先週は中国人民元が下落し、原油安がさらに進み、米国の株式市場が年初来安値をかすめるという出来事が続きましたが、慌てる必要はないと言います。しかし、他の投資家がうろたえても自分がその仲間に入らなくても済むように準備をする必要はあります。
金融危機が起きたのはたった7年前ですが、既に遠い昔の出来事となり、それほどひどいものではなかったような気がします。それではテストしてみましょう。2007年10月から09年3月までの間に米国の株式市場が57%下落したことをあなたは正確に覚えていますか。
株価がまた半値を切るようなことは起こるはずがないと考えているなら、あなたは間違っている。株価暴落がいつ起きるかを正確に把握できると考えているなら、どうかしていると言わざるを得ない。株が暴落しても過剰反応することはないと思うのであれば、自分の甘さに気付いてもどうにもならなくなる前にその考え方を検証したほうがいい。
投資助言会社ウェルス・ロジック(コロラド州)のファイナンシャルプランナーのアラン・ロス氏は最近、3人の新規顧客と面会しました。3人とも800万〜3000万ドル(約10億〜37億円)の現金を全額、1年間で0.01%の利子しかつかない銀行や証券会社のマネー・マーケット・アカウントに預けています。預金を保護するための対策もほとんど手つかず。金融機関が破綻した際に米連邦預金保険公社(FDIC)が保証するのは1金融機関につき預金者1人当たり25万ドルまでで、顧客の残高はこの限度額をはるかに超えています。
ロス氏によると、この3人は08年から09年にかけて保有株式のほとんどを手放し、それ以降、株式市場には戻ってなかったと言います。やっとまた株を買おうという気になったのは、今年に入って株価が過去最高値に近づいてからです。
こうした実績追求型の投資姿勢がもたらす損害を分析した研究は過去にいくつか行われています。研究結果によると、長期的には、こうした投資姿勢によって利益が年平均で約1.5ポイント失われることが分かりました。インフレ調整後の年平均で4%の利回りさえ達成が難しいのに、利益を失った最大の原因は自分の姿勢次第だったということもありうるのです。
もしあなたがこの3人と同類なら、ゲイリー・クライン氏の「事前検証」という頭の体操が役立つかもしれない。クライン氏は、企業や官庁の意思決定の改善に取り組むワシントンの企業マクロコグニションに所属する上級科学者です。事前検証は悲惨な失敗をしたことを前提に、その失敗が起きた過程を分析するものです。
市場が暴落して、投資ポートフォリオ全体の価値が半減、一部の保有資産は90%以上の価値が消失したとしましょう。どのような外部要因がこの惨事を引き起こしたのでしょうか。最終的に間違いだとわかった信念はどのようなものだったでしょうか。クライン氏は「自分の投資ポートフォリオをぶち壊す原因を正確に予想することはできないだろうが、どのようなことが起きうるかを想像することはできる」と話します。
この「事前検証」を自分のファイナンシャルアドバイザーと試してほしい。相手が尻込みしたら、あら捜しをしようとしているわけではないこと、「想像力と経験が必要な難しい作業」であることを強調するようクライン氏は提案しています。
誰でも少なくとも2つか3つはもっともらしい理由が見つかるでしょう。メモを見比べて、損害を最小限に抑えるために何をすべきかを議論しましよう。1つの投資対象や戦略に多くの資金を投資しすぎている場合は、自動的にその状態を少しずつ解消する計画を立てましょう。08年と09年の取引残高報告書を見て、当時の自分が記憶の中の自分ほど毅然(きぜん)としていたかどうかを確認しましょう。それほど毅然としていたわけでもないことが分かったら、今この段階で保有株式を減らし始めたほうがいい。株価が下がって売却せざるを得なくなる前に。
事前検証をかたくなに拒否するアドバイザーは「危険なほどごう慢か、自分の予想から外れた未来に対処することができない」人物かもしれないとクライン氏は言います。その場合は、別のアドバイザーを探すことを検討したほうがよさそうです。(ソース WSJ)
金融危機が起きたのはたった7年前ですが、既に遠い昔の出来事となり、それほどひどいものではなかったような気がします。それではテストしてみましょう。2007年10月から09年3月までの間に米国の株式市場が57%下落したことをあなたは正確に覚えていますか。
株価がまた半値を切るようなことは起こるはずがないと考えているなら、あなたは間違っている。株価暴落がいつ起きるかを正確に把握できると考えているなら、どうかしていると言わざるを得ない。株が暴落しても過剰反応することはないと思うのであれば、自分の甘さに気付いてもどうにもならなくなる前にその考え方を検証したほうがいい。
投資助言会社ウェルス・ロジック(コロラド州)のファイナンシャルプランナーのアラン・ロス氏は最近、3人の新規顧客と面会しました。3人とも800万〜3000万ドル(約10億〜37億円)の現金を全額、1年間で0.01%の利子しかつかない銀行や証券会社のマネー・マーケット・アカウントに預けています。預金を保護するための対策もほとんど手つかず。金融機関が破綻した際に米連邦預金保険公社(FDIC)が保証するのは1金融機関につき預金者1人当たり25万ドルまでで、顧客の残高はこの限度額をはるかに超えています。
ロス氏によると、この3人は08年から09年にかけて保有株式のほとんどを手放し、それ以降、株式市場には戻ってなかったと言います。やっとまた株を買おうという気になったのは、今年に入って株価が過去最高値に近づいてからです。
こうした実績追求型の投資姿勢がもたらす損害を分析した研究は過去にいくつか行われています。研究結果によると、長期的には、こうした投資姿勢によって利益が年平均で約1.5ポイント失われることが分かりました。インフレ調整後の年平均で4%の利回りさえ達成が難しいのに、利益を失った最大の原因は自分の姿勢次第だったということもありうるのです。
もしあなたがこの3人と同類なら、ゲイリー・クライン氏の「事前検証」という頭の体操が役立つかもしれない。クライン氏は、企業や官庁の意思決定の改善に取り組むワシントンの企業マクロコグニションに所属する上級科学者です。事前検証は悲惨な失敗をしたことを前提に、その失敗が起きた過程を分析するものです。
市場が暴落して、投資ポートフォリオ全体の価値が半減、一部の保有資産は90%以上の価値が消失したとしましょう。どのような外部要因がこの惨事を引き起こしたのでしょうか。最終的に間違いだとわかった信念はどのようなものだったでしょうか。クライン氏は「自分の投資ポートフォリオをぶち壊す原因を正確に予想することはできないだろうが、どのようなことが起きうるかを想像することはできる」と話します。
この「事前検証」を自分のファイナンシャルアドバイザーと試してほしい。相手が尻込みしたら、あら捜しをしようとしているわけではないこと、「想像力と経験が必要な難しい作業」であることを強調するようクライン氏は提案しています。
誰でも少なくとも2つか3つはもっともらしい理由が見つかるでしょう。メモを見比べて、損害を最小限に抑えるために何をすべきかを議論しましよう。1つの投資対象や戦略に多くの資金を投資しすぎている場合は、自動的にその状態を少しずつ解消する計画を立てましょう。08年と09年の取引残高報告書を見て、当時の自分が記憶の中の自分ほど毅然(きぜん)としていたかどうかを確認しましょう。それほど毅然としていたわけでもないことが分かったら、今この段階で保有株式を減らし始めたほうがいい。株価が下がって売却せざるを得なくなる前に。
事前検証をかたくなに拒否するアドバイザーは「危険なほどごう慢か、自分の予想から外れた未来に対処することができない」人物かもしれないとクライン氏は言います。その場合は、別のアドバイザーを探すことを検討したほうがよさそうです。(ソース WSJ)