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http://mylibrary.maeda1.jp/0558ImfWeoApr2022.pdf
2. 2021年~2023年のGDP成長率の変化
主要な経済圏と国家の昨年(実績)、今年(見込み)及び来年(予測)のGDP成長率の推移を見ると以下の通りである。
(今年、来年と続けて停滞するEU圏、力強く回復するASEAN!)
2-1主要経済圏
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)
全世界の3年間の成長率は6.1%(2021年実績)→3.6%(2022年見込)→3.6%(2023年予測)であり、昨年は景気回復の兆しが見られたが、今年及び来年は長期化するコロナ禍に加え、ウクライナ危機により世界経済が大きく混乱すると考えられ、成長率は低迷する見通しである。
ウクライナ危機の影響を最も大きく受けるのはEU圏である。3年間の成長率も5.4%(2021年実績)→2.9%(2022年見込)→2.5%(2023年予測)であり、今年及び来年は2%台の成長率にとどまる。これに対してASEAN5カ国の成長率は3.4%(2021年実績)→5.3%(2022年見込)→5.9%(2023年予測)であり、2021年は先進国に遅れてコロナ禍の影響を受けたため世界平均或いはEU圏を下回ったが、今年から来年は成長を回復し、再び世界の成長センターになる勢いである。
中東及び中央アジアは産油・ガス国が多く、エネルギー価格の高騰により昨年は高い成長率(5.7%)を示している。今年及び来年の成長率は4.6%及び3.7%で、年々低下する見通しである。但しこれでも世界平均或いはEU圏を上回っており、IMFはウクライナ情勢を織り込んでエネルギー価格が引き続き高値に推移すると見ている。
(今年▲8.5%の大幅なマイナス成長になるロシア!)
2-2主要国
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)
米国の昨年の成長率は5.7%であったが、今年(3.7%)、来年(2.3%)と連続して成長が鈍化する。中国は8.1%(2021年実績)→4.4%(2022年見込)→5.1%(2023年予測)であり、2022年、23年は5%前後の成長にとどまる見込みである。この数値は米国はもとより日本、ドイツなど先進国よりかなり高い水準であるが、ごく最近まで二桁台の成長率を誇っていた頃に比べるとかなり低い。中国とならぶ経済大国インドの成長率は8.9%(2021年実績)→8.2%(2022年見込)→6.9%(2023年予測)であり、高い成長を維持するようである。
中国、インドなどと共に新興経済国BRICsの一翼を担ってきたロシアの成長率は対照的な様相を呈している。昨年(2021年)こそは4.7%の成長率を示したが、今年は一転して▲8.5%の大幅なマイナス成長が見込まれ、来年も▲2.3%のマイナスが続くと予測されている。ウクライナへの軍事介入が同国の経済に極めて深刻な影響を及ぼすことは間違いなさそうである。
中東4カ国(サウジアラビア、トルコ、エジプト及びイラン)の3カ年の成長率は以下のとおりである。
サウジアラビア: 3.2%(2021年実績)→7.6%(2022年見込)→3.6%(2023年予測)
トルコ: 11.0%(2021年実績)→2.7%(2022年見込)→3.0%(2023年予測)
エジプト: 3.3%(2021年実績)→5.9%(2022年見込)→5.0%(2023年予測)
イラン: 4.0%(2021年実績)→3.0%(2022年見込)→2.0%(2023年予測)
サウジアラビアは石油価格高騰の恩恵を受けて今年は7.6%の高い成長率を達成する見込みであり、トルコの場合は昨年11.0%と言う非常に高い成長率を記録している。但し両国ともそれ以外の前後の年の成長率は3%前後にとどまっている。エジプトは安定した成長率が続くと見込まれ、経済制裁を受けているイランは3カ年とも低い成長率にとどまっている。
(続く)
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