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http://mylibrary.maeda1.jp/0440OilMajor2018-1stQtr.pdf
1. 五社の1-3月期業績比較(続き)
(2)総合利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
今期は5社ともに利益を計上しており、またTotal以外の4社は前年同期を上回る利益を計上している。利益額が5社の中で最も大きいのはShellの59億ドルであり前年同期(35億ドル)の1.7倍である。Shellに次いで利益が多いのはExxonMobilの47億ドルであり、同社の場合は前年同期比16%増である。Chevron、Total及びBPの利益はそれぞれ36億ドル、26億ドル及び25億ドルであり、前年同期に比較するとTotalは8%の減益であるが、Chevron、BPは36%及び70%の増益である。
(3)上流部門と下流部門の利益
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56.pdf及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-57.pdf参照)
利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)に分けて比較すると、まず上流部門ではExxonMobil(35億ドル)、Chevron(34億ドル)、BP(32億ドル)の3社が30億ドル台の利益を計上して並んでいる。
これに次ぐのがTotalの22億ドルでShellは5社中では最も少ない19億ドルである。Shellの前年同期はマイナス5億ドルで5社中、唯一上流部門で欠損を計上したが、今期はプラスに転換している。とは言え5社の中で利益水準が最も低く同社の上流部門は脆弱と言えよう。
下流部門は全社利益が計上しているというものの、いずれも上流部門の利益を下回っており、また前年同期と比較すると横ばいであったBPを除き他の4社はいずれも20%~30%低下している。上記(1)の売上高で触れた通り、原油価格が前年1-3月期の平均48ドルから今期は61ドル上昇したため下流部門の利益が圧迫されている。
5社の中で下流部門の利益が最も高かったのはShellの18億ドルである。同社上流部門の利益が5社の中で最も少ない(上記)のと対照的である。Shellに次ぐのがBP(17億ドル)であり、その他の3社の利益は一桁台(7乃至9億ドル)であった。これら3社の下流部門の利益は上流部門のそれの2分の1以下である。歴史的に見ると五大国際石油企業は2014年に原油価格が100ドルを超えるまで上流部門の利益が下流部門を上回る時代が長く続き、その後一転して原油価格が暴落した2015~17年は下流部門の利益が上流部門を上回った。そして原油価格が高値安定している現在は再び上流部門が利益の源泉になっている。
なお上記(2)総合損益は各社によって石油化学品部門あるいはその他の損益を含むため上・下流部門の利益の合計額とは一致しないケースがある。
(続く)
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