Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(240)

2018-02-25 01:24:09 | コラム
きっ「く」→「く」りんといーすとうっど(クリント・イーストウッド)

「―チャールトン・ヘストンが登場予定なんだが、なぜか来ない。
そこで、三行以上の台詞をいったことがない自分が、代役ということで、ここに上がっている」

クリント・イーストウッド、ユーモラスにオスカーのプレゼンター代役を(途中まで)こなす

※1分10秒あたりから


…………………………………………

そんな自虐ユーモアが「当時」「世界一」似合っていたアクション俳優が、まさか映画界で最重要とされる映画監督になるなんて、
本人はもちろん、
このひとを育てたドン・シーゲル、セルジオ・レオーネ、
そして映画ファンさえ想像しなかったこと。

ほんとうは『映画監督別10傑』シリーズで取り上げたかったひとなので、きょうは少し長めになるでしょう。
(その代わり、あすはサボり気味のコラムにしよう笑)


87歳の巨匠は、ウディ・アレンのように精力的に映画を撮りつづける。

撮りたい題材が溢れ出てきて尽きず、受け手もそれをすべて受け入れるつもりでいるので、これはもう神様、イースト爺には永遠の命を与えてもいいんじゃないでしょうかね。


個人的に、語りたいことはふたつ。


まずは映画とは無関係なことで・・・

このひとには、「ハイムリッヒ・マニューバー」ということばを広めた功績がある。

人命救助のひとつで、

(1)背後から両腕を腹部に回し、
(2)片腕は拳を作り、もういっぽうの掌をその拳に重ね、
(3)胸骨と臍の間を上向きに強く圧迫する



※ブログ『たけぱみゅりんの木と森たち』より


イースト爺はこれで、喉にチーズを詰まらせた男性を救った。

信じられないだろ、
80代のじっちゃんが、50代を救うんだぜ!!


そしてもうひとつが、自分にとって・映画小僧にとっての、最重要項目。

「観客より、大事なもの・ことがある」

かつてイースト爺は、そんなようなことを語ったとされている。

監督としてのフィルモグラフィを眺めると、なんとなく頷けないかい?


そのことを踏まえ、まずは映画監督としての個人的3傑から。

(1)『許されざる者』(92)



ひとをバンバン撃つキャラクターを演じてきた男が後年、ひとがひとを殺すことの是非と難しさを描いてみせる。

自己否定と捉えかねぬ映画を、堂々と放った。

(2)『ミスティック・リバー』(2003)

後味の「すこぶる悪い」、ほとんど悪夢のような物語。

しかし、どこかの国で実際に起こっていること―と、なんとなく想像させる怖さがある。


この映画を観た知り合いの女の子が、「なぜ映画を観て、こんなにイヤな気分にさせられなければいけないのか」といった。

そのときの議論で出てきたのが、「観客より、大事なもの・ことがある」。


このくらいのひとが発してくれると、作家主義の映画を貫こうとする後輩たちは、たいへんに勇気づけられるのではないだろうか。

(3)『恐怖のメロディ』(71)

記念すべき、監督第1作。

本人はいうことはないと思うので代弁? してしまうが、正直、「監督としていけるぞ」という感触があったと思う。

そのくらい、よく出来た映画。


次に、映画俳優としての個人的3傑を。

(1)『アルカトラズからの脱出』(79)

脱獄モノの決定版だと思う。



菊の花や爪切り、スプーンなどの小道具も素晴らしかった。

(2)『ダーティハリー』(71)

イーストウッドのイメージは、これで固まった。

ばかりか、70年代刑事映画の方向性まで決定づけた。

(3)『ザ・シークレット・サービス』(93)

おじさんが、ひたすら頑張る映画。

そりゃ、レネ・ルッソだって惚れるよ。


最後に。
個人的に、唯一「ノレなかった」監督作品を。

それが、『マディソン郡の橋』(95)。

「よろめきモノ」は割と好きなのだが、この手のジャンルにしては弱かったように思う。


生ける伝説のようなひとなので、こういう作品がひとつあると逆にホッとする・・・といったら、ちょいと性格悪いかな苦笑


結論。
「観客より、大事なもの・ことがある」ということばの印象が強く、一見「作家主義」の監督のようにも見られるが、その実、手がけた作品は多岐にわたり、「職人監督」のようにも見える―そんな、ユニークな爺なのでした。


※最新作、もうすぐ公開



次回のしりとりは・・・
くりんといーすとうっ「ど」→「ど」らむ。

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明日のコラムは・・・

『自分が自分が病』
コメント (2)
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