Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(168)神山繁

2012-10-08 00:15:00 | コラム
29年1月16日生まれ・現在83歳。
広島出身。

公式プロフィール


出来としては70点くらいかな・・・とは思うものの、日米合作のアクション『ブラック・レイン』(89)が好きで、よく観返します。
日本の映画ファンの多くは松田優作、あるいは高倉健さんに注目して鑑賞するのでしょうが、自分は脇を固める日本人俳優の演技に笑ったり感心したりする、、、という鑑賞法。

マイケル・ダグラス扮する刑事に向かって「英語は分かんねぇんだよ!」というガッツ石松、
下手な芝居でニセの刑事を演じる内田裕也、
ホンモノの用心棒に見える安岡力也、
ぜんぜん色っぽくないホステスに小野みゆき。

彼ら彼女らに笑い、そして、神山繁(こうやま・しげる)さんの、上手ではないけれど、健さんよりハキハキして分かり易い英語に感心すると。

神山さんは刑事部長を演じていますが、さっきまで日本語で話していたのに急に英語を話し始め、ダグラス&アンディ・ガルシアの刑事たちを驚かせます。
外国人が描く日本人・・・であるにも関わらず、若山富三郎が演じるヤクザの親分より「なぜか」格好よく見える。
それはキャラクター云々ではなく、やっぱり英語の発音にあるのでしょう、だから自分にとってこの映画で最も得をしている日本人俳優は、優作でも健さんでもガッツさんでもなく、神山さんなのではないか、、、と。

それにしても。
80代って、ふつーに驚いてしまいません?
60代でも通る「色つや」をしているのに!

もし黒澤の『悪い奴ほどよく眠る』(60)を自分がリメイクするとしたら、神山さんを森雅之の役、つまり岩渕(=最も悪い奴)にキャスティングしたいですね。
娘には「よきパパ」、しかし・・・というのが、とっても似合うと思うので。

<経歴>
海軍経理学校卒業。
ホテルマンなどを経験した後、演出家志望として文学座に入座。
しかし、誰かの勧めがあったのか、本人の意思か、俳優を志すようになり、数々の舞台に立ちキャリアを築いていく。

映画俳優デビュー作は、53年のオムニバス『にごりえ』。
『われらの時代』(59)を経た60年、『からっ風野郎』に「ゼンソクの政」として出演。

あまり知られていない作品ですが、この映画の主演は「あの」三島由紀夫です。
三島が絡んでいる割には『憂国』(66)ほど有名じゃないのは、それはまぁ、出来が「あれれ・・・」なものだから、、、なのでしょう。
しかし監督は増村保造ですし、脚本には菊島隆三の名前まである。
大作家のイメージを忘れて臨めば、けっこう楽しめる愛すべきB級映画に仕上がっている・・・と思うのですけれどねぇ。

舞台の世界では脱退や結成などを繰り返すも、映画やテレビの世界では早いうち(?)から安定期に入り、数々のドラマで名バイプレーヤーとして活躍します。

61年…『夕陽に赤い俺の顔』『黒い傷あとのブルース』
62年…『人間狩り』 映像美で魅せる『秋津温泉』
63年…『黒の死球』『巨人 大隈重信』『素晴らしい悪女』
64年…『おんなの渦と淵と流れ』
66年…『ザ・ガードマン 東京忍者部隊』 小林正樹の傑作『怪談』
67年…加藤総務局長を好演した『日本のいちばん長い日』
68年…『斬る』
69年…『眠狂四郎円月殺法』『座頭市と用心棒』

70年…勝海舟を演じた『幕末』 近衛文麿を演じた『激動の昭和史 軍閥』
71年…『激動の昭和史 沖縄決戦』『いのちぼうにふろう』
73年…『日本沈没』
74年…『華麗なる一族』
75年…『金環蝕』
76年…『不毛地帯』
77年…『八甲田山』『霧の旗』
78年…『女王蜂』『皇帝のいない八月』『ブルークリスマス』
79年…総理大臣秘書を好演した『太陽を盗んだ男』

80年…『二百三高地』
81年…『連合艦隊』『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』
82年…『この子の七つのお祝いに』
83年…『小説吉田学校』『南極物語』
84年…『すかんぴんウォーク』『零戦燃ゆ』
85年…『潮騒』
86年…『鹿鳴館』『海と毒薬』
89年…『ブラック・レイン』

吉川晃司の『すかんぴんウォーク』はともかく(・・・って、嫌いじゃないけど)、
線の細いひとではありますが、大作がじつに似合うひとですね。

87年、女優で妻の文野朋子が死去。
仕事量を減らしましたが、90年代に入ると(徐々に)元のペースに。

91年…『大誘拐』
94年…『四十七人の刺客』『集団左遷』
95年…『ひめゆりの塔』
96年…『八つ墓村』
98年…『カンゾー先生』『踊る大捜査線 THE MOVIE』

『どら平太』(2000)以降の21世紀は、さすがに若いころに比べて出演本数は少ないものの、
『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)や『沈まぬ太陽』(2009)、そして最新作となる『アウトレイジ ビヨンド』(2012)で相変わらず80代には見えない「ハキハキとした」演技? を披露しています。

付け足しのようになりますが・・・
テレビドラマでは、『スケバン刑事』(85、フジテレビ)、高橋是清を演じた『落日燃ゆ』(2009、テレビ朝日)などが印象に残っています。





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明日のコラムは・・・

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2 コメント

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ガードマンですねぇ(笑) (夢見)
2012-10-08 10:16:32
子供の頃 両親と見てました

以外では悪役さん顔だな~と
ああ やっぱり悪い奴なんだ(爆)ってドラマの役柄だと

「踊る大捜査線」では いかりや長介さんとのやり取りー
ちょっと意外性ある組み合わせにも感じましたが そこが良かったです
返信する
吉本 (oyajisann)
2012-10-08 17:03:18
優作さんの遺作で語られる事の多いブラックレイン、裕也さんや吉本新喜劇のおっさんたち出演、なんか笑えます。
神山さん80越えてる感じしませんね。
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