Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(76)

2014-05-24 00:30:00 | コラム
※ トップ画像は、若い刑事(三船)がピストルを盗まれる黒澤の傑作『野良犬』(49)。
ポール・トーマス・アンダーソンは『野良犬』が大好きで、自作『マグノリア』(99)のワンエピソードとして「ピストルをなくす警官」の物語を描いている。
※※ 文末動画は、そんな黒澤を主人公にした日立のテレビCM。かっけー!!


私服保安員になった自分が「初めて窃盗犯を捕まえたとき」の話。

「これをやりたい!」と思って、保安員になったわけではない。
当時の自分はただただ金がなく、「町田市周辺」「日払い・週払い」と検索した結果、偶然トップに出てきたのが警備会社だった、、、というだけである。

「業務拡大のため大量募集」―という広告には嘘が多いそうだが、この会社にかぎってはほんとうだった。

社長曰く「交通誘導をメインにしていたが飽きた。万引きが多いそうだから、やってみようかな」なんだそうである。

自分は面接者の第1号で、採用も第1号。
つまり先輩が居ない。

「よその会社に研修に行ってもらう。一人前として戻ってきたら、次長という肩書きをあげるから」

へ?

「あのー、アルバイトとして入ってきたんですけど」
「うん、分かってるよ」
「それで次長ですか」
「単なる肩書きだよ。そういう名刺を作ったほうが、営業先も信用するでしょう」
「・・・」

敢えていえば「ひとを犯罪者に仕立てる」仕事である。
だから、大丈夫か? こんなノホホンとした会社で?? とは思った。

思ったが、とりあえずやってみることにした。

警備手帳を与えられ、警棒も持たされた。
「元ヤンキー」ならば警棒も「御手の物」だろうが、ワルガキだったとはいえ10代は非暴力主義者? だったんだ。警棒を「伸ばすこと」は出来ても「元に収めること」は出来ずに汗たらたら~、、、みたいな。

まぁそんなこんなで研修第1日目。

研修を委託する警備会社は、プロ中のプロ集団である。
知り合いじゃなかったら絶対に近づかないであろうヤクザ並のコワモテが代表者であり、自分に向かって「これは特殊な職業。正義感100だけだと法律にがんじがらめにされて自分ではなにも出来なくなってしまうし、かといって、もちろんいい加減なヤツでは務まらない」という。

うん、分かる。
もっともだと思う。

しかし「相手は無法者。こういうヤツは懲らしめる必要がある。社会的な制裁ということですよ」などと、たいへん恐ろしいことばを発する。

制裁、、、かぁ。

テレビドラマを観ていると人情が通じそうな世界だが、どうやらそうではないらしい。
逆にいえば、人情などが入り込む余地がないほど、窃盗が盛んにおこなわれている―ということなのかもしれない。

場所は秋葉原。
この町に展開する「ソフマップ」という大型パソコン「系」ショップの数店舗を、2人1組で警備するのだそうだ。

ここでひとつ解説を。
秋葉原イコール、オタク―という記号は間違っていないが、彼ら彼女らが窃盗する確率はひじょうに低い。

たとえば対象がアイドルであった場合、彼ら彼女らはもちろんアイドルグッズを欲しているわけだが、自分らが消費することによってアイドルたちの地位が上がる・輝くという発想を持っているため「タダで手に入れよう」という発想を持ち難いのである。

AKBの握手券・投票券欲しさにCDを大量に窃盗した―というニュースがときどき報じられるが、ああいう連中はオタクではなく、単に何度も握手して、その感触を忘れない状態で帰宅し自慰したいだけ、、、なのである。

この解釈、間違いじゃないと思うよ。

話を戻す。

午前10時、警備開始。

「自分は1号店から見ていくから。君は10号店から。お昼に5号店で合流しよう。なにかあったら、すぐ電話して。現場を目撃しても、ひとりでは行動しないでね」

自分についてくれた先輩は、早口でそういって1号店に向かった。

その5分後―。

!!!

あれ、窃盗現場を目撃。

研修の1日目、さあて始めるか―といった矢先に現場を目撃してしまうケースは、ひじょうに稀なんだそうだ。

運があるのか、逆に不運なのか。

とりあえず先輩に電話すると―。


つづく
※このシリーズ初の、3日連続でお届けすることにしよう




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明日のコラムは・・・

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コメント (2)
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