(2000年以降の天然ガス貿易の年平均伸び率は4.7%!)
(2)天然ガスの貿易量(2000年~2015年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G01.pdf 参照)
2015年の世界の天然ガス貿易の総量は1兆420億立法メートル(以下㎥)であり、内訳はパイプラインによるものが7,040億㎥、LNGとして取引されたものは3,380億㎥であった。パイプライン貿易が全体の3分の2を占めており、LNG貿易は3分の1である。天然ガス貿易に関与している国の数はパイプライン及びLNGを合わせ延べ50か国以上にのぼる。これらの国の中には日本のようにパイプラインによる輸入がなく全てLNG輸入に依存している国がある一方、カザフスタンのようにパイプラインによるガス輸出のみを行っている国、更には米国とカナダのようにパイプラインで相互に輸出と輸入を行っている国、あるいはカタールのようにLNG輸出から始まり今や近隣国にパイプラインによるガス輸出も行っているなど様々な形態があり、天然ガス貿易は多様化している。
2000年以降の天然ガスの貿易量を見ると、2000年に5千億㎥を突破した後ほぼ2年毎に1,000億㎥ずつと言う高い伸びを示し、2011年には1兆㎥を超えている。同以降は伸びが鈍化し、2014年には1兆㎥を割ったが、2015年には再び1兆㎥を超えた。この間の年平均増加率は4.7%である。貿易に占めるパイプラインとLNGの比率は2000年にはパイプライン74%、LNG26%であったが、その後LNGの比率が徐々に増加、2010年には30%を超え、2015年はパイプライン67%、LNG33%となっている。
2000年と2015年を比較するとパイプラインによる貿易量の伸びが1.8倍であったのに対してLNGの伸び率は2.5倍である。LNGは最近の伸びが特に著しく2010年には対前年比24%という高い増加率を示している。天然ガス貿易はパイプライン或いはLNG設備が完成すれば貿易量が飛躍的に伸びるという特性があるが、LNG貿易はカタールの能力増強やロシア(極東)、豪州等の設備新設により供給力が増加したことが貿易量の増大につながっている。
(続く)
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