Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

映画監督別10傑(6)スタンリー・キューブリック

2018-02-19 00:10:00 | コラム
~スタンリー・キューブリックのキャリア10傑~

映画ファンになるための「正しい道」なんてないけれど、必ずどこかで待ち受けている「壁のひとつ」といっていいのが、キューブリックの映画だと思う。

ちょっと語弊があるかもしれないが、ここをクリアしないと、タルコフスキーやベルイマンに辿り着けない気がするし。

つまりですね、難解だという評は(ある意味では)正しいが、じつは消化し易いひとですよと。
タルコフスキーに比べたら、、、ね!


英国のイメージが強いのは、後半生に移住したからでしょう。

じつはニューヨーク生まれの米国人、チェスとカメラ(写真)を愛する少年で、カメラマンとしての腕前は誰もが認めるところだった。


映画小僧としては、テーマや物語そのものよりも、「描きたいことを最良の状態で描くために、テクノロジーさえも向上させようとする」情熱と野心の強さ―ここがすごいと思う。

そういう意味で、ヒッチコック、スピルバーグ、黒澤、ジェームズ・キャメロンと同じかなと。

キューブリック「以前以後」。
こういう風に評することが出来る、そういうことです。


(1)『バリー・リンドン』(75)



18世紀―激動のヨーロッパを駆け抜けた、バリーの数奇な人生を描くコスチューム劇。

「ロウソクの光だけの撮影」を実現させた、キューブリックの野心を喰らえ!!

(2)『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64)

偶発的に起こってしまう核戦争をブラックコメディとして描く。

ひとを喰った冒頭のクレジットに、まずやられた。



(3)『2001年宇宙の旅』(68)

HALは恐怖の存在でもあるけれど、そもそもは夢や希望の象徴だったはず。

そんな風に捉えればいいわけで、クライマックスがどうだとか、あんまり考えなくても無問題。

(4)『フルメタル・ジャケット』(87)

ジャングルの登場しない、一風変わったベトナム戦争映画。

殺人マシーンへと洗脳された兵士たちが、ひとりの「少女」狙撃兵に負けるという皮肉。

(5)『時計じかけのオレンジ』(71)

何歳で観るかによって、影響を受ける大きさに「相当の変化」が生じると思われる問題作。



高校生のころに出会えばそりゃあ、トラビス級の衝撃を与えてしまうでしょうよ。

(6)『現金に体を張れ』(56)

強盗団が破滅していくさまをクールに描いた、いわゆるフィルム・ノワール。

彼の映画も大好き! という前提でいうが、これを観ると、QTはガキだなと思えてくる。

(7)『シャイニング』(80)

物語そのものより、雰囲気やイメージで描かれる狂気と恐怖。



原作者キングは激怒したが、原作と映画「どっちも好き」というひとが多いのも分かる。

(8)『ロリータ』(62)

はっきり「失敗作」といっておこう。

狙いは分かるが、異常さが際立ってこなかった。

エイドリアン・ライン版のほうが、キャスティングの時点で勝っていると思う。

(9)『アイズ ワイド シャット』(99)



初見は「つまんね!」だったが、これが遺作であると考えた場合、「なんか人間くさくて、いいな。キューブリックもヒトの子だったんだ」と思えるようになり、好きになった。

(10)『スパルタカス』(60)

「ハリウッド嫌い」になったきっかけなので、本人にとっては思い出したくない作品・・・かもしれない。

たしかに「らしさ」は「10%程度」だとは思うものの、映像美だけでも一見の価値はあります。




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明日のコラムは・・・

『ほんとうに分からないこと』
コメント (2)
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