にっぽん男優列伝（２６５）成田三樹夫

３５年１月３１日生まれ・９０年４月９日死去、享年５５歳。
山形出身。

自分が「映画小僧」の前身である「映画少年」を自覚し始めるのは中学１年の夏、１２歳のときでした。

その３年後にあたる９０年に成田三樹夫（なりた・みきお）さんは死去、
フジテレビの『スーパータイム』で幸田シャーミンが速報原稿を読み、その死を伝えたのですが、まだ成田さんのことを知らなかった自分は、有名なホンモノの極道が死んだ、、、そんな風に「一瞬」勘違いしたという思い出？　があります。

若ければ若いほど、そういうことってあるでしょう、その死で存在を知る―ということが。
（坂本九も、そうだったかな～）

後年、優作のドラマや映画に夢中になり、何度も成田さんの演技に触れるようになると、そうかヤクザ顔なんだけれども、とっても愛嬌のあるひとだったんだなぁ！！　と驚いたことを覚えています。


※弔辞を読むのは、文太兄ぃです




＜経歴＞

東大、山形大学をつづけて中退後、俳優座養成所に入所。
第１２期生で、同期には中村敦夫の名も。

卒業後、大映と契約する。
映画俳優デビュー作は、６４年の『殺られる前に殺れ』。
このころのタイトルって直接的なものが多いですが、一周回って格好いいな！　なんて思う自分が居ますね。

「犬」シリーズとして知られる『宿無し犬』（64）、『喧嘩犬』（64）、『ごろつき犬』（65）、『野良犬』（66）、『早射ち犬』（67）。
『兵隊やくざ』（65）、そのシリーズで『新・兵隊やくざ』（66）と『兵隊やくざ 大脱走』（66）。
それらのあいだに、『犯罪教室』（64）、『あゝ零戦』（65）や『氷点』（66）など。

６７年―『ある殺し屋』で市川雷蔵の弟子的なキャラクター、前田を演じて注目を浴びる。

『やくざ坊主』（67）、『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』（67）、『手錠無用』（69）、
殺し屋・サソリを怪演する『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』（70）、
『影狩り』（72）、『影狩り ほえろ大砲』（72）、
そして７３年より深作映画の代表的シリーズに参戦、『仁義なき戦い 広島死闘篇』と『仁義なき戦い 代理戦争』で村岡組の松永弘を迫力たっぷりに演じる。

『女囚さそり けもの部屋』（73）、『現代任侠史』（73）、
ハイセンスなタイトルにしびれる『まむしの兄弟 二人合せて３０犯』（74）、
『けんか空手 極真拳』（75）、『仁義の墓場』（75）、『県警対組織暴力』（75）、『新仁義なき戦い 組長の首』（75）、『沖縄やくざ戦争』（76）、『新仁義なき戦い 組長最後の日』（76）、『やくざの墓場 くちなしの花』（76）、『やくざ戦争 日本の首領』（77）、『西陣心中』（77）、『日本の首領 野望篇』（77）、 　
『柳生一族の陰謀』（78）、『宇宙からのメッセージ』（78）、『野性の証明』（78）、『その後の仁義なき戦い』（79）、『戦国自衛隊』（79）、『白昼の死角』（79）。

これだけヤクザ映画に出ていれば、自分が「ホンモノの―」と勘違いしても仕方ありませんよね…。


７９年、『蘇える金狼』で優作に出会う。
成田さんをえらく気に入った優作は、自身が主演するテレビシリーズ『探偵物語』（79、日本テレビ）に出演を依頼。
なにかといえば探偵・工藤にからんでくる服部刑事は、成田さんの当たり役となりました。

『影の軍団 服部半蔵』（80）、『魔界転生』（81）、『吼えろ鉄拳』（81）、『野獣刑事』（82）、『伊賀忍法帖』（82）、『里見八犬伝』（83）、『空海』（84）、『北の螢』（84）、『櫂』（85）、『聖女伝説』（85）、『最後の博徒』（85）、
『海と毒薬』（86）、『極道の妻たち』（86）、『黒いドレスの女』（87）、『吉原炎上』（87）、『極道の妻たち 三代目姐』（89）、『悲しきヒットマン』（89）、『ウォータームーン』（89）。

９０年４月９日―。
胃癌のため、帰らぬひとに。

遺作は『ＺＩＰＡＮＧ』（90）、
５５歳ですもの、若過ぎましたねぇ。。。


次回のにっぽん男優列伝は、西島秀俊さんから。

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明日のコラムは・・・

『バスローブと、ジッポー』