石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(12月22日)

2022-12-22 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・中国11月原油輸入、ロシアがトップの190万B/D。サウジは161万B/D

・イラン、アジア向け1月原油価格を引き下げ。サウジに追随

・イラン原油生産量、300万B/Dに近付く。 *

イラン生産量(2020.1~2022.11月)グラフ参照。(OPEC月報)

(中東関連ニュース)

・ヨルダンで第2回バグダッド会議。イラク問題協議で中東各国首脳参加

イラン外相:サウジ外相とヨルダンサミットで友好的な会話

・スウェーデン外相、NATO加盟問題打開のためトルコ訪問

・米、来年3月までにアラブ-イスラエル会議を計画

・ウクライナ紛争でトルコ製ドローン爆撃機が大きな役割果たす。 *

*レポート「中東に広まるドローン(UCAV)の開発と軍事利用」参照

・エジプト:スエズ運河売却の噂否定。基金設立は財務基盤強化が目的

・イスラエル極右政権誕生で日本の中東和平中立性の名声は維持できるか? 

*外務省HP外務大臣会見記録(12/20日)参照。

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SF小説:「ナクバの東」(62)

2022-12-22 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)

 

62. エスニック・クレンザー(民族浄化剤)(5)

 

女医のシャロームは奇妙な噂を耳にした。N市に住むパレスチナの女児や成人女性が多数発熱したと言うのである。ただその発熱も数日でおさまったようである。発熱の少し前にワクチンの集団接種があり、その影響かと思われた。普通であれば医学的に深い疑問を抱くような事案ではなかった。

 

しかし彼女は何か腑に落ちないものを感じていた。その一つは集団接種が行政機関の保健所ではなく軍の管轄で行われたことであった。そして二つ目は接種後の発熱者がパレスチナ人の女児と成人女性に限られていたことであった。

 

彼女は受診データを取り寄せた結果、成人女性のほとんどが50歳以下であり、老年女性が含まれていない事実に驚いた。軍の管轄と言うことで念のため父親の将軍に聞いてみたが、父親からは、すでに軍役を離れて久しく、また医療関係のことなど全く分からない、と木で鼻をくくったような返事がかえってきただけであった。

 

彼女はしばらく前、父親が自宅で軍医総監と何やら相談し、その翌日に彼女と同じ病院のジルゴが訪ねて来たことはすでに承知していた。噂好きの姉が言わずもがなにそれを話してくれていたからである。ゴルダは何やら陰謀めいたものを直感したが、あくまで自分で確かめたことしか信じないのが科学者としての彼女の流儀であった。

 

シャロームはN市の知り合いの診療所の一角を借り、仕事の合間を縫って患者の診察と病理検査を行った。同じ病院で働く『ドクター・ジルゴ』が噂を聞きつけて彼女に根掘り葉掘り探りを入れてきたが、彼女はそれを無視して真理の探究に突き進んだ。

 

ある日、一人のパレスチナ少女が母親に連れられて彼女のもとに訪ねて来た。数日前まで高熱であったが現在は少し収まったとのこと。ただ下腹部の痛みが続くので診察を受けに来たのであった。シャロームは型通りの問診、脈拍など外見的な検診を行い、さらに血液及び子宮内の細胞を採取して少女を帰した。

その日の夜、シャロームは少女から採取した細胞の顕微鏡と遺伝子検査を行った。彼女はそこで驚愕の事実を発見した。

 

シャロームはうろ覚えの患者の名前を確認するため手許のカルテを広げた。

少女の名前は「ルル」。

 

(Part II完)

(Part IIIに続く)

 

 

荒葉一也

(From an ordinary citizen in the cloud)

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

 

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