マックンのメモ日記

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iPhoneのライトがヒント、安価な内視鏡!

2016-09-30 16:46:21 | 健康・医療・スポーツ
安全な外科治療を手頃な価格で受けられない人は世界人口の3分の2のおよそ50億人。ある外科医が靴下を探しているときに思いついた85ドルの機器が、この状況を変えるかもしれません。

 ユタ大学医療イノベーションセンターのトップで外科医のジョン・ランゲル氏がこの機器を考え出したのは、ある日の深夜、急患で呼び出されたときのことです。眠っている妻を起こさないように服を探そうとiPhone(アイフォーン)のライトをつけると、「腹腔鏡の光と同じくらい明るい」と思ったそうだです。

 ランゲル医師は大学で担当していたバイオイノベーションのクラスの学生に伝えました。携帯電話の部品を使って低価格の腹腔鏡を作り、コストのせいでこの機器を使った低侵襲手術(身体への負担が少ない手術)が利用できない地域に広めるのはどうだろうと。

 開腹手術の代わりに腹部に開けた小さな穴から体内にカメラや手術器具を入れる腹腔鏡手術の機器の価格は通常、2万ドル(約200万円)を超えます。画像処理システムや高精細のビデオスクリーンを含む補助機材にも70万ドルもの設備投資が必要です。これに年間サービス契約が付加されるケースが多く、さらに数千ドルが上乗せされています。

 これに対し、ランゲル医師のチームが考案した腹腔鏡「ゼノスコープ」の製造コストは1台当たり約85ドル。大きな画像処理システムやビデオスクリーンも必要ありません。画像は普通のノート型パソコンやスマートフォン上で見られるうえ、パソコンから腹腔鏡に必要な電力を最大8時間確保できます。このシステムを使えば、医師は病院や安定した電力供給がないところでも低侵襲手術を行うことができるのです。

 ランゲル医師のチームが設立した企業ゼノコアによると、販売価格は300ドルから500ドルになる見込み。設備投資やサービス契約は不要です。ゼノスコープは「非常に安価なので壊れたら捨てられる」とランゲル氏は話しています。

 資金も安定した電力もきれいな水も十分にはない地域で生かそうと、大学院生を中心に超低価格の医療機器が考案されています。大学は技術者や科学者、設計技師、ビジネス専攻の学生の協力を募り、医療の提供に関わる課題を突き止めて、外科治療への差し迫ったニーズへの対応など低価格かつ現実的な解決策を編み出そうとしています。

 「世界的な外科手術に関するランセット委員会」の推計によると、多くの低・中所得国では基本的な外科治療の不足により、盲腸の破裂や胆のうの病気、腫瘍、外傷など治療可能な症状で年間1800万人以上が死亡しています。世界保健機関(WHO)と世界銀行は世界全体の医療と経済の水準の引き上げには外科的能力の向上が欠かせないと指摘しています。

世界では50億人が安全な手術を手頃な価格で受けられていません。毎年1860万人が手術関係の不備で死亡し、3300万人が手術費用のために破産、1億4300万人が追加手術を必要としています。2030年までにこうした不備が解消されなければ、失われるGDPは推定12兆3000億ドルに上ります。ゼノスコープにはナイジェリア、ガーナ、中国、モロッコの外科医に加え、将来、宇宙での外科手術を想定する米航空宇宙局(NASA)も関心を示しています。

 ただ課題も残っています。ランゲル医師のチームは米食品医薬品局(FDA)と欧州連合(EU)に対し、ゼノスコープを実質的に既存の技術と同等な機器として指定するよう要請しています。要請が認められれば、長期におよぶ臨床試験を実施せずに済みます。ランゲル医師はFDAとEUのお墨付きを得てからゼノスコープを本格展開するつもりです。

 ゼノコアは製造の準備に向けて、第1回の資金調達で500万ドルを調達する必要があります。同社は発展途上国でゼノスコープの組み立てと流通を担える現地企業との提携を希望していて、米国でも、感染の危険がない使い捨て機器として販売したい考えです。

 ユタ州ソルトレークシティのインターマウンテン・ヘルスケアに所属するレイ・プライス医師と近隣の3病院の医師は、ゼノスコープの品質を既存の腹腔鏡機器と比較する試験を行うよう提案しています。製造コストが85ドルの機器と非常に高価な既存の機器の性能が同じであれば、「低侵襲手術のコストが下がり、高額医療が混乱するかもしれない」が、「そうなることを期待する」とプライス氏は語りました。(ソースWSJ)

空の軍拡競争、中ロが膨大な予算投入!

2016-09-29 16:03:25 | 政治(国内・海外)
米国や欧州の同盟国が展開する戦闘機は、過去20年にわたり世界の制空権を握り続けてきました。しかし今はロシアと中国が兵器開発に膨大な予算を投入しているため、欧米の優位性が脅かされ、新たな軍拡競争が始まりかねない状況です。

 ロシアが東ヨーロッパや中東などで存在感を高め、中国も南シナ海に進出を続ける中、両国が開発する新たな戦闘機や対空兵器が数年後にも登場すると考えられています。この動きに対抗するかたちで、西側諸国も自国の次世代戦闘機開発を急がざるを得ない状況です。

西側の無関心を突くロシアのウクライナ政策
 「米空軍にとって喫緊の問題は、米軍に匹敵する最新の軍事技術を競争相手が開発していることだ」。6月、就任を目前に控えたデビッド・ゴールドファイン米空軍参謀総長は米国議員らにこう述べました。その2カ月後、米空軍は最新鋭の統合打撃戦闘機F35を認証しました。1990年代に展開されたボスニア紛争での作戦以降、敵地の正確なピンポイント攻撃が西側諸国の軍事作戦の柱となっていますが、F35にはそのための最新ステルス機能が搭載されています。

 戦闘機のフェラーリと称される米軍のF22も2005年に配備されたばかりでまだ比較的新しい戦闘機です。音速の倍のスピードで飛行しながら敵機を攻撃します。最近は爆撃機としても利用されるほか、敵地上空で情報収集活動を行うこともあります。

 しかし、米軍の戦闘機の75%以上は1970年代から継続して使われている種類のものです。F15戦闘機は1975年、F16戦闘機は1979年から展開。海軍のF/A18戦闘機も1978年から配備されています。これらの機体はフランスのラファールや欧州4カ国共同開発のユーロファイターと並び、アジアや欧州の同盟国の軍では戦闘機として今も重要な役目を果たし続けています。

ロシアと中国の台頭

 ロシアは2018年にも同国初となるステルス戦闘機のT50を配備する予定です。双発機のT50は操作性が高く、遠方の敵機を早期発見できる最新機能もあります。同国は最近、最新型の高性能戦闘機「スホーイ35(Su-35)」やSu34爆撃機をシリアに展開する動きも見せています。ロシア国防省からはコメントを得られませんでした。

 中国は長年にわたり戦闘機をロシアに頼り、ライセンス契約をして国内で製造するなどしていました。しかしそれも現状では変わりつつあります。米軍のF22に似た中国の新型戦闘機J20(殲20)は、まだ配備はされていないものの2011年から飛行を開始しました。2012年には米軍のF35に似た次世代機FC-31の飛行試験も始まっています。 

 米国防総省(ペンタゴン)は今年、中国軍の分析の中で「西側諸国の空軍との差を、さまざまな性能面で素早く埋めつつある」と評価。中国の国防省はペンタゴンのこの発表に不快感を示し、米軍が中国の兵器開発について「不適切なコメント」をしたと批判しています。

 レーダーを回避する技術は米国がロシアや中国をまだリードしています。しかし制空権を巡る激しい競争は、地上でも展開されているのです。

 ロシア政府によると同国はより高性能なミサイル防衛システムS400を開発。これまでの倍となる約380キロ離れた飛行機をミサイルで撃ち落とすことが可能になったといいます。同国国防省は8月、ウクライナとの関係が緊迫する中、併合したクリミアにこのS400を配備すると発表しました。ロシアは同防衛システムを他国に輸出しようと売り込んでいます。元米空軍中将のデビッド・デプチュラ氏は、S400が「軍事作戦の展開を大幅に難しくする」と話しています。

 中国は今年、ベトナムと主権問題を抱える南シナ海の西沙諸島に地対空ミサイル「HQ9(紅旗9)」を配備しました。

 対抗する米空軍は、こうした防空システムの範囲が届かない距離から敵地を攻撃できる長距離ミサイルなどを飛行機向けに開発することを目指します。航空戦闘軍団の指揮をとるハーバート・J・カーライル将官によると、これら新型の戦闘機は2030年には配備できるよう計画を進めているといいます。米海軍は、現在の攻撃機F/A-18E/Fスーパーホーネットの後継機を2035年に配備すべく準備中だそうです。(ソースWSJ)

露呈したデジタル広告の闇、疑念深める広告主!

2016-09-28 21:46:04 | 経済・金融・投資
自分たちが出した大金がどの程度効果的に使われ、どのような対価をもたらしたのか確認できない――。デジタル広告について一部の広告主はこんなふうに感じています。これだけでも厄介な事態ですが、それに拍車をかける出来事が相次ぎ、広告主を悩ませています。

 先週、広告業界にはびこる透明性の欠如が露呈しました。 フェイスブックが自社のプラットフォーム上での動画広告の平均視聴時間を最大で80%過大に見積もっていたことが明らかになり、メディアやマーケティング業界に衝撃が走りました。

 日本では広告代理店最大手の電通が23日、インターネット広告で少なくとも111社に過大請求を行っていたことを認めたのです。電通が不正を認めたきっかけは、広告の効果が出ていないというトヨタ自動車から苦情でした。電通は謝罪し、故意または人為的なミスが原因で不適切業務が発生したと説明しています。

 その一方で、広告主は、広告代理店が顧客にだまってメディア企業からリベートを受け取っているのではないかとの疑いを強めています。今年、広告業界を対象に行われたリベートに関する調査ではデジタル広告の契約が焦点の1つだった。ゼネラル・エレクトリック(GE)やJPモルガン・チェース、ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスは取引している広告代理店の監査を開始しました。広告会社は不正を否定しています。

 モバイル機器を片時も離さず、以前ほど従来型のメディアに触れることがなくなった消費者には、デジタル広告でメッセージを届けられる――。広告主はこれまで、このように説明されてきました。しかしフェイスブックの一件を含めた不透明な慣行を受けて、デジタル広告には落とし穴やリスクがあるという、これまでもぬぐいきれなかった印象がさらに強まったのです。

 企業の広告担当幹部にとって頭痛の種は、オンライン広告における透明性と信頼できる測定法の欠如だけではありません。広告が閲覧可能な状態になっていなかったり、コンピューターによって広告へのアクセス量が偽造されたりして、広告につぎ込んだ何十億ドルもの資金が無駄になっているのではないかとの懸念もそうです。

デジタル広告市場の伸び鈍化か

 全米広告主協会(ANA)のボブ・リオダイス最高経営責任者(CEO)によると、複数の問題が同時に発生したことでデジタル広告に対する広告主の見方が大きく変化し、1940億ドル(約19兆5800億円)に上る世界のデジタル広告市場の伸びが鈍化する恐れがあるといいます。ANAにはゼネラル・モーターズやAT&Tなどの大手の広告主が加盟しています。リオダイス氏は「広告主は投資収益の観点から何を得ているのかという疑問を持ち始めており、デジタル分野への投資水準の再評価を進めている」と話しました。

 通信会社USセルラーのブランド管理担当バイスプレジデント、グラント・リーチ氏によると、広告主が感じている最大の疑問は「自分たちの買い物には価値があるのか」ということだということです。デジタル広告を疑わしく思っても、従来型メディアから離れて多くの時間を過ごすようになった消費者にメッセージを届けたいのであれば、広告主はデジタル広告、特にモバイル機器向けの広告への支出を増し続けるしかありません。

 米広告業界の一部幹部の間では、「大手のオンラインプラットフォームは無責任な『ウォールドガーデン(壁で囲われた庭)』で、メディアや広告が自社プラットフォーム上でどのように消費されているのか限定的な情報しか提供しない」と言われています。フェイスブックの問題はまさにその認識を強めることになりました。

第三者による幅広い検証求める声

 ビールメーカーのハイネケンでメディア担当バイスプレジデントを務めるロン・アムラム氏は、自身の最大の関心事として「ウォールドガーデンはなくし、(大手のオンラインプラットフォームは)他のベンダーと対等に扱う必要がある」と話しました。アムラム氏と同社の代理店は今週、フェイスブックと会合を開き、問題の影響について議論する予定だといいます。

 フェイスブックの問題は従来型の出版社やテレビなど、フェイスブックと広告費を奪い合う競合他社にも影響を及ぼしています。米調査会社イーマーケターによると、460億ドル規模の米モバイル広告市場でフェイスブックは22%のシェアを握っており、順調にシェアを伸ばしています。直近の四半期決算ではモバイル広告収入が80%増加しました。競合他社は広告主を奪おうと、同社の失敗に付け込もうとするかもしれません。

 フェイスブックやユーチューブ、ツイッター、スナップチャットといったサイトでは動画の視聴者数は自社で把握していますが、テレビ業界ではニールセンが調査する視聴率が広告契約での基準となっています。

 広告枠の買い手とテレビネットワークは長年、ニールセンの視聴率データについて冗談交じりに不満を漏らしてきましたが、広告主は頼るべき独立機関があることに満足しています。

 大手のオンラインプラットフォームがそれぞれの価値について話したところで、「それを検証するのは難しい」とUSセルラーのリーチ氏は言います。それでもリーチ氏はデジタル広告向けの支出を削減する気にはならないと言います。

 ユニリーバのマーケティング責任者、キース・ウィード氏は「デジタルメディア産業で第三者による幅広い検証が行われなければ、広告主の投資行動に影響する」と指摘します。今回のフェイスブックの一件については、広告主が出した広告費に実質的な影響はなかったとみて問題視しなかった企業もあります。

 ソーシャルメディア企業ランドリー・サービスの創業者でCEOのジェイソン・スタイン氏はフェイスブックが動画広告を3秒以上見た人だけを視聴者に数え、その結果、平均視聴時間が過大に見積もられたことについて、「広告キャンペーンの測定基準に使うべきではない。視聴時間を測定するには生データを使うべき」と指摘しました。

 WWP傘下の広告代理店ネットワーク、グループMは声明を発表し、フェイスブックが3秒未満の視聴を視聴者から除いたことは「不注意で残念」だが、「今回の過ちを注意深く調査したところ、当社の広告キャンペーンに関して価格決定や顧客への広告提供に一切影響しなかったと判断した」と述べました。

 しかし、フェイスブックの過大見積もりが同社への広告費の分配に影響が及んだり、広告キャンペーンの効果について誤解を招いたりした可能性があるとみる企業もあります。フェイスブックのある大口の広告主は「(数字を)実際よりよく見せて、自分たちの利益を増やした具体的な詳細について(フェイスブックから)聞いている」と話しました。

 ある広告枠の買い手は、フェイスブックが広告主に返金する必要があるとは思っていない可能性があると指摘。この買い手のチームは動画の視聴時間ではなく、広告の表示回数を保証する契約に基づいてフェイスブックの動画広告枠を購入しているからです。

 グループMのロブ・ノーマン最高デジタル責任者(CDO)は動画の視聴者についてより細かなデータを入手できるようになることが必要だと話します。「われわれは視聴者数を知る必要がある。彼らがどんな人間で、どの広告をどの程度見ているか知る必要がある」と。ノーマン氏は「顧客にとって最大の問題は、広告の手段ごとの予算配分について意思決定ができることだ」と話しました。(ソースWSJ)

ハリウッド、中国での観客動員増を狙う配役!

2016-09-27 15:15:08 | 芸術(音楽など)・文化・歴史
映画「ジュマンジ」のリメークを手掛けているプロデューサーたちはこの夏、作品に中国人の俳優を出演させるべく複数の芸能プロダクションに連絡を取りました。しかし、役が男性になるか女性になるかはまだ決まっていないといいます。それどころか作品のストーリーも固まっておらず、その俳優がどのような役回りになるのかすら未定の段階です。

 中国が数年後には世界最大の映画市場になるとされている中、米映画界では、作品に中国人の俳優を起用し、同国の観客にアピールをするやり方が広く浸透しています。ハリウッドの大作に重要な役どころで起用された中国人俳優を中国の映画ファンは喜んで応援します。今夏も上海生まれの歌手アンジェラベイビーが映画「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」に出演し、話題を呼んだばかりです。 

 「まだ何をしたいかは決まっていませんが、製作側としてはとにかく中国の要素を入れたい考えだろう」――。あるエージェントは「ジュマンジ」のリメーク版についてこう話しています。

こびを売った配役は批判の的に

 ただ、この方法が必ずうまくいくとは限らず、あからさまに観客にこびを売っている配役は批判を受けることもあります。中国で大人気を誇るファン・ビンビンが2014年の映画「X-MEN:フューチャー&パスト」に出演した際は、セリフが「もう時間よ」の一行しかありませんでした。欧米映画に端役で出演する女優のことを中国の映画ファンは「花瓶」と呼んで批判しますが、国営メディアである北京日報もビンビンのその配役が「物議を醸した」と報道しました。

 調査会社エントグループによると、世界第2位の映画市場である中国の今年の映画興行収入は現時点で50億ドル(米国は81億ドル)。急速な成長を続けてきた中国映画市場ですが、今年はやや失速が見られます。

 中でも注目されるのが、興行収入に占める海外映画の比率低下です。昨年の上半期は興収全体の53.3%が輸入作品であったのに対し、今年はその割合が46.9%となっています。映画館に観客をどう呼び込むか、そこがハリウッドの映画会社にとってポイントとなっているのです。

スター・ウォーズ最新作も中国配慮

 北京でコンサルタントとして働くティナ・ユーさんは、中国人が出演しているからというだけで映画を見に行こうとは思わないと話します。「そういう映画に出演する中国のスター、特に女優は、花瓶として写っているだけか端役の場合が多い」ため、「見る映画はストーリーで決める」といいます。

 その一方、今後公開が予定されている「God Particle(原題)」や「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」などは、欧米の観客には無名でも中国では多くのファンを持つ俳優陣が登場します。

 中国で活躍する俳優にとって、ハリウッド映画でいい役に起用されることは「欧米での名声を手に入れるきっかけになる」。そう話すのは米ユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)でエージェントを務めるダレン・ボゴジアン氏です。ボゴジアン氏はアンジェラベイビーやビンビンといった女優のマネジメントを行う。UTAや他のハリウッドのエージェンシーは、中国人の俳優を担当するための部署を設立し広くマネジメントを手掛けています。

 「中国で有名であっても、市場は中国に限定されます。しかし米国で有名になれば、世界で有名になったのと同じだ」とボゴジアン氏は話します。

規制かいくぐり歌手でマーケティング

 映画「グランド・イリュージョン」の続編を製作した米娯楽大手ライオンズゲート・エンターテインメントは、作品の脚本がまとまる前に中国の人気歌手ジェイ・チョウを配役できるよう話し合いをしたといいます。そのチョウを推薦したのが、同作を中国で配給したレオマス・ピクチャーズ・インターナショナルのチウ・ジエ氏です。

 「映画に中国人俳優を出演させる場合、適切でなおかつストーリーにとって重要な役でないといけないと強調した」と同氏は話します。「中国人の俳優が主役にならないのは理解できる。でもこれさえ守れば、地元の観客も批判をしたりはしない」と。

 2013年に公開された「グランド・イリュージョン」は中国で2300万ドルの興行成績を収めましたが、今年公開された続編は9700万ドルに到達。ライオンズゲートの作品としては中国で最高の結果を出した作品となりました。

 中国人俳優を起用する場合、大切なのは役がストーリーに自然に組み込まれているかどうかだと製作会社の多くは話します。「より自然な流れでストーリーに登場させれば、作品に幅が出るし世界的にもヒットする」と説明するのは、米メディア大手タイム・ワーナー傘下の映画会社ワーナー・ブラザースでキャスティング部門の副部長を務めるローラ・ケネディ氏です。同社は来年、中国人女優ジン・ティエンが出演する「Kong: Skull Island(原作)」を公開します。

 最近では映画のテーマ曲をソーシャルメディアのフォロワーが多い人気歌手に歌わせる手法もとられています。映画のマーケティングに関してさまざまな規制がある中国においても、曲がラジオで流れるたびに実質的に映画の宣伝を展開できるからです。「グランド・イリュージョン」の続編に出演したチャウもテーマ曲を担当しました。

 米メディア大手バイアコム傘下パラマウント・ピクチャーズのロブ・ムーア副会長は、「このやり方も中国市場でマーケティングを展開するひとつの方法だ」と話しています。ただし俳優をビール缶のような商品として劇中に登場させることには注意をしなければならない、とも同氏は話しています。(ソースWSJ)

「破滅への道」たどる中国のインフラ建設!

2016-09-26 11:36:48 | 経済・金融・投資
独裁的支配を最も痛烈に批判する人々でさえ、インフラ建設に関しては、中国が裕福な民主国家に圧勝していることを認めています。

 米国は事実上、勝利を断念しています。米国土木学会(ASCE)は4年ごとに、崩れ落ちそうな学校や慢性的に混雑している主要空港、くぼんだ道路や老朽化した輸送システムといった国内のインフラ状況を点検し、全体評価を下します。最新の2013年は「Dプラス」でした。

 一方、中国は十分なペースで建設を進められません。北京を走る第6環状高速道路(六環路)が先ごろ開通し、建設作業員は現在七環路(所によっては100マイル外側)の作業に当たっています。これは首都と周辺都市を結び、日本の人口をやや上回る1億3000万人の「巨大都市」を作る計画の一環です。10年前には存在しなかった高速鉄道網は今や欧州連合(EU)の鉄道より広範に及び、急速に拡大しています。政府の経済計画当局にとってダムや橋、トンネル、地下鉄の新設は目新しいことではないのです。

 しかし、それにはどれだけの費用がかかるのだろうか。オックスフォード大学サイード・ビジネススクールの研究者4人がまとめた論文は、第三者が中国のシステムの突出した強みとしてよく称賛する点がむしろ途方もない浪費につながっていると主張し、物議を醸しています。これらの建設は、2014年に積み上げられた債務28兆2000億ドルの3分の1に相当する予算超過を招いたというわけです。規模を縮小しない限り中国は「インフラ主導の金融・経済危機に向かい」、その影響が世界的に波及すると論文は指摘しています。

 研究者らは95の道路・鉄道建設プロジェクトのデータを調査しました。予算超過は一般的に民主主義国家とほぼ同水準で、中国はスピードでは圧勝しているが、品質や安全性、環境を犠牲にしているといいます。開通した道路の大部分は交通量が少なく、若干が渋滞しています。どちらにしてもこの結果は非効率極まりないのです。

 これらの問題点が全体を象徴するものであるなら、中国の金融崩壊を暗示しているばかりか、建設を加速すれば企業や家計のコストは下がり、経済成長が上向くという世間一般の見方が試練にさらされます。中国の場合、インフラは破滅への道なのかもしれません。

 債務が中国経済の泣き所であることにほぼ異論はありません。政府はサービスや消費主導経済へのリバランス(再均衡)を図っているものの、いかなる代償を払ってでも成長を促そうと必死になって建設しています。マッキンゼーは、中国の債務が2000年〜14年に26兆1000億ドル増えたと試算していますが、これは米国と日本、ドイツの国内総生産(GDP)を合わせた数字より大きいのです。

 そうした債務はインフラ建設の大半を担う国有企業に集中しています。鉄道建設大手の中国中鉄は、ギリシャの約2倍の債務を抱えています。それでも政府は年内のさらなる鉄道建設に1200億ドルの予算を計上しています。

 中国指導部は危険を十分認識しています。人民日報は今年初め、「権威ある人物」(習近平国家主席を指すものと思われる)が語ったものとして、「樹木が空まで伸びることはない。高いレバレッジは必然的に高いリスクを生み出す」という発言を伝えました。

 オックスフォード大の論文については懐疑的な見解もあります。調査会社ゲイブカル・ドラゴノミクスの中国担当調査ディレクター、アンドリュー・バトソン氏はブログで、同論文は「いささか曖昧なミクロのデータに基づき、中国について壮大なマクロ的主張を打ち出している」と指摘しています。つまり、中国は他国と同様に個別のインフラプロジェクトでは失敗しているが、金融危機のリスクを招くほど大きな失敗を犯してしているわけではないというのです。

 カリフォルニア大学サンディエゴ校のバリー・ノートン教授(中国経済)は、中国モデルの強みはインドのようにボトルネックが浮かび上がるまで待つのではなく、需要に先んじてインフラを建設することだと主張しています。同教授はオックスフォードの論文について問われると、「低リターンのインフラ建設は(経済にできることの中で)最も悲惨というわけではない」と答えました。

 それでも、近年は中国のインフラ建設に抑えが利かなくなっているとの見方は広がっています。地方政府は価値あるプロジェクトが枯渇し、実につまらないお金の使い方をしている一方、企業は戦略を仕掛けている。湖南省はスリルを求める観光客を呼び寄せるため、340万ドルを投じてガラスのつり橋を設置しました。同省の省都・長沙市のある企業は、57階建ての高層ビルをわずか19日間で完成させました。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)で中国の産業政策を専門とするスコット・ケネディ氏は、中国はインフラ支出を続けるべきだが、異なる方法でやるべきだと指摘しています。地域間の貧富の差を是正するため地方部での投資拡大や、病院や学校の整備を重視すべきだというのです。

 当然ながら、米国にとってこれらの選択肢は夢物語でしかありません。大統領選では民主党候補のヒラリー・クリントン氏も共和党候補のドナルド・トランプ氏も、成長促進や雇用創出のためインフラ投資を拡大すると公約していますが、資金の調達や拠出を阻む政治的行き詰まりをどうやって打開するかは定かではありません。

 紛れもなくはっきりしているのは、インフラという領域において中国は度が過ぎてうんざりするが、米国など西側の民主主義国は到底十分とは言えない、ということです。いずれの行き過ぎも長期的な経済成長や人類の幸福、金融の脆弱(ぜいじゃく)性を脅かすことになります。(ソースWSJ)