マックンのメモ日記

気になったニュースや関心事などをピックアップ。
今チワワのプッチという犬を飼っています。
可愛いですよ。

妊娠中の果物摂取、子供の知能向上に影響か!

2016-09-04 22:21:26 | 宇宙・サイエンス・科学技術
 妊婦が果物を多く摂取すると、生まれてくる健康な子供の知能指数が高くなる可能性があることが、新たに発表された研究で明らかになりました。

 カナダ・アルバータ大学の研究グループが同国の688人の子供を調査したところ、妊婦の果物摂取量の多さと比例して、生まれてきた子供の生後1年後の知能が高い傾向があったといいます。グループは新生児の発達の経年研究をする同国の機関から得られたデータを元に調査を行いました。

 4月にEバイオ・メディシン誌に掲載された研究結果はあくまでも予備段階で、ほ乳類や人体での今後の研究の参考にすべき程度のものだと専門家は話します。しかし子供の知能発達に影響を与えるとされる食物はこれまで魚しかなかったことを考えると、今回の発表は大きな出来事です。

 アルバータ大学で小児科学を研究し今回の調査も行ったピウシ・マンダネ准教授は、明確な違いが見られた実験結果に驚いたと話します。記憶力や学習能力の研究によく使われるハエを使った実験の再確認を同僚に依頼したところ、自らの調査と一致する結論が得られたといいます。

 ただ、マンダネ氏は「妊婦に大量の果物を摂取してもらいたいわけではない」とし、「これはあくまでも1回の研究であり、果物の摂取増加による健康への影響はまだ調査していない」と語っています。

 専門家らによると、妊娠中に大量の果物を摂取すると血糖値が上がり、妊娠糖尿病や急激な体重増加などを引き起こす可能性があるといいます。

 今回の研究で調査対象となった妊婦の半数は、米政府が推奨する量の果物(1日当たり1.5カップから2カップ)を食べていなかったといいます。マンダネ氏は妊婦への助言として、「この推奨量程度は摂取すべき」と話しています。 

果物以外にオメガ3脂肪酸も

 妊婦の栄養不足が胎児の発達にどう影響をするのかを調査した研究はこれまでもあり、妊娠初期に葉酸の摂取が足りないと胎児の神経管に影響が出ることや、鉄分やヨウ素を十分に摂取することが胎児の脳の発達に必要であることなどは明らかになってきています。しかし、妊婦の栄養摂取が生まれてくる子供の知能に与える影響を調査した研究は、これまでにあまりありません。

 魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は脳細胞の膜組織を作るのに必要とされ、妊娠中に多くの魚を摂取した場合、生まれた子供が認知機能テストでより高い点数を得る傾向があるとされています。しかし魚油のサプリなどを使った無作為での実験ではこの結果は実証されていません。また、魚の摂取量だけでなく、それと関連する他の条件があって初めて認知力の向上に結びつくとする意見もあります。

 果物の実験に関しても「果物の摂取が大切なのかもしれないし、果物を多く摂取する女性は最初から健康を意識した生活をしているのかもしれない」と、ハーバード・メディカル・スクールなどで栄養学等を教えるエミリー・オーケン教授は指摘しています。ただ、研究成果はいろいろな可能性が含まれているので「より深く調査を進める価値がある」とも同教授は話します。

目を疑うほどの研究成果

 マンダネ氏の研究は、2008年から2012年にかけてカナダの妊婦3600人を対象として行われた。世帯収入や母親の学歴、ビタミン剤の摂取、母乳で育てたかどうかなどを考慮した他、妊婦の食事に関しては内容やカロリー、そして栄養のバランスなども調査。生まれてきた子供が1歳になる時点で、妊婦の食事が知能発達にどのような影響を与えるのかを研究した。

 知能の発達レベルと栄養の項目を調べていくと、果物との関連が目についたといいます。「ここまで大きな違いが見られることに一番驚いた」と話すマンダネ氏は、分析官からデータを渡された時に再検査をするよう指示したといいます。なお実験においては、どのタイプの果物が摂取されたかについての情報はあまり含まれていなかったそうです。

 乳児の知能発達を調べるにあたっては、広く使われているベイリー・スケールが使用されました。テストではコップの下に隠されたコインを子供が覚えているかどうかや、ブロックの積み上げなどを通して検査を実施。その結果、妊娠中の母親が推奨量よりも多くの果物を摂取しているほど子供のテスト結果も高く、その傾向は果物摂取量が推奨の6倍から7倍あたりに到達するまで見られたといいます。

ハエを使った実証実験では

 この結果を受けてマンダネ氏は同僚のフランソワ・ボルダック准教授に実証を依頼。小児神経科を専門とするボルダック氏はハエの遺伝子を操作し、それが記憶力や嗅覚力にどのような影響を与えるかを研究しています。研究室には30万匹以上のミバエを飼っているため、大学では「ハエの人」としても知られる存在です。

 野生のミバエは台所に残された果物などを食べますが、研究室ではイースト菌、砂糖、そしてトウモロコシ粉から作られたゼリーが与えられています。しかし実験のため、今回は繁殖や排卵期間中の一部のハエと幼虫にはオレンジジュースとトマトジュースが与えられました。

 ボルダック氏はミバエに2種類の香りを嗅がせ、そのうちの一つを嗅がせたあとは軽い電気ショックを足から流しました。2分後、再び同じ2種類の臭いをミバエに嗅がせてその行動を観察。また長期に渡った記憶力も確かめるため、その翌日にも同じ実験を行って反応を試しています。なおミバエは寿命が一カ月程度とされています。

 実験の結果、親バエがオレンジジュースやトマトジュースを与えられたハエはテストで30%高い学習能力を見せ、長期的な記憶力では通常の餌を与えられたハエの2倍も高い数値を出したといいます。

 「一般的なハエの記憶力と学習能力を向上させた実験は、今回が初めてだと思う」と話すボルダック氏。「生まれた後に果物を摂取させても知能に向上は見られなかったので、脳が発達する段階での摂取が何かしら影響をしているはずだ」と同氏は言います。

 マンダネ氏は今後の研究を通じ、具体的にどの栄養素や果物が知能の向上に影響を与えているのか明らかにしてきたいとしています。また乳児が成長するにつれて母親が妊娠中の果物摂取による影響がどう変化するかも観察する予定です。現在、同氏は妊娠中のラットに果物入りのジュースを与え、生まれてくる子供にどのような影響が生じるのかを調べているといいます。現時点で得られたデータは自分たちの主張に沿ったものですが、他者に検証してもらい発表するまでの段階には至ってないそうです。

 妊娠中にどの栄養素を取ることが神経の発達に最適なのかを調べ、知的発達障害のリスクがある子を救うような研究もしたいとマンダネ氏は言います。

 「知能指数(IQ)が100から105に上がってもあまり違いはありません。しかし85から90になるのは、とても大きい違いだ」と同氏は指摘。「それが可能になれば、社会に大きな違いをもたらすことができると思う」と話しています。(ソースWSJ)

自動運転車がハッカーに乗っ取られる日!

2016-08-28 18:53:21 | 宇宙・サイエンス・科学技術
デジタル世界の情報セキュリティー問題を扱う専門家は悪夢のシナリオを思い描くのが大好きです。私たちの401K(確定拠出年金)を空っぽにしてしまうドローン。冷蔵庫を爆発させる電子メールの添付ファイル。映画をハッキングし、出演している豪女優マーゴット・ロビーの映像をすべてCG(コンピューターグラフィックス)のドクター・フィル(米で人気のトーク番組で司会を務める精神科医)に置き換えてしまうソフトウエア――。

 8月上旬にラスベガスで開催された情報セキュリティーの専門家による毎年恒例の国際会議「ブラックハット」とハッカーの技術力を競う「デフコン」で、こんな悪夢のシナリオが話題に上りました(ラスベガス自体がある意味、悪夢のような街ですが)。ブラックハットのようなイベントではすでに、自動運転車を狙ったランサムウエア(身代金要求ソフト)の話が専門家の間で取り沙汰されています。ドライバーがお金を支払わない限り、車内から出られないという悪意あるソフトのことです。また、自動運転車の操縦を乗っ取り、ドライバーが望まない場所、例えばラスベガスのような場所へ強制的に連れて行くというシナリオも考えています。

 あらゆる悪夢のシナリオの中で、自動運転車を標的にしたランサムウエアが最も悪質のように聞こえます。加害者は車の中に被害者を閉じ込めて、カネを支払うまで待つだけでなく、被害者を拷問のような状態に置くこともあり得るからです。車載ラジオが操作され、野球の指名代打者制度の廃止を巡るトーク番組をずっと聞かされ、その後、オクラを食べてどれだけ人生が変わったかについて本を書いた女性にNPR(公共ラジオ局)がインタビューした番組を24時間にわたって聞かされ続けることもあり得るというわけです。そうなれば、あなたは耳をそろえてカネを払うことになるでしょう。きっとそうなります。

 払わなければ、ハッカーたちはさらにヒートアップするでしょう。スポティファイ(スウェーデンの音楽配信大手)のアカウントから、あなたが運転中にどんな音楽を好んで聴いているのか、どんな音楽をひどく嫌っているのかを彼らは正確に把握しています。そして容赦なく攻撃するのです。

 自動運転車に閉じ込めたまま、ドライバーを望まない場所へ連れて行くことも想定できます。カナダ西部のアルバータ州。母親の家。職場。フーリガン(過激なファン)が自動運転車の操縦を奪えば、はるばるカリフォルニア州サンディエゴまでメジャーリーグ(MLB)のパドレスとブリュワーズの試合に無理やり連れて行かれるかもしれません。

 しかし、良い面もあります。ランサムウエアは適切な扱われかたをすれば、社会のニーズに応えて、暮らしをより快適にすることもできるのです。

 ランサムウエアに政治家の自動運転車を乗っ取らせ、長い間苦しめられてきた国民による遅すぎた報復を味わわせることができます。車内に閉じ込められた政治家はトーク番組で自分の口から出てきた発言を聞かされ続けます。もう二度と空虚な約束はしないと誓うまでそれは終わりません。そしてすべてがうまく運んだら、アイドル歌手のジャスティン・ビーバーや、シンガーソングライターでギタリストのデイブ・マシューズ、そしてロックバンドのフィッシュにモーツァルトの「レクイエム」を車内で聞かせ続けることができます。永遠に。全員が同じ車内にいれば尚のこといいでしょう。(ソースWSJ)

テスラ、航続距離500キロのEV電池を発表!

2016-08-25 17:07:34 | 宇宙・サイエンス・科学技術
米電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズは23日、1回の充電での走行距離が315マイル(約507キロメートル)のEV用電池を発表しました。

 テスラは、この容量100キロワット時の電池「P100」を搭載するセダン「モデルS」と多目的スポーツ車(SUV)「モデルX」の発売を明らかにしました。同社の有名な「ルディクロス(ばかげた)モード」で走行する「P100」バージョンの販売が開始します。

 大手自動車メーカーとしてはこれほどの距離を走るEVを提供するのは初めてだとしています。

 既存のテスラ車の航続距離は210〜270マイル。

 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は電話説明会で、同社が「世界最速の車」を提供するとした上で、それがEVだという事実は自動車業界の将来を暗示する画期的なことだと語りました。テスラは、停止状態から時速60マイルまでセダンで2.5秒、SUVで2.9秒で加速できると説明しました。

 価格設定はセダンの「P100D」が13万4500ドル、SUVが13万5500ドル。(ソースWSJ)

中国、世界初の量子通信衛星を軌道に!

2016-08-18 21:56:50 | 宇宙・サイエンス・科学技術
ゴビ砂漠から16日未明に打ち上げられた量子通信衛星「墨子」搭載のロケット長征2号Dは、科学の最も挑戦的な一分野の最前線に中国を押し上げる見通しです。

 それによって中国は、喉から手が出るほどに欲しい通信技術を求めて競争しているサイバースパイの時代に世界のライバルを大きく引き離す態勢を確保できます。それは「ハッキング(盗聴)不能な通信」という資産です。

 国営メディアは、中国が16日午前1時40分(日本時間午前2時40分)ごろ、内モンゴルの人工衛星打ち上げ基地から世界で初めての量子通信衛星をロケットに搭載して軌道に乗せたと報じました。準備から5年経過しているこの量子通信衛星プロジェクトは、世界中の科学者や安全保障専門家らが注視しています。

 この量子通信衛星プログラムは、ハードサイエンス(自然科学)研究で西側に追い付き追い越すため、中国が過去20年間にわたって何十億ドルものカネを注ぎ込んできた戦略の一部です。

 ジュネーブ大学のニコラス・ギシン教授(量子物理学)は「中国は、量子衛星レースに勝利する公算が極めて大きい」と述べ、「それは、中国が大規模で野心的なプロジェクトを計画・実現する能力を持っていることを改めて示している」と語りました。

 米国、欧州、日本、その他諸国の科学者は、亜原子粒子(原子よりも小さい粒子)にある奇妙で潜在的に強力な特性を競って探究していますが、中国の科学者たちのように大規模な国家支援を受けている科学者は少数だ、と研究者らは言います。量子技術は、今年3月に公表された中国の5カ年経済発展計画における最優先の戦略的研究課題です。

 中国政府は量子研究にどれだけの資金を配分したのか、あるいは重さ1400ポンド(約635キログラム)の量子通信衛星を製造するのにいくらかかったか公表していません。しかし量子物理学を含む基礎的研究予算は2015年に1010億ドルに達しており、05年時点の19億ドルを大幅に上回っています。

 科学者や国防・情報などの当局者のグループが7月にまとめた議会報告によると、米国の量子研究に対する連邦予算は年間約2億ドル。同報告は量子科学の発展は「米国の国家安全保障を強化するだろう」と述べていますが、資金規模が変動するため進歩が遅れているとも指摘しています。

 中国政府は、中国生まれで外国で教育を受けた量子物理学専門家を中国に呼び寄せるよう努力しました。その中には今回の量子通信プロジェクトを指揮している物理学者の潘建偉氏も含まれています。

 潘氏は15日放映された中国国営テレビとのインタビューで、「われわれは世界中の研究室で良い技術をすべて吸収し、(中国に)持ち帰った」と述べました。

 潘氏は、中国政府の国家支援を得て、自分の博士号取得の指導教官だったウィーン大学の物理学者アントン・ツァイリンガー教授を追い越すことができました。ツァイリンガー教授は2001年以降、同様の衛星を打ち上げるよう欧州宇宙機関(ESA)を説得しようと努めてきたといいます。ツァイリンガー教授は「これは困難なプロセスで、長い時間がかかる」と述べ、同教授は現在、自分の元学生である潘氏の衛星に協力しています。

 潘氏も、量子衛星プロジェクトを推進している中国科学アカデミーも、コメント要請に応じませんでした。ESAと、米国の基礎的科学研究に連邦資金を手強している米国科学財団(NSF)も、コメントの求めに応じていません。

 シンクタンク「ニュー・アメリカ」(本部はワシントンD.C.)のフェロー、ジョン・コステロ氏は、この量子衛星分野への中国の投資について、米国のサイバー能力への恐怖によって駆られているという側面もあると述べ、米国が中国のネットワークに深く侵入していたことが2013年に暴露された点を指摘しました。また同氏は、米国の研究機関は強力な量子コンピューターをいかに構築するか研究していると述べました。それは数学ベースの暗号(通信の安全確保のため現在世界的に使用されている)を理論的に解読できるコンピューターだといいます。同氏は「中国政府は、電子スパイ活動に中国がとりわけぜい弱になっていることに気付いている」と述べています。

 しかしコステロ氏は、量子通信は本質的に防御的なものだと指摘し、米国は中国の動きを国家支援のハッキング(盗聴)計画と認識していますが、その計画から中国は恩恵を受けないだろうと述べています。

 量子暗号は、どんな種類の計算力(コンピューターの持つ能力)からも安全です。それは、量子に暗号化された情報は「測定」されるや否や破壊されるからです。ジュネーブに本拠を置く量子暗号会社IDクアンティーク社の共同設立者グレゴワール・リボーディ氏は、それを、せっけんの泡の表面に書き込まれたメッセージにたとえた。同氏は「送信中のそれ(量子暗号化情報)を誰かが傍受しようとして触れると、破裂してしまうのだ」と語っています。

 量子物理学者らは近年、地上の短距離間で安全に通信するため、光子(光量子)を利用する方法を発展させました。今回の中国の量子通信衛星は、もし成功すれば、ハッキング不能な通信の距離を飛躍的に拡張できるようになるとみられています。

 潘氏は国営メディアに対し、量子通信が地球規模で実現するかどうか実験するため、同氏のチームは「量子暗号鍵(キー)」を北京からウィーンまで照射するつもりだと述べました。

 南京大学の馬小松教授は、この実験が成功すれば「すごいことになるだろう」と述べており、馬氏はウィーンで訓練を受けた量子物理学者で、中国の衛星プロジェクトの初期段階に協力しました。

しかし量子暗号は完全無欠ではありません。例えばハッカーは、量子レセプター(受容体)に強烈なレーザーを照射することによって、不注意なレシピエント(受容者)を欺くことが可能だろう、と量子技術センター(シンガポール)の主任研究官アレクサンダー・リング氏は言います。

 米国のセキュリティー専門家も、量子通信のもつ複雑さを十分に簡素化できるかどうか疑問だとしています。

例えばジェームズタウン財団で中国の情報活動を研究しているピーター・マティス研究員は「不可避的に、この種の技術には問題がある。このため集中的なトレーニングを経ない人々がそれを使うと、状況を混乱させてしまう」と述べています。

 しかし前出のウィーン大学のツァイリンガー教授は、どんな難題があっても、今回の衛星によって中国と量子力学分野は技術的突破口の入口に立つと述べました。同教授は「長期的には、この技術がわれわれの現在の通信技術に代わる大きな機会が存在している」と述べ、「そうならないとみる基本的理由は見当たらない」と語りました。(ソースWSJ)

尿で発電する技術、貧困地域を照らせるか!

2016-04-03 16:06:39 | 宇宙・サイエンス・科学技術
世界の最も貧しい地域では、エネルギーが不足している。尿から電気を生み出す見通しに一部の科学者が色めき立っているのはこのためです。

 人間の排せつ物は、つまるところ、どのコミュニティーにも大量にあるものの1つです。また、研究により、微生物燃料電池(MFC)という装置を使い、少量の尿で少量の電気をつくれることが実証されました。平均的な人間は1日に1リットルから2リットル弱の尿を排出します。

 問題は、発電量がわずかな割に燃料電池のコストが高いことです。しかし、英国の研究チームが最近、発電量を増やしながらも、実験的な燃料電池のコストを抑える方法を考案しました。この結果、尿を発電源とする燃料電池は、大きさが約6.5平方センチメートル未満でコストが1.50―3ドル(約170―340円)になりました。発電量は依然としてわずかですが、電池は数滴の尿で稼働するものであり、開発は正しい方向に向かっています。

 微生物燃料電池に注目が集まっているのは、自然に発生する微生物を使って室温で稼働し、しかも有害な廃棄物がほとんど出ないという理由からです。電池内の微生物は、尿に含まれる尿素などの有機物を分解することで電子を放出します。燃料電池はこの電子をアノード(電子が出て行く極)からカソード(電子を受け止める極)に流れる電流に変えることができます。

 アノードには反応速度を上げるためにプラチナが含まれていることがしばしばですが、英国の科学者チームは、炭素布とチタンワイヤーで代用することでコストを抑えられることを発見しました。チームはブドウ糖と卵のタンパク質(どちらも生ゴミに多い)でできた触媒も追加しました。電極の長さを2倍にしたところ発電量が10倍に増え、3つの小さな燃料電池を互いに重ねても同様に10倍になったといいます。

 ただ、これらの小さな装置がすぐにラスベガスの夜を照らせるようになるわけではありません。1個の燃料電池が2-3滴の尿で発電するのは、100万分の1ワット未満です。専門家の間には、発電量があまりにも少ないため、尿を使った燃料電池が普及することはないと見る向きもあります。ペンシルベニア州立大学の微生物燃料電池専門家、ブルース・ローガン氏は、「尿は発電源としての価値より、肥料としての価値の方が高いのではないかと思う」と話しています。同氏は英国チームの研究には参加していません。

 この技術を実世界で使えるほどスケールアップするのは、物理学の法則上難題ですが、論文の執筆者の1人であるイオアニス・イエロポロス氏は既に、尿を発電源とする燃料電池を多数使って携帯電話に電力を供給しているといいます。共同執筆者の1人であるミレラ・ディ・ロレンソ氏によると、現在努力を集中しているのは、より大きな燃料電池を作ることではなく、「電池の有効なミニチュア(小型)化と乗法化」の実現だといいます。同氏によれば、尿を発電源とする燃料電池は、他の再生可能燃料と競うことを目的としておらず、どこにでも普遍的にある廃棄物を使う目的で作られています。

 同チームは、この技術のおかげで、最終的には開発途上国の電気の全くない場所で小さな電気が提供できるようになるよう望んでいるといいます。(ソースWSJ)