Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(297)古尾谷雅人

2015-09-24 05:45:04 | コラム
57年5月14日生まれ、2003年3月25日死去。享年45歳。
川崎出身。

自死という結末に、ショックを受けた(日本の)男優さん―という書きかただといろいろ誤解を受けるかもしれませんが、
個人的に世代的に、それは沖田浩之と古尾谷雅人(ふるおや・まさと)さんになります。

偶然にも、『金八先生』の第二作(80~81)で共演したふたりです。

成人後も、ヤンキーどもの「よきアニキ」であり続ける・・・現代ではちょっとイタいキャラクターかもしれませんが、古尾谷さんの熱演によって、観ているほうも気恥ずかしさを感じることがありません。

「オチャラケ」た、軽~いキャラクターが苦手でした。
常に、硬派であろうとしました。

そのため時代の空気にあわなくなり、オファーが激減しました。
借金がかさみ、奥さんを殴るようになります。

躁鬱を繰り返し、ある日、ぷつりと糸が切れてしまった・・・。

通夜で桃井かおりが、「長生きすることが勝ちなんだと思わないと」といったのが忘れられません。


※ストーンズの『黒く塗れ!』が絶妙なシーンで流れる。
大森監督にとっても、古尾谷さんにとっても、これこそ最高傑作かと。




<経歴>

信奉する俳優は、松田優作。

高校卒業後に就職するも、演じることに興味を抱いて退社、劇団ひまわりに入団して演技の基礎を学ぶ。

映画俳優デビュー作は、77年の『女教師』。
日活ロマンポルノです。

眼光鋭い古尾谷さんは新進気鋭の監督たちから注目を受け、『団地妻 犯された肌』(77)や『人妻集団暴行致死事件』(78)、『天使のはらわた 名美』(79)、『団地妻 肉欲の陶酔』(79)に連続出演、ポルノファンには知られる存在となりました。

一般映画への進出は、80年の『ヒポクラテスたち』から。
(医大出身の)大森一樹が、医学生たちの青春を切り取った傑作です。

ちょうど同じころにテレビドラマにも顔を出すようになり、当時から病的に繊細ではあったようですが、
長身でイケメンではありますからね、若い女子を中心に人気が広がっていきました。

『スローなブギにしてくれ』(81)、『悪霊島』(81)、『風の歌を聴け』(81)、『九月の冗談クラブバンド』(82)、『凶弾』(82)、『いつか誰かが殺される』(84)、『伽揶子のために』(84)、『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』(86)、『キャバレー』(86)、『植村直己物語』(86)、『オイディプスの刃』(86)、『別れぬ理由』(87)、『花の降る午後』(89)。

バラエティに富んだこの時代のキャリアを眺めれば分かります、ちょっと酷ないいかたになるかもしれませんが「80年代のひと」だったのかもしれませんよね。

『宇宙の法則』(90)、『BEST GUY』(90)、『略奪愛』(91)、『月はどっちに出ている』(93)、『シュート!』(94)、『集団左遷』(94)、
個人的には、刑事のイヤな部分がきっちり描かれていた『マークスの山』(95)なんか好きですけどね。

『お日柄もよくご愁傷さま』(96)、『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』(97)、『のど自慢』(99)。
『ホワイトアウト』(2000)。

「最近、見ないなぁ…」と思っていると、ひょっこりスクリーンに現れる。
後半生は、ずっとそんな感じでした。

・・・が、2003年の3月、唐突に自死のニュースが飛び込んできました。

借金だけでなく、遺産相続などのトラブルもあったようです。
それでもやっぱり、桃井先輩がいうように「長生きすることが勝ちなんだ」と思う、思いたい、、、ですね。

遺作は、『人斬り銀次』(2003)。

あらためて合掌! です。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『edge』
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2 コメント

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何処かで壊れてしまったのかー (夢見)
2015-09-24 09:31:23
気の迷い はずみであったのか

死ぬ人間の気持ちは 

追い詰められているー死しか出口は無いーそう思いつめたのかもしれないけれど

いい俳優さんであっただけに惜しまれます

返信する
Unknown (pic)
2016-03-31 05:00:29
双極性障害(躁鬱病)の凄まじい苦しみは本人や同じ病気の方にしか理解は出来ないです。

「思いつめて、思い悩んで」 なんてものとは別次元の苦しみなので。
返信する

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