~マーティン・スコセッシのキャリア10傑~
自分には、映画の神が沢山居るので多神教ということになるのだと思う。
神に順列をつけるのは恐れ多いのかもしれないけれど・・・
その頂点に位置するのが、スコセッシ。
現在75歳、なぜこれほどまでに信奉しているのかというと、不完全な人間だから。
神なのに、不完全?
そうだよ、誰が神は完璧だって決めた?
喘息に苦しんだ幼少期。
司祭を目指すも挫折し、ずっと自分のそばに居てくれた映画に救いを求める。
自暴自棄になり、銃口をこめかみに当てたことだってある。
引き金を引かなくて、ほんとうによかったよ。
スコセッシに出会わなければ自分は、映画小僧と名乗っていなかったと思うし、いまこうして映画についての文章を書いていなかった可能性が高いのだもの!!
そんな「わが神」の、個人的10傑は以下のとおり。
(1)『タクシードライバー』(76)
映画史的にはじつは(2)のほうが重要なのかもしれない、
しかし個人的嗜好を優先すると、この映画になる。
破滅的な物語のはずなのに、一部の映画青年に「おおいなる勇気」を与えてくれる―そんな作品です。
(2)『レイジング・ブル』(80)
去年亡くなったボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描く。
これまた破滅的な物語。
つまりスコセッシの演出は、そんな映画でこそ輝く。
(3)『グッドフェローズ』(90)
44年の「ちっぽけな自分の映画人生」、現時点における最多鑑賞数を誇る? ギャング映画の傑作。
何回かって?
途中まで数えていたんだが、もう分からなくなった。
たぶん50回は観ている。
カメラワーク、編集技術、音のつなぎかた―この作品が確立した映画話法は、現在スタンダードになりつつある。
(4)『沈黙 サイレンス』(2016)
20年ちかく温めつづけた企画だが、観る前は「温め過ぎ」からくる不安でいっぱいだった。
観終えて反省、信者が神を信じられなくてどうするのだ・・・と思った。
おそらく、持てる情熱すべてを注ぎ込んだ力作。
(5)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)
『グッドフェローズ』のテイストで、狂乱の時代を駆け抜けた株式仲買屋を描く。
ヤクザと詐欺師の中間のような男だが、その生きかたに憧れないかと問われれば、少しだけ羨ましいという感情が生まれてしまうのだった。
(6)『最後の誘惑』(88)
キリストも我々と同じように、煩悩に苦しんだひとだった―。
この映画を深いところまで理解しているとは思わないけれど、そういうことを描いているのだと解釈した。
(7)『エイジ・オブ・イノセンス』(93)
1870年代の上流階級を描くコスチューム劇。
銃も流血もファック・ユーもない。
ないにも関わらず、ひたすら残酷で痛い。
(8)『ケープ・フィアー』(91)
怖がる必要なんかない、
この映画のデ・ニーロのように、とことん笑えばよい映画。
(9)『ディパーテッド』(2006)
「ほんとうは撮りたくなかった」と告白した映画で、皮肉にもオスカー受賞。
それでもきっちりまとめあげるところはさすがだが、映画としての出来は、オリジナルのほうがはるかに上だったと思う。
(10)『アリスの恋』(74)
まさかスコセッシの映画で、微笑ましい気持ちになるとは思わなかった。
可愛らしい小品だが、スコセッシの映画愛がそこかしこに散りばめられている。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『早引き王』
自分には、映画の神が沢山居るので多神教ということになるのだと思う。
神に順列をつけるのは恐れ多いのかもしれないけれど・・・
その頂点に位置するのが、スコセッシ。
現在75歳、なぜこれほどまでに信奉しているのかというと、不完全な人間だから。
神なのに、不完全?
そうだよ、誰が神は完璧だって決めた?
喘息に苦しんだ幼少期。
司祭を目指すも挫折し、ずっと自分のそばに居てくれた映画に救いを求める。
自暴自棄になり、銃口をこめかみに当てたことだってある。
引き金を引かなくて、ほんとうによかったよ。
スコセッシに出会わなければ自分は、映画小僧と名乗っていなかったと思うし、いまこうして映画についての文章を書いていなかった可能性が高いのだもの!!
そんな「わが神」の、個人的10傑は以下のとおり。
(1)『タクシードライバー』(76)
映画史的にはじつは(2)のほうが重要なのかもしれない、
しかし個人的嗜好を優先すると、この映画になる。
破滅的な物語のはずなのに、一部の映画青年に「おおいなる勇気」を与えてくれる―そんな作品です。
(2)『レイジング・ブル』(80)
去年亡くなったボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描く。
これまた破滅的な物語。
つまりスコセッシの演出は、そんな映画でこそ輝く。
(3)『グッドフェローズ』(90)
44年の「ちっぽけな自分の映画人生」、現時点における最多鑑賞数を誇る? ギャング映画の傑作。
何回かって?
途中まで数えていたんだが、もう分からなくなった。
たぶん50回は観ている。
カメラワーク、編集技術、音のつなぎかた―この作品が確立した映画話法は、現在スタンダードになりつつある。
(4)『沈黙 サイレンス』(2016)
20年ちかく温めつづけた企画だが、観る前は「温め過ぎ」からくる不安でいっぱいだった。
観終えて反省、信者が神を信じられなくてどうするのだ・・・と思った。
おそらく、持てる情熱すべてを注ぎ込んだ力作。
(5)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)
『グッドフェローズ』のテイストで、狂乱の時代を駆け抜けた株式仲買屋を描く。
ヤクザと詐欺師の中間のような男だが、その生きかたに憧れないかと問われれば、少しだけ羨ましいという感情が生まれてしまうのだった。
(6)『最後の誘惑』(88)
キリストも我々と同じように、煩悩に苦しんだひとだった―。
この映画を深いところまで理解しているとは思わないけれど、そういうことを描いているのだと解釈した。
(7)『エイジ・オブ・イノセンス』(93)
1870年代の上流階級を描くコスチューム劇。
銃も流血もファック・ユーもない。
ないにも関わらず、ひたすら残酷で痛い。
(8)『ケープ・フィアー』(91)
怖がる必要なんかない、
この映画のデ・ニーロのように、とことん笑えばよい映画。
(9)『ディパーテッド』(2006)
「ほんとうは撮りたくなかった」と告白した映画で、皮肉にもオスカー受賞。
それでもきっちりまとめあげるところはさすがだが、映画としての出来は、オリジナルのほうがはるかに上だったと思う。
(10)『アリスの恋』(74)
まさかスコセッシの映画で、微笑ましい気持ちになるとは思わなかった。
可愛らしい小品だが、スコセッシの映画愛がそこかしこに散りばめられている。
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明日のコラムは・・・
『早引き王』