マックンのメモ日記

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知能は年齢とともにどう変化するか!

2015-08-04 16:38:37 | 宇宙・サイエンス・科学技術
「年は取っても賢くなれる」という言い回しは、根拠のないたわ言に過ぎないのだろうか?60歳になっても20歳のときと同じように分別のない人や、知性が年齢とともにひどく低下する人を誰だって知っているでしょう。一方、子供のころには万年筆を使っていた高齢者の多くが、今ではタブレット端末で巧みにメールを打っている。よく「老犬に新しい芸を覚えさえることはできない」と言いますが、これは本当なのでしょうか?

 米心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス」で3月に発表された成人の知能に関する研究で、こうした言い古された表現とデータの矛盾が浮き彫りにされました。調査結果は、知的鋭さは運動神経と同じように年齢とともに衰えるのが常だという考え方をはじめ、いくつかの一般的考え方に異議を唱えています。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究論文の主執筆者であるジョシュア・ハーツホーン氏は、「身体能力は一生涯を通じて変化する」と話します。最初はほとんど何もできないが、幼児期以降、歩く、飛ぶ、登る、走るという能力は向上します。同氏は、しかし20代初めに身体能力が衰え始めると指摘しています。こうした向上と退化は知能にも当てはまるのでしょうか?ハーツホーン氏は「2つの矛盾する見解がある」とし、「年齢とともに鈍化すると言う人もいれば、年齢とともに一層賢くなると言う人もいる」と述べました。

 同氏と、彼の同僚でマサチューセッツ総合病院のローラ・ガーミン氏は、年齢を重ねることに伴う認識能力の発達に注目し、能力ごとに時間軸が異なることを発見しました。一部の能力は早い時期に成熟します。例えば、名前や顔の記憶などです。一方、語彙や背景知識といったものはあとから発達します。

 人間の知性に関する微妙に異なる見方は、われわれの思考プロセスをいくつもの断片に分ける考え方に基づいています。これは、知能を一体とみなす考え方と対照をなしています。この研究結果は、これまでのほとんどの調査と矛盾します。過去の調査ではこの一体としての知能は生涯ほぼ安定していると言われてきました。スコットランド人8万7500人を対象としたある調査では、被験者が11歳の子供のときに実施したテストの結果と、65年後の追跡調査の結果はほとんど変わっていないことが分かったのです。

 今回の新たな調査では、研究者たちは過去にさかのぼっての調査とオンラインテストの両方を実施しました。まず大人の知能検査の標準となっているウェクスラー成人知能検査を1990年代初期に受けた人々のスコアを再分析しました。研究者たちは当時このテストを受けた成人2500人を13の年齢集団に分け、その後にわたってそれぞれの能力の変遷をチャートにしました。さらに、より明確な全体像をつかむために、聞き取り調査のほか、推理や記憶、社会的知性に関するネット上でのテストも実施しました。

 その結果、われわれの知的能力は年齢とともに変化することが示されたのです。処理スピード(どのくらい速く数字や名前、事実を理解し呼び起こせるか)は18歳前後でピークをつけ、その後、「崖から転げ落ちる」とハーツホーン氏。

 一度にどのくらい記憶し操作できるか(「作業記憶」と呼ばれる知的メモ帳の大きさ)は、20代半ばで最盛期を向かえ、35歳前後で頭打ちとなり、その後は衰えると。

 感情的知性が働き出すのはその頃からです。目の写真からその人の感情の状態を判断する能力は40歳前後でピークをつけ、60歳代までは低下しません。ほんのちょっとした情報から人の内側の状態を想像する能力は、お茶の間でも企業の役員会議室でもあらゆる場面で役に立ちますが、「20歳と40歳の差は極めて大きい」と、ハーツホーン氏は指摘します。

 ハーツホーン氏によると、成果はそれだけではありません。白髪頭になっても(人によっては髪が抜けても)、われわれの語彙は増え続け、70歳まで増え続ける人までいます。20年前に実施された語彙に関するいくつかのテストでは、それよりずっと早い50歳でピークを付けるという結果だったと言います。同氏は「知能をどう定義するかをめぐってわれわれが選択した方法でみると、人々は賢くなっているようだ」と述べました。

 これは励みになる。人々が70歳代でも学び続けられるとすれば、老犬に新しい芸を覚えさせることは「可能」です。