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にっぽん男優列伝(241)寺田農

2014-08-23 00:30:00 | コラム
42年11月7日生まれ・現在71歳。
東京出身。

公式プロフィール


憎くて、憎くて。
あまりの憎たらしさに映画のキャラクターであることを忘れ、演じている俳優のことを本気で憎んだり嫌いになったり憤慨したりしたことはないですか。

子どもであれば「しょっちゅう」かもしれませんが、10代後半以降に。

自分は、ありますねー。
その逆であれば、もちろん『タクシードライバー』(76)のトラビス「ただひとり」となりますが、本気で憎いと思ったキャラクターは複数居ます。

たとえば『カッコーの巣の上で』(75)で鬼婦長を演じた、ルイーズ・フレッチャーとか。

そして、『夜がまた来る』(94)の寺田農(てらだ・みのり)さんとか。

ヒロイン・夏川結衣を徹底的にいたぶるヤクザを演じた寺田さん、そのいたぶりは陵辱のかぎりを尽くし、ほとんど鬼畜です。
憎くて、憎くて、こんな男が身近に居たら殺してしまうかもしれません。
そのくらい、ひどかった。

そして寺田さんの演技は、ひじょうに恐ろしいものだと慄きました。

クセのある、イヤなキャラクターを演じることが多いひとです。
笑うと「ひとのいいジジイ」なんですけれどね、そのギャップが素晴らしいです。


※それでも代表作をひとつ挙げろといわれれば、まだ若手だったころのこれで決まりでしょう!




<経歴>

父親は、洋画家の寺田政明。

弟子の俳優に、元付き人の椎名桔平が居ます。
また2008年より、東海大学文学部文芸創作学科の特任教授を務めてもいます。

早稲田の政治経済学部を中退し、文学座附属演劇研究所に入所する。
同期の顔ぶれがすごいです。岸田森に橋爪功、北村総一朗、樹木希林や小川眞由美ですよ!!

映画俳優デビュー作は、65年の『恐山の女』。
同年、テレビドラマ『青春とはなんだ』にレギュラー出演を果たし、以降、映画・舞台・ドラマで「主演は滅多にやらないけれど、そこそこ重要な役」を沢山こなしていきます。
ただ当時は、前述した「憎らしいキャラクター」を演じることは少なく、好青年が多いですね。
あのイヤな感じは、歳を取ってからだったんですね~。

68年、岡本喜八のATG作品『肉弾』で主人公の「あいつ」を好演。
大谷直子とともに、鮮烈な印象を残しました。

こんな反戦のメッセージも「あり。」なのか、映画はなんだって出来るんだ―高校生の自分は感動し、おおいに勇気をもらいましたね。
観ていない若き映画小僧よ、こういうの観てから映画を語りましょうね。

沢山の出演作がありますので、ドドドッといきましょう。

『赤毛』(69)、『大日本スリ集団』(69)、
『座頭市と用心棒』(70)、『津軽じょんがら節』(73)、『あさき夢みし』(74)、『歌麿 夢と知りせば』(77)、
ゲリラのリーダーを熱演した『野性の証明』(78)、
霧隠才蔵を演じた『真田幸村の謀略』(79)、
『ええじゃないか』(81)、『駅 STATION』、『セーラー服と機関銃』(81)、
殺し屋役の『近頃なぜかチャールストン』(81)、
『南十字星』(82)、『暗室』(83)、『ションベン・ライダー』(83)、『魚影の群れ』(83)、『里見八犬伝』(83)、
石井隆の物語で「村木哲郎」を演じた『ラブホテル』(85)、
『台風クラブ』(85)、『野蛮人のように』(85)、『帝都物語』(88)、『うれしはずかし物語』(88)、『四月怪談』(88)、『オルゴール』(89)。

50歳を過ぎた90年代あたりから、イヤな感じのキャラクターが多くなっていきました。

『ありふれた愛に関する調査』(92)、『夏の庭 The Friends』(94)、
そして『夜がまた来る』、
『きけ、わだつみの声』(95)、『幻の光』(95)、『D坂の殺人事件』(98)、『プライド・運命の瞬間』(98)、『あ、春』(98)。

『風花』(2001)、『柔らかな頬』(2001)、『ハッシュ!』(2001)、『明日をつくった男 田辺朔郎と琵琶湖疏水』(2003)、『ドラゴンヘッド』(2003)、『昭和歌謡大全集』(2003)、『秘密の花園』(2004)、『透光の樹』(2004)、『日本以外全部沈没』(2006)、『俺は、君のためにこそ死ににいく』(2007)、『サイドカーに犬』(2007)、『ぐるりのこと。』(2008)、『次郎長三国志』(2008)。

これだけ出ているとアタリハズレが多いとはいえ、でも良作が多いように思います。
近年は『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』(2009)や『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010)などで、じつに楽しそうに園咲琉兵衛を演じており、余裕さえ感じさせます。

最新作は、『忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段』(2013)ですし笑

さすが71歳、ずっと現役でいてくださいね。
そして、もっともっとイヤな感じのキャラクターを演じてください。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

男優列伝、3連続です。
『にっぽん男優列伝(242)寺脇康文』

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2 コメント

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役柄からずっと暗く陰険なイメージが(笑) (夢見)
2014-08-23 10:08:53
ついてまわっておりました 
イメージが一転したのは 北原亞以子さんの「慶次朗縁側日記」シリーズかの文庫本の解説をされていて できれば演じたいと思うほどに好きだーと
NHK では高橋英樹さんが演じられました 

読書される 本好きなんだと知ってイメージは好転(単純です・笑) 

が 女性問題 
え やっぱりひどい人?と

役者としては 味が出せて「余裕」など感じて 出てくるだけでドラマに深みを加えられる方だなと思います
返信する
どうしても (oyajisann)
2014-08-23 21:41:33
テレビっ子時代に必ず見てた「青春とはなんだ」
のイメージがずっとついて回ってます。
ヤクザの組長なんかやってても・・・。
もう71歳なんですね。
返信する

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