 高行

 

2.世界の天然ガスの生産量

(北米だけで世界の天然ガスの4分のⅠを生産!)

(1)地域別生産量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-2-G01.pdf 参照)

 2017年の世界の天然ガス生産量は年産3兆6,804億立方メートル(以下㎥)であった。これは石油換算では年産32億トンであり、またフィート換算では日産3,561億立法フィートである。

 

生産量を地域別にみると北米が9,500億㎥と最も多く全体の26%を占めている。これに次ぐのがロシア・中央アジア8,200億㎥、27%)であり、これら二つの地域だけで世界の48%に達する。その他の地域は中東6,600億㎥(18%)、アジア・大洋州6,100億㎥(16%)、欧州2,400億㎥(7%)、アフリカ2,300億㎥(6%)、中南米1,800億㎥(5%)、であった。

 

 各地域の生産量と埋蔵量(前章参照)を比較すると、中東は埋蔵量では世界の41%を占めているが生産量では18%に過ぎない。これに対し北米は埋蔵量シェアが世界全体の6%にとどまるのに対して、生産量のシェアは26%に達しており、埋蔵量と生産量のギャップが大きい。その他の地域の埋蔵量シェアと生産量シェアはロシア・中央アジアは31%(埋蔵量シェア)対22%(生産量シェア)、で中東と同様埋蔵量シェアが大きく、一方、アジア大洋州は同10%対16%で、欧州も(1%対7%)であり北米同様生産量シェアの方が大きい。アフリカ及び中南米は埋蔵量シェアと生産量シェアがほぼ均衡している。このことから天然ガスを他の地域に輸出できるポテンシャルが高いのは中東及びロシア・中央アジアの両地域であると言えよう。

 

(他を圧倒する米国とロシア!)

(2)国別生産量

(表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-2-T01.pdf 参照)

 次に国別に見ると、天然ガス生産量第1位は米国の7,345億㎥/年(711億立法フィート/日、6.3億トン/年)であり、全世界の生産量に占める割合は20%である。第2位はロシア(6,356億㎥、シェア17%)であり、米ロ2カ国の生産量が飛び抜けて多い。

 

この2カ国に続くのがイラン(2,239億㎥)、カナダ(1,763億㎥)、カタール(1,757億㎥)であり、米国或いはロシアの3分の1乃至4分の1である。6位から9位は中国(1,492億㎥)、ノルウェー(1,232億㎥)、オーストラリア(1,135億㎥)、サウジアラビア(1,114億㎥)であり、以上9か国が生産量1千億㎥を超えている。10位はアルジェリア(912億㎥)である。

 

 これら上位各国の生産量を昨年と比較するとオーストラリアが対前年比18%と顕著な増加を示している。同国は近年大型のLNGプロジェクトが次々と稼働を始めており、近い将来現在のカタールをしのぐ世界最大のLNG輸出国になると予測されている。このほかイラン(+10%)、中国(+8.2%)、ロシア(+7.9%)も生産が伸びている。

 

 一方上位10か国の中でカタールとアルジェリアの2か国はわずかではあるが生産量が前年を下回っている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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