石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:天然ガス篇20貿易量(6)

2013-08-13 | その他

 

(注)本シリーズ「BPレポート天然ガス篇」は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0275BpGas2013.pdf

 

 

(4) パイプラインによる輸出入(2012年、NET)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G05.pdf 参照)
2012年の天然ガスの主な国の輸出入量は概略以下のとおりである。なお本章第2項「天然ガスの貿易量」では2012年のパイプラインによる貿易量は7,060億㎥としたが、これは各国の輸出入を単純合計した総量である。パイプライン貿易では輸出と輸入を同時並行している国があり、米国とカナダはその典型的な例である。因みに2012年に米国はカナダから838億㎥の天然ガスを輸入する一方、カナダへ125億㎥を輸出している。両国には国境をまたぐ多数の天然ガスパイプラインがあるためである。このような重複をプラスマイナスすると2012年のパイプラインによる天然ガスのNET輸出(入)量は5,587億㎥となる。

(世界のパイプライン貿易の4分の1を支配するロシア!)
(4-1)国別輸出量
 パイプラインによる天然ガス輸出が最も多い国はロシアでありその輸出量は1,561億㎥、世界の総輸出量の28%を占めている。ロシアの輸出先は東ヨーロッパ及び西ヨーロッパ諸国であるが、2006年のロシアとウクライナの天然ガス価格を巡る紛争のように西欧諸国にとってエネルギー安全保障上の問題となっている。

第2位のノルウェーの輸出量は1,066億㎥(シェア19.1%)であり、年間輸出量が1千億㎥を超えているのはこの2カ国だけである。両国に次いで輸出量が多いのはカナダ(563億㎥)、オランダ(400億㎥)、アルジェリア(348億㎥)であり、カナダの輸出先は米国、アルジェリアは地中海の海底パイプラインにより西ヨーロッパ諸国に輸出している。

上記5カ国による輸出量は全世界の70%を占めており、従来パイプラインによる輸出は北米大陸とヨーロッパ大陸が主流であった。しかし最近ではトルクメニスタンから中国への輸出、或いはドルフィン・パイプラインによるカタールからUAEへの輸出など北米、ヨーロッパ以外の地域でもパイプラインによる天然ガス貿易が拡大しつつある。

(パイプラインによる天然ガス輸入量トップはドイツ!)
(4-2)国別輸入量
 2012年にパイプラインによる天然ガスの輸入量が最も多かったのはドイツで743億㎥(NET)であった。これに次ぐのがイタリア(596億㎥)、米国(388億㎥)、トルコ(343億㎥)、フランス(338億㎥)、ウクライナ(298億㎥)、英国(235億㎥)である。ドイツの主たる輸入先はロシア及びノルウェーであり、イタリアはアルジェリア及びロシアから輸入している。ウクライナは全量をロシアからの輸入に依存しており、上記に触れた2006年のロシアとの紛争に見られる通り天然ガス問題はウクライナのアキレス腱となっている。また英国はかつては天然ガスの輸出国であったが最近では純輸入国に転落しており、パイプラインによるほかカタールからのLNG輸入にも踏み切っている(3-3項参照)。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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