石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

北欧が上位を独占、アラブ諸国トップは世界105位のカタール:報道の自由度 (2)

2023-12-29 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0593WorldRank10.pdf

 

(世界ランクシリーズ その10 2023年版)

 

(世界180か国中で日本は68位、中国は最下位の北朝鮮に次ぐ179位!)

2.2023年の世界ランク及び前年との比較

(表http://rank.maeda1.jp/10-T01.pdf参照)

 2023年の報道の自由度世界1位はノルウェーで、そのスコアは95.18である。これに続く世界5位までにはアイルランド、デンマーク、スウェーデン及びフィンランドが入っており全て北欧諸国である。ノルウェーは昨年に引き続き世界1位であり、アイルランドは昨年の6位から2位にアップしている。

 

 主要な国々の世界ランクを見ると、米国はスコア71.22で世界45位である。日本はスコア63.95で世界68位である。スコアと順位を昨年と比較すると、米国はスコアが1.52悪化し順位も3ランク下がっている。日本はスコアは0.42下がったが、順位は3ランク上がっている。日本以外のG7の国々はカナダ(15位)、ドイツ(21位)、フランス(24位)、英国(26位)、イタリア(41位)、米国(45位)といずれも日本より報道の自由度が高いとされている。またBRICs諸国は南アフリカ(25位)が際立って高く、インド、ロシア及び中国は160位以下にとどまっている。特に中国は調査対象国180カ国中最下位の北朝鮮に次ぐ最低レベルに評価されている。

 

 中東諸国を見ると、トップはイスラエルで同国の世界順位は97位と世界のほぼ中位である。しかし同国以外の中東各国はいずれも100位以下であり、その中で比較的高いのはカタール(105位)、レバノン(119位)である。カタール以外のGCC諸国はUAEが145位であり、クウェイト(154位)、オマーン(155位)、サウジアラビア(170位)、バハレーン(171位)など最下位クラスにとどまっている。カタールはアラビア語圏ではもっとも人気の高いアル・ジャジーラ放送の拠点であり、欧米諸国からは国際報道姿勢を高く評価されている。特に近年はアフガニスタンのタリバン政権或いはパレスチナガザ地区を実効支配しているハマスに事務所開設を認めるなど、かなり大胆なメディア開放政策を取っていることが評価されているようである。

 

中東の主要国であるトルコ、エジプト及びイランの世界ランクはそれぞれトルコ165位、エジプト166位、イラン177位でありいずれも自由度の評価は最低クラス(評価度:Very serious situation)である。3か国のスコアを前年の2022年と比較すると、トルコは41.25→33.97と大幅に下がっているのに対し、エジプトは30.23→33.37、イランは23.22→24.81と若干改善している。

 

(続く)

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(97)

2023-12-29 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第4章:中東の戦争と平和(11)

 

097 「平和の家」と「戦争の家」(1/4)

 イスラームでは自分たちの世界を「平和の家(ダール・アル・イスラーム)」と呼び、それ以外の世界を「戦争の家(ダール・アル・ハルブ)」と呼んでいる。ちなみに「イスラーム」とは唯一神アッラーとその使徒ムハンマドを信じ、聖典クルアーン(コーラン)の教えに従って生きることを意味する(岩波「イスラーム辞典」より)。ムスリム(イスラーム信者)としてイスラーム世界で生活すればそれはとりもなおさず平和な世界なのであり、異教徒の住む外の世界では戦争が絶えない、ということになる。

 

 信仰心が篤ければ自分たちの世界に平和なユートピアが保証されるとするのは何もイスラームに限ったことではない。キリスト教にも「至福の千年王国」なる言葉がある。どちらの信者でもない筆者にはこれらの言葉を解説する資格はないが、似たような言葉であると言っても許されるであろう。他の一神教や多神教にも同じような思想があると思われる。「悟り」を最高の境地とする仏教の世界とは多少違うようである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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