(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf
(2位ロシアとの差を広げる米国!)
(4)ロシア、米国等主要国の生産量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-2-G03.pdf 参照)
ここでは2014年の生産量上位4カ国(米国、ロシア、サウジアラビア、イラン)に中国、カタール及びブラジルを加えた7か国について2000年以降の生産量の推移を見ることとする。
2000年における石油・天然ガス合計生産量は米国が1,709万B/D(内訳:石油773万B/D、天然ガス5,432億㎥、石油換算936万B/D。以下同じ)でトップであり、ロシアは1,569万B/D(658万B/D、5,285億㎥、911万B/D)であった。その後、米国は生産量が減少、一方のロシアは増加したため2002年には両国の順位が逆転した。両国の差は年々大きくなり2005年の生産量はロシアが1,959万B/D、米国は1,571万B/Dと両国の差は400万B/Dまで拡大した。しかし米国の生産が2005年を底に上向きに転じる一方、ロシアはその後横這いにとどまっている。この結果2013年には両国の順位が逆転、米国が80万B/Dの差でトップになった。2014年の生産量はロシアの2,081万B/Dに対し米国は2,419万B/Dで両国の差は広がっている。
サウジアラビアの場合は従来から石油の比率が圧倒的に高く、2000年の生産は石油が947万B/D、天然ガスは86万B/D(石油換算)で石油はガスの11倍であった。その後同国の石油生産は常時1千万B/D前後で推移する一方、天然ガスの生産は毎年前年を上回る増加を続けている。この結果2014年の生産量は石油1,151万B/D、天然ガス187万B/Dの合計1,337万B/Dに達し、石油はガスの6.2倍となり天然ガスの比率が上がっている。
カタールは2000年時点では石油と天然ガスの生産量はそれぞれ85万B/D、41万B/D(合計126万B/D)であり、石油が天然ガスを上回っていたが、その後天然ガスの生産が急速に拡大し、2006年には倍増、さらに2014年には石油換算で305万B/Dに達している。この結果、2014年の石油・天然ガスの合計生産量は2000年の4倍の504万B/Dを記録するとともに、石油と天然ガスの比率は石油39%に対し天然ガスは61%と逆転している。
中国は2000年以降着実に生産量が増加しており、2000年の374万B/Dから2014年には1.8倍の656万B/Dに増えている。イランも中国同様2011年までは着実に増加し、2000年の合計生産量488万B/Dが2011年には1.5倍の713万B/Dに増加した。しかしその後、核開発疑惑をめぐる欧米諸国の禁輸制裁の結果、大幅に減少2014年の石油・天然ガスの合計生産量は659万B/Dにとどまっている。天然ガスは全量国内消費のため生産量は今後も増加すると見込まれるが、原油の生産は経済制裁解除の成否にかかっており予断を許さない。
ブラジルの生産量は上記の国々に比べて必ずしも多くないが、2014年の生産量は2000年に比べて1.9倍である。これは6カ国の中ではカタールに次いで高い伸び率であり、米国の1.4倍に比べかなり大きく今後の生産量増加が期待される。
(石油+天然ガス篇 生産量完)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp