石油と中東

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大恐慌以来最悪の景気後退(The Great Lockdown):IMF世界経済見通し2020年4月版(2)

2020-04-20 | その他

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0500ImfWeoApr2020.pdf 

1.2020/21年の経済成長率(続き)
(GDP大国の中で唯一プラス成長を維持すると見られる中国とインド!)
(2)主要国のGDP成長率
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
世界及び中東主要国の昨年から来年まで3年間の成長率を見ると、まず目につくのは米国、日本をはじめほとんどの国が今年はマイナス成長になる見込みである。その中でプラス成長を続けると見られるのは中国及びインドの2カ国である。

日本は昨年の0.7%から今年は▲5.2%のマイナス成長になるとIMFは予測している。日本は過去2年間1%以下という先進国の中でも比較的低い成長率にとどまっており、今年の見込み成長率(▲5.2%)はリーマンショック時の2009年(▲5.4%)に次ぐマイナス成長である。来年についてはプラス3.0%の成長が見込まれている。但し2011年以来日本の成長率は2%以下であり、3%成長を達成することは必ずしも容易ではなさそうである。

米国の場合、昨年実績はプラス2.3%であったが、今年は一挙にマイナス5.9%に落ち込むと見込まれる。これに対し来年は4.7%成長に戻ると予測され、わずか2年間で10.6%の大きな振幅がある。このような振幅は米国以外の各国でも見られる現象であり、IMFはコロナウィルス問題が終焉すれば世界経済がV字回復すると見ているようである。

中国は昨年、6.1%の成長率を達成、インドとともに世界経済をけん引していたが、今年の成長率は1.2%に留まる見込みである。なお中国国家統計局は今年1-3月期のGDPが前年同期比▲6.8%であったと発表しており、四半期の成長率としては記録上初めてである。IMFは中国の成長率が年間を通じてプラスに転じると見込んでおり、また来年は9.2%の大幅な成長を予測している。4月以降来年にかけての中国経済の推移が注目されるところである。

インドの今年の成長率は1.9%と見込まれ中国と並ぶ数少ないプラス成長国である。またIMFは同国の来年の成長率を7.4%と予測している。

MENAの主要国の3か年の成長率は、サウジアラビアが0.3%(昨年)→▲2.3%(今年)→2.9%(来年)であり、トルコは0.9%(昨年)→▲5%→5%、イラン▲7.6%(昨年)→▲6%→3.1%である。3か国とも今年はマイナス成長であり、来年はプラスに転じると予測している。イランはサウジアラビアと同じ産油国ではあるが、米国の経済制裁により昨年は▲7.6%のマイナス成長であった。今回のコロナウィルス問題でもイランは中東で最も大きな影響を受けており、二年連続で大幅なマイナス成長を強いられている。来年プラス成長に転じることができるか極めて厳しい状況に置かれている。

(続く)

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