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http://mylibrary.maeda1.jp/0558ImfWeoApr2022.pdf
3. 2022年GDP成長率見直しの推移
IMFの世界経済見通しは毎年4月、10月に全世界200弱の国について成長率の見直しが行われ、さらに1月及び7月には主要な国と経済圏の成長率が発表されている。主要な国と経済圏については3カ月ごとに検証されていることになる。
これまでは3カ月間で大きく状況が変化することは少なかったが、コロナ禍の影響が長引き、さらに今年に入りロシアのウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が急騰したこともあり、IMFはGDP成長率を下方修正する必要に迫られた。
ここでは直近4回(2021年7月、10月、2022年1月、4月)の成長率見直しの推移を比較する。
(10月以降3回連続で下方修正された世界、米国および中国!)
3-1 全世界及び日米中
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03a.pdf 参照)
直近4回のIMF経済見通しにおける2022年の世界のGDP成長率は2021年7月見通し及び10月と続けて4.9%であったが、その後2022年1月は4.4%、さらに今回4月は3.6%へと連続して下方修正されている。
米国の2022年成長率は、4.9%(2021年7月予測)→5.2%(同10月)→4.0%(本年1月)→3.7%(今回4月)であり、昨年10月には一度上方修正されたが、今年1月には大幅に下方修正され、さらに今回4月には再度引き下げられている。
中国の場合は、5.7%(2021年7月予測)→5.6%(同10月)→4.8%(本年1月)→4.4%(今回4月)
と4回連続で成長率は引き下げられている。コロナ禍に加えウクライナ情勢が中国経済に大きな重しとなっていることがわかる。
日本の2022年成長率の過去1年間の見直しは3.0%(2021年7月予測)→3.2%(同10月)→3.3%(本年1月)→2.4%(今回4月)である。昨年7月から本園1月まで成長率は上方修正されており、日本が世界に先駆けてコロナ禍を克服しつつあると評価したものと考えられる。しかしウクライナ紛争によるエネルギー価格の急騰は日本経済のアキレス腱と見なされ今回の4月見通しでは成長率が大きく下方修正されている。
(OPEC+の盟主に極端な明暗!)
3-1 ロシアとサウジアラビア
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03b.pdf 参照)
サウジアラビアとロシアは米国と並ぶ三大産油国であり、両国はOPEC+(プラス)の盟主として最近の石油価格の高値安定を主導している。この結果、両国経済は安定し、昨年7月以降今年1月まで、2022年成長率はサウジアラビアが4.8%で変わらず、ロシアも3±0.2%の小幅な変動にとどまっていた。
しかし今回の見直しではサウジアラビアが+7.6%と上方修正された一方、ロシアは▲8.5%のマイナス成長と大幅に下落しており、両国は極端に明暗を分けている。ウクライナ紛争により石油価格が急騰したことは輸出国のサウジアラビアに大きな追い風となった一方、紛争当事者のロシアは経済制裁の影響を受け今後に深刻な懸念がある。
以上
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