お金のない世界「知恵の輪」 I realize world peace

メインブログは楽天「知恵の輪」です。
http://plaza.rakuten.co.jp/chienowa/

お金を知らない子(12)

2020年02月29日 19時34分01秒 | Weblog
健司はお金のない世界の仕組みに興味を持つ一方、
今回のように自然災害の対応に興味を示した。


「なあ稔君、大雪が降った時は自宅待機だけど、
 大震災や大洪水の時なんかどうしてるんだ?」
「震災や洪水はあるけど大きな被害はないです」
「大きな被害がないのはどうしてなんだい?」
「それは簡単ですよ。震災や洪水が起きそうな所
 ってあらかじめわかっているでしょ?、だから
 安全な場所で住んでいるんです」


「安全な場所でも危険になることもあるだろ?」
「はい、そういう時はまた場所を変えるんです」
「そんなに自由に変えることは出来るの?」
「はい、できますよ」
「所有権はどうなってるんだ?」
「所有権って?」
「家も土地も自分以外の人に使ってはいけないの」
「あ~それなら使用権というのを習いました」
「使用権って?」
「自分が使っているものは守られるって」
「あ~なるほどね」
「だから誰も使っていない土地や建物は使いたい
 人がいたら自由に使って良いんです。でも管理
 義務はあるって言ってました」


所有権が無くても使用権はある。
たしかに使用権だけでも成り立つに違いない。
健司はなんとなく納得した。


「やっぱり考え方が一歩進んでいる気がするね」
「この世界では自由に移転が出来ないんですね」
「そうなんだよ。せめて公民館に避難するくらい
 だから長期間になれば不自由な生活だよ」
「それは一時的に避難する時ですか?」
「そうだよ」
「僕たちの世界では避難場所は多いですよ」
「どんな所が避難場所になってるの?」
「ホテルでしょ、旅館でしょ、映画館でしょ、ゲ
 ームセンターでしょ、演芸場でしょ・・・」
「チョット待ってよ。こんな場所が避難場所?」


健司は避難場所が娯楽設備であることにびっくり
して思考が止まってしまった。


「なんでこんな所が避難場所になるの?」
「それはね、多くの人が不安にならないようにっ
 て言ってました。それに退屈しないでしょ?」
「そやあそうだけど。まいったな~(笑)」


健司が驚いたのも無理はなく
お金の要る世界ではありえないことであり、行政
が率先してやっても「税金の無駄使い」だと非難
されることは想像出来ることだった。



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お金を知らない子(11)

2020年02月28日 17時54分28秒 | Weblog
健司は稔の言葉に唖然とした。
からかっているとは思わないけど何だかなぞなぞ
の問題を投げかけられているような気になった。


「仕事は少ないけど多いってどういうこと?」
健司は改めて聞いてみた。


「やらなければいけない仕事は少ないんですよ」
「やらなければいけない仕事って?」
「生活に不安がないように必要なものを生産して
 流通させることが大切なんだって習いました」
「あ~、そういうことね」
健司は納得した。
そして改めて聞いた。


「たしかに必要なものだけなら労働者は余るね。
 それで労働時間が減るのは納得するんだけど、
 多い仕事って何だろう?」
「それは、みんなが楽しく暮らせるように新しい
 仕事を工夫して作るんです」
「新しい仕事ってどんな仕事?」
「それは冬なら冬のレジャーとか人によって楽し
 み方が違うでしょ?それをみんなで考えるんで
 す。自分の趣味や楽しみ方を一緒に考えること
 が仕事としているんです」
「なるほどね~。遊びや趣味がみんなの暮らしに
 役立つから仕事として成り立つんだね(笑)」


生活に必要な生産と流通が満たされれば、残りの
時間を楽しく生きていけるようにみんなが考える
ことで時間を有効に使う。
健司は労働という概念が違うことに驚いた。


「それで通勤ラッシュというものがないんだね」
「通勤ラッシュって?」
「あ~、さっき言った朝の通勤の混雑だよ」
「そうなんですか」
「会社員って朝出て夕方まで働くのが仕事だから
 毎日出勤することに義務感を感じているんだよ」
「それで給料をもらって生活するんですね」
「お金がないと生きていけないからね」
「お金って大切なんですね」
「お金は便利な道具だと昔から言われてきたけど
 稔君の話を聞いていると情けなくなるよ」


稔は「情けなくなる」という言葉に反応した。
なぜ情けなくなるんだろう?
お金のない世界のほうが便利だと思うけど。
稔は健司に聞いてみた。


「どうして情けなくなるんですか?」
「今までお金を使って助け合うことが素晴らしい
 と思って生きてきたんだけどね。なんだかな~
 って感じなんだよ」
「なんだかな~って?(笑)」
「お金のある世界って物々交換の世界なんだよ」
「物々交換って?」
「昔はね、自分が欲しい物は自分が持っている物
 と交換しないと手に入らないんだ。それを物々
 交換と言っているんだけどね、それでは不便だ
 から物の代わりにお金というものを使って交換
 しているんだよ」
「それで人生ゲームの理由がわかりました」
「どういうふうに?」
「お金が無くなったら借金してでもゲームに参加
 しなくっちゃいけないって」
「そういうことだね(笑)」



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お金を知らない子(10)

2020年02月27日 19時45分52秒 | Weblog
その晩は稔はたくさんお話して疲れて熟睡した。
翌日健司と妻の声で目が覚めた。


「大雪じゃないか。今日は山には行けないよ」
「また~?」
「これじゃあ世間も困るんじゃないか?」
「世間より我が家でしょう? 収入激減よ」
「・・・・・」


レストランの経営者の健司は唯一の収入源である
レストランにお客が来ないことが死活問題だった。


稔は目をこすりながら優希と二階から降りてきた。
「おはようございます」
稔は夫婦の困った顔を見ながら聞いてみた。


「どうしたんですか?」
「大雪が降ってるんだよ」
「何か困るんですか?」
「これじゃあレストランにお客が来ないよ」
「ゆっくり休めて良いじゃないですか」
「休んでいたんじゃお金にならないじゃないか」
「あ~。そうでしたね。すみません」
「稔君が誤ることじゃないけどね(笑)」


中一の優希は学校へ行く準備をしていた。
そこへお母さんが
「食事が出来ているから早めに食べて行ってね」


稔は不思議そうに聞いてみた
「こんなに大雪なのに学校へ行くの?」
「そうよ。病気なら休むんだけどね」
「え~。僕たちの学校は休んでも良いよ」
「休むとみんなから遅れると困るからね」
「稔君の学校は教え合うから大丈夫だったね」
健司は思い出したように口を挟んだ。


優希が学校へ行ったあと健司がテレビのスイッチ
を入れてニュースを見入って一言つぶやいた。
「都会の出勤は大変だな~。みんな遅刻だな」
都会の電車は遅れて駅の構内では大混雑だった。


健司はゆっくりの朝食を食べたあとコーヒーを飲
みながら稔に聞いてみた。


「なあ稔君、君の世界ではこんな混雑あるの?」
「いえ、ないですよ」
「どうして混雑しないの?」
「大雪や台風の時は出勤しないんです」
「出勤しなくても大丈夫なの?」
「大丈夫って?」


健司は何が大丈夫なのか返事に困った。
しばらく考えて
「会社員は会社に行って働くことが仕事だよ」
「家に出たら危ないのに出勤するんですか?」
「出勤しないと働いたことにならないしね(笑)」
「大雪も台風も2,3日で収まるでしょ?」
「そう言われればそうだよな~(笑)」


「僕たちの世界では働く時間は少ないですよ」
「普通一日8時間だろ?週休二日制で」
「僕たちの世界では一日4時間ですよ」
「どうしてそうなるの?」
「生活に必要なものを生産して流通させるって、
 学校で経済の勉強しましたよ」
「経済の勉強でもまるっきり違うんだね」
「人生ゲームをやってみて少しわかったんですけ
 どね。お金を使う経済はお金がないと成り立た
 ないんですね」
「ほ~、そこまでわかったんだね。さすが!」


健司はもう少し質問してみた。
「稔君はまだ小学生だから知ってる範囲で教えて
 くれるかな?」
「はい」
「仕事って多いの少ないの?」
「少ないけど多いです」
「何それ?」



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梅の花と桜の花

2020年02月27日 18時04分42秒 | Weblog
この時期は梅とサクランボの花の開花が同じです。
先日女房が義兄の所から梅の枝を切って持って帰
り玄関前の壺に挿しました。
けっこう花が咲いていました。


せっかくだから写真を撮り我が家のサクランボの
花と比較してみました。
違いはわかるけど両方ともきれいです。




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お金を知らない子(9)

2020年02月26日 20時12分44秒 | Weblog
優希は稔に学校について質問してみた。


「稔君の学校は楽しいの?」
「うん。楽しいよ」
「僕は行きたくない時もあるんだよ」
「どうして行きたくないの?」
「勉強についていけなかったり・・・」
「それと?」
「仲間はずれにあったりね」
「そうなの?」


「だからね、学校が楽しいってすごいなって」
「僕たちの学校はみんなが教え合うんだよ」
「先生が教えるんじゃないの?」
「先生だけではみんなに教えられないでしょ?」
「そう言われればそうだけど」
「だからね、わかった人がわからない人に教える
 の。時々上級生と一緒に勉強することもあるよ」
「上級生と下級生が同じ教室で?」
「そうだよ。上級生は教えることを学ぶんです」
「そっか~。本当に理解しないと教えることが出
 来ないんだね。伝えることも学べるんだね」
「だから勉強するのが楽しくなるんだよ」


「それならいじめも無いんじゃないかな?」
「いじめって?」
「人に嫌がることをするんだよ」
「僕たちは小さい頃から『人が喜ぶことをしよう』
 って習ったよ」
「僕たちは『人様に迷惑をかけてはいけません』
 って習ったよ」
「『してはいけません』と『しましょう』と真反
 対だね。でも同じことのような気がする」
「迷惑をかけてはいけないと思うから話しかけな
 いようにすることは多いね」
「そうなの?」


優希はこの会話でお金のない世界をイメージした。


「小さい頃から人の喜びをしようって言ったよね」
「うん」
「今思い出したんだけどね僕も小さい頃お父さん
 やお母さんのお手伝いをしたくてね、喜んでく
 れる笑顔を見るのが嬉しかったよ」
「僕たちもそれを大切にしようと習ったよ」
「やっぱりね。ご褒美はお金じゃないんだね」
「自分が役に立つと思ったらすっごく嬉しいね」


子どもたちが通う学校での助け合いの学びは
社会に出てからも充分活かされる教育であった。



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サクランボの花とダイコン

2020年02月26日 12時58分48秒 | Weblog
先日一輪だけ咲いたサクランボの花が今日は一変
して多くの花が咲いていました。
急に暖かくなったからでしょうね。
きれいな青空をバックにパチリと撮りました。


昨日は義兄の所でダイコンを一本引いてみました。
「なんじゃこれ」って感じのダイコンでした(笑)


ダイコンを植える予定で作るならあらかじめ石を
取り除いているんですけどね。
とりあえず植えておこうと言って植えた所です。
案の定へんちくりんのダイコンが出来ました(笑)




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お金を知らない子(8)

2020年02月25日 19時11分22秒 | Weblog
優希は稔に聞いたみたくなった。
「稔君はどんな遊びをしてるの?」
「もちろん人生ゲームはないよ。外遊びが多いよ」
「外で何して遊ぶの?」
「冒険旅行かな?」
「冒険旅行?」


あまりにも思いがけない答えが返って来たので、
優希はますます聞いてみたくなった。


「街の中でも冒険できるの?」
「うん。できるよ」
「どんな冒険するの?」
「学校で習った仕事の種類を見て回ったり、大人
 がどんな所で遊んでいるのか見るの」
「入ってはいけない所もあるんだろ?」
「もちろんそういう所へは行かないよ」
「今までどんな所がおもしろかったの?」
「楽器を作る所とかおもちゃの工場とかね」
「いいな~、僕も行ってみたいな~」
「この世界も行けるんじゃないの?」
「そんなこと考えたことないんだけど(笑)」


「冒険するのが楽しいのは自由に行けるからね」
「そっか~、お金がなくても良いからね」
「バスも電車もレストランもホテルも空いていれ
 ばいつでも自由に使えるから大丈夫だよ」
「それって、親が心配しないの?」
「だからこのスマホを持っているんだよ」
「何それ?」
「携帯電話だけど位置情報がわかるんだよ」
「僕たちは携帯電話しか持っていないよ」
「そっか~まだなんだね」


「じゃあ家の中にいるより外のほうが楽しいね」
「うん。そうだよ」
「じゃあ遠くまで冒険できるね?」
「夏休みなんか友だちと一緒に旅に出るの」
「いいな~」
「途中で『乗せてやろう』ってタクシーの運転手
 さんが言ってくれたり、『何か食べて行きなさ
 い』って知らないおばちゃんに言われたりね」
「いいな~」


それを聞いた優希は一つの疑問を見つけて聞いた。


「誘拐とか犯罪は心配ないの?」
「誘拐ってな~に?」
「子どもをさらって行くの」
「何のために誘拐するの?」
「身代金目当てで・・・あ!そうか」


お金のない世界であることに気が付いた優希は身
代金という言葉は存在しないと思った。
優希はますますお金のない世界に興味を持った。



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お金を知らない子(7)

2020年02月24日 18時31分17秒 | Weblog
車は店長の自宅の車庫へ静かに入っていった。
そして玄関を開けると


「ただいま~」
「おかえりなさい。あれ?この子は?」
店長の息子の優希(ゆうき)君が出迎えた。
「あ~。稔君だ」
「こんばんは」
「こんばんは。君は何年生?」
「僕は小6です」
「そっか~。僕は中一よろしくね」
「こちらこそよろしくお願します」
「さ、どうぞ」


稔は居間に通された。
そこで稔は店長に質問した。
「まだお名前聞いていなかったんですけど」
「そうだね(笑)僕は大空健司よろしくね」
「僕は希望稔です。よろしくお願いします」
「お母さん。お風呂沸いてる?」
「沸いてるわよ」
「稔君、優希と一緒にお風呂にはいっておいで」
「はい」


稔と優希がお風呂から上がると食事の準備が整っ
ていた。
「さあ。一緒に晩ご飯を食べよう」
「ありがとうござます。美味しそうだ」


店長は、美味しく食べながらさっきまでの経緯を
妻と子供に説明をした。
妻は半信半疑ではあったが素直な稔を見て疑いの
気持ちは薄らいでいた。
夕食が済み店長がお風呂に入っている間稔と優希
は人生ゲームをすることになった。
それは
お金のことを稔に理解してもらうことだった。


「人生ゲームっておもしろそうだね」
「うん。おもしろいよ」
「これ、な~に?」
「これがお金なんだよ。でもおもちゃだけどね」
「ゲームのときだけ使うお金なんだね?」
「そうだよ。じゃあ始めるよ」
「ゲーム版の中にいろいろ書いてあるんだね」
「そうだよ。人生っていろいろお金が要るんだ」
「へ~。怪我とか病気とか入学とか結婚とかい
 ろんなことが書いてある。投資で儲かるとか」
「お金の要る社会はお金がないと何も出来ないん
 だよ。だから働いてお金を稼ぐんだよ」
「それでレストランで食べるのもお金が要るんだね」
「そうだよ」


少しずつ理解した稔はゲームを楽しんでいたが。
何度も怪我や病気をしている所に入ったものだか
ら、ついに手持ちのお金が無くなってしまった。


「お金が無くなったけどゲームセットなの?」
「そうじゃないよ。借金をするんだよ」
「借金って?」
「銀行からお金を借りて、あとから利息と一緒に
 お金を返すんだよ」
「借金しないとゲームが出来ないの?」
「それが人生ゲームなんだよ」
「生きることと遊びと同じなんだね」
「お金がないと生きていけない社会だからね」
「なんだかお金の要る世界って辛そう」


稔はお金のない世界のほうが楽しく生きていける
と真剣に思った。



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ジャガイモを植えました

2020年02月24日 18時13分00秒 | Weblog
久しぶりに会社の畑にジャガイモを植えました。
寒い日が続いていたので準備だけしていたけど
やっと植え終わりました。




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お金を知らない子(6)

2020年02月23日 20時33分29秒 | Weblog
店長の質問が続いたあと稔が質問をしてみた。
生い茂る山の坂道を下りながら林の中を指差して


「何かあるみたいだけどあれは何ですか?」
「あ~あれは不法投棄のゴミなんだよ」
「ゴミって?」
「誰かが電気製品や廃タイヤなんか捨てるんだ」
「へ~悪い人がいるんですね」
「稔君の世界ではこんなことはないんだろう?」
「はい。ないです」
「要らない物はどうしているんだ?」
「生ゴミのように循環社会になっているんです」


生ゴミ以外の循環はどうなっているんだろう?
店長は改めて稔に聞いてみた。


「稔君の世界ではどのように循環してるの?」
「この間、大規模リサイクルセンターに学校から
 見学に行ったんです」
「大規模リサイクルセンターって何?」
「すべての要らない製品を回収する所ですよ」
「すべての要らない製品って?」
「さっきのような電気製品や家庭用品すべてです」
「それは無料?あ!お金は無いんだった(笑)」


「それらは回収するの?それとも・・・」
「持って行くのもいいし定期的に回収しますよ」
「それなら資源が無駄なく使えるから安心だね」
「不法投棄を回収する労力がもったいないですね」
「そうなんだよ。何をするにしてもお金が要るん
 だから初めからセンターを作ったほうが良いね」


「一つ気になったんだけどね車も回収するの?」
「はい。車も回収して中古車が新品のようになる
 んです。でも新型がよく作られますよ」
「それはどういうこと?」
「いくつかモデルを作って人気投票するんです」
「人気投票で多かった物を生産するってこと?」
「はい。そうなんです。みんな楽しんでいます」
「何だかそっちの世界のほうが楽しそうだな~」
「でも、好みに合わせて改造車もありますよ」
「ますます憧れるな~(笑)」


店長は現実の世界との違いを感じていた。
そろそろ
店長の家に近付いた。



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お金を知らない子(5)

2020年02月22日 19時40分40秒 | Weblog
山から下りる道中、店長はどうしても聞いてみた
いことを稔に質問してみた。


「レストランはどんな経営をしているの?」
「経営って何ですか?」
「そうか、お金が無いのなら経営は無いな(笑)」
「でも、レストランはいっぱいありますよ」
「レストランではどんな食事を出しているの?」
「店長さんの所と同じですよ。でも臭くないです」
「え?臭くないって?」
「レストランに入る前に臭かったです」
「あ~あれは厨房の裏にある生ゴミが原因だね」
「どうして生ゴミがあるんですか?」
「あれはゴミとして定期的に業者に出すんだよ」


店長は生ゴミは業者に処分をしてもらっていた。


「稔君の世界では生ゴミはどうしてるの?」
「学校で習ったんだけどね、ファームシティって
 言っていました」
「ファームって農場とか農園とか言うんだろ?」
「はい、レストランや家庭の生ゴミはすべて農家
 に送って肥料にして野菜を作っているんです」
「なるほど。循環システムってやつだね」
「生産された野菜はレストランやスーパーへ送る
 んです」


「料理の種類は多いのかな?」
「はい。少ないです」
「それじゃあ寂しいじゃないか?」
「いえ、レストランは毎日人がいっぱいですよ」
「どうして?タダだから?(笑)」
「そうじゃなくて、料理教室があるんです」
「レストランで料理教室やるの?」
「はい」


店長はお金を稼ぐために美味しい料理を作る。
自分の技をわざわざお客さんに教えるなんて。
思い付かなかったのです。


「どのような方法でやってるの?」
「家庭菜園で作った人は、自分の野菜を持って行
 き、それを使った料理を教えてもらうんです」
「野菜を持って行かない人はどうするの?」
「お店で余った材料を使って料理をするんです」
「なるほど、それなら無駄なく使えるね(笑)」


店長はレストランの仕組みの違いに驚いていた。
そして
次のような質問をしてみた。


「さっき稔君が来たように子供だけで来るの?」
「はい、お腹が空いたらレストランに行きます」
「家ではお母さんが作らないの?」
「料理の苦手なお母さんもいますからね(笑)」
「そっか~。それじゃあお母さん達も楽だね」
「ストレスが無いって言ってましたよ」
「稔君のお母さんも?」
「はい!(笑)」



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サイタサイタ桜が咲いた

2020年02月22日 18時25分52秒 | Weblog
花見の話じゃないけどね(笑)
我が家のサクランボの花が一輪咲きました。
昨日
「これが一番先に咲くんじゃないか?」
と思っていたのがやっと咲きました。


もう一つ咲きかけたのが一輪あります。
明日はきっと咲いているでしょう。


毎年2月25日までには咲いています。
自然ってすごいですね。





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お金を知らない子(4)

2020年02月21日 19時41分56秒 | Weblog
テーブルに案内されて稔は座った。
そして店内を見渡して
「お客さんはいないの?」
そう言うと店長が
「昨日から猛吹雪でね入山禁止になってるんだよ」
どうりでスキー場に人がいなかったと気付いた。


「お金は要らないから何を食べたいの?」
店長がやさしく言ってくれた。
「ありがとうございます。カレーをお願いします」
「よしわかった。飛び切り美味いのを作るよ」
「ありがとうございます」
店長は厨房へ行き店員は水を持って来てくれた。


「ところで君はどこに帰るの?」
「あの~帰る所が無いんです」
「それじゃあ困るだろう?」
「本当は帰れるんですけど」
「じゃあ帰れば良いじゃないか」
「お父さんがしばらく体験してみなさいって」
「なんだか無責任なお父さんだな~(笑)」
「何でも体験しろって言われるんです(笑)」


そこへ店長がカレーを持って来てくれた。
「さ~、君だけに作ったカレーだから美味いぞ」
「ありがとうございます。頂きます」
稔は空いたお腹を満たすために食べ始めた。
「美味しい~♪」
「そうだろう?」


店長は稔の行儀の良さに興味を持った。
お金のない世界ではどんな教育を受けたんだろう?
レストランの経営はどんな仕組みなんだろう?
いろいろ聞いてみたくなった。


「なあ、稔君。しばらくうちに来ないか?」
「うちって?」
「僕の家にも君のような男の子がいるんだ」
「何年生?」
「中学一年生なんだけどね」
「僕より一つ上なんですね」
「違う世界の話も聞きたいし。どうだろう?」
「はい。よろこんでお邪魔します」
「よしわかった。今日はこれで店を閉めよう」


入山禁止の山から三人は山から下りることにした。



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お金を知らない子(3)

2020年02月20日 20時44分06秒 | Weblog
稔はレストランに近付いて違和感を感じた。
異様な臭いであった。
それは建物の裏側から漂う生ゴミの異臭である。
気になっていたが
「とりあえず何か食べよう」と。


入り口に立つとドアが開かない。
何度かかかとを上げたり下ろしたり。
しばらくすると店員がやって来てドアを開けた。
「このドアは自動ドアじゃないの?」
「停電になったら困るから自動じゃないんだよ」
「山の中だから?」
「そうなんだよ。ところで一人なの?」
「はい」
「食事をするの?」
「はい。お願いします」
「お金は持ってるの?」
「お金って何ですか?」
「え~?」


稔はレストランでは
「食事をお願いします」と言えば食べることが
出来ると思っていた。


「店長」
「何だ」
「この子はお金を持っていないんですけど」
店員はお金を持たない子どもの対応に困っていた。


店長が近付いて
「坊や、お金を払わないで食べるつもりだったの?」
「お金を払うって?」
「どうなってるんだこの子は」


稔は次元が違うことは知っていたけど、お金の話
はまったく知らなかった。
ましてやお金という物が無いと食事が出来ない。
何を話してよいのか稔には思い付かなかった。


信じてもらえるかわからなかったけど稔は本当の
ことを話すことにした。


「あの~。僕はお金のない世界から来たんです」
「え~!何言ってるんだ君は?」
店長と店員は驚いた。
「本当なんです」
これ以上聞いたところでどうにもならないと判断
した店長は「とにかく座りなさい」と稔に言って
店員は稔をテーブルに案内した。



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お金を知らない子(2)

2020年02月19日 20時58分05秒 | Weblog
稔君は「希望稔」という小学6年生の男の子です。
家族でスキー場に遊びに来て、一人でスノボーを
使って遊んでいたところ凹地に落ちて気を失い
気がついて元に戻ってみたら誰もいない。


「スキー場に誰もいないなんてどういうこと?」
焦った稔はさっそくスマホを取り出して父親に
電話してみた。
「あ!お父さん?」
「稔どこへ行ったんだ。みんな心配してるぞ」
「スキー場には誰もいないじゃないの」
「あ~そうか」


お父さんにはすぐわかったようです。
「あのね、心配しなくて良いよ」
「僕はどうなったの?」
「違う次元に行ってるんだよ」
「え~!そうなの?」
「心配しなくても戻れるから安心して」
「すぐ戻れるの?」
「すぐ戻れるけど、どうする?」
「どうするって?」
「違う次元でいろいろ冒険してみるのはどう?」
お父さんは稔に体験して欲しかったようです。


「何を冒険するの?」
「そっちの世界は一つ前の次元だと思うんだよ」
「それが僕にはわからないよ」
「学校で歴史を学ぶより体験で学んだほうが良い
 と思うんだよ」
「なるほどね」
「帰るのはいつでも出来るから心配しないで」
「うん。わかった」
「でも、スマホだけは無くさないでくれよ」
「疑問に思ったんだけどね何で電話できるの?」
「最近通信技術が新しくなったんだよ」
「へ~そんなんだ」
稔はそれが何だか聞く気にはなれなかった。
聞いたところで理解するはずが無かったらである。


電話を切った稔は
「さて、これからどうすれば良いの?」
とつぶやきながらゲレンデのレストランに向かった。


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