(原題) A look at the PLO’s new vice president, Hussein al-Sheikh
2025/4/27 Ahram Online (by AP)

新設されたPLO副大統領にアル・シェイク(64歳)が指名され、現在89歳のパレスチナ自治政府大統領マフムード・アッバースの最有力後継者候補となった。但し必ずしも後継者と決まったわけではない。ポスト新設は、アッバースが国際社会の支持を獲得し、戦後ガザで自らの役割を担うための近年の改革の一環にすぎない。アル・シェイク氏の背景は以下のとおりである。
ベテラン政治家
ヨルダン川西岸の都市ラマラ生まれのアル・シェイクは、アッバースの側近であり腹心でもある。彼は数十年にわたり要職を歴任したベテラン政治家であり、直近では過去3年間、PLO執行委員会の事務総長を務めている。同氏は民生問題に関するイスラエルとの主要窓口となっている。同氏は青年時代に11年間イスラエルの刑務所に収監され、そこでヘブライ語を習得している。また、パレスチナ治安部隊のベテランでもあり、その経験はパレスチナ治安当局関係者や一般市民から信頼を得る上で大きな力となると考えられる。
強力なポスト
民政を担当するアル・シェイクは、パレスチナ自治政府で最も影響力を持つ人物の一人である。彼の事務所は、パレスチナ人が仕事や医療のためにイスラエルに入国することを可能にする渡航許可証の発行を担当しており、これにより、一般のパレスチナ人や、自身のVIP特権を維持するために彼に頼っている政敵に対して絶大な影響力を持っている。これについて、彼は、AP通信とのインタビューで、困難な状況にあるパレスチナ人を支援するためにイスラエルと協力する以外に選択肢はなかったと述べている。
国際的なつながり
アル・シェイクは、長年にわたり築いてきた国際的なつながりから恩恵を受けることができるであろう。イスラエルはアッバースが和平に真剣ではないと考えており、戦後のガザ地区における同大統領の役割を否定している。しかし、アル・シェイクはイスラエルと良好な実務関係を築いており、また、ガザ地区の再建に資金が必要となる裕福な湾岸アラブ諸国や米国との国際会議にも、アッバース大統領の代理として出席している。今年初めには、サウジアラビアでドナルド・トランプ大統領の中東特使、スティーブ・ウィトコフ氏と会談している。
大統領就任は保証されていない
アル・シェイクは、アッバース大統領の後継者として最有力候補となったが、就任が保証された訳ではない。アッバース大統領は依然として権限を有しており、副大統領の業績に不満があれば解任できる。アッバース大統領が死去または行動不能となった場合、アル・シェイクは暫定大統領としてのみ就任する。PLO執行委員会は最終的に正式な後継者を選出する必要があるが、大統領選のライバルや他の候補者で構成された委員会が、アル・シェイクを支持する保証はない。
以上