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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

鎌倉投信の運用報告会・2014年春(その2)

2014-04-13 17:37:45 | 直販投信

参加者からの質問とそれに対する新井さんからのお答えです。

――投資先が100社になるのはどれくらいかかるのか?
・相場の状況によっても変わってくるが、組入れのペースから考えて、2年くらいで100社になると思っている。
・投資先が増えて運用管理体制は大丈夫かと思われるかもしれないが、10/1からもう1名増える予定(今は勉強をさせている)。そうなれば、組入れ銘柄が増えても大丈夫だ。
・対話をする中で、この投資先で大丈夫かということはある。担当や社長が交代することもあるし、スタンスが変わることもある。そういう意味では、投資先は増えることもあるが、減る可能性もある。

――投資先のメンテナンスはどうなっているのか? 会社の決算説明会などは新井さん1名では回れないのでは?
・(時間が空いていたら参加することもあるが)基本、決算説明会には行かない。決算数字などはネットでもみられる。社長の健康状態などは確認できるが(笑)、実がないと思っている。
・経営の方向感、方針の変化などをつかむことが大事で、そのためには直接会って「対話」することが必要。そのため、個別にアポイントをとって訪問している。頻度は規模によっても違い、未上場企業などは月に1度のペースで訪問するし、大きい会社は年に1回程度。

――金融機関からの資金も入っているということだが、大口の資金が入ってくることで、運用が不安定になることはないのか?
・金融機関の場合、1社当たりの投資額は純資産総額の10%を上限と決めているし、リスク管理やシミュレーションは行っている。分散もしている。また、例えば3月に投信を売って益出しするような金融機関さんとはお付き合いしない。副次的な効果としては、いい会社を教えてもらえるケースもある。
・お客様も分散したい。個人投資家のかたが毎月1万円の積み立てをすると黒字化するのに3年程度かかる。大口の顧客をふやすことで(経営的にも)安定する。最近は財団なども含め、顧客の分散もはかっている。ただし、「価値観を共有できる」ことが前提だ。 

――以前、鎌田社長に「ウォール街のランダムウォーカー」「敗者のゲーム」「インデックス・ファンドの時代」を読むことを薦められたが、それを読むことで何がわかるのか?
・本ではアクティブファンドのほとんどはインデックスファンドに勝てないということを言っている。ほとんどのアクティブファンドのファンドマネジャーは「それは違う」というかもしれないが、私もそう思う。
・では、なぜアクティブファンドの運用をしているのか。日本以外の市場であれば、インデックスファンドでいいと思っている。他の先進国株のインデックスは上昇してきたからだ。
・だが、日本のマーケット自体に成長はないと思った。日本には課題があり、リスクをとってもリターンが上がらない(=TOPIXについていってもあがらない)。 そこで、社会的課題の解決に取り組む企業だけに投資をしたい。インデックスが上がらないという前提の中で、日本をあきらめず、日本を応援するという観点でアクティブファンドを運用している。だから、結い2101は”第3基軸”と思っていただけるとよいのではないか。

――未上場企業の社債への投資。満期後の対応は?
・資金需要が明確になっている場合にはお金を出す。条件を提示して、必要なお金を必要なだけ出す形にしている。
・償還後は状況によって変わるだろう。10年後に株で買えるようになっているかもしれないし、再び債券かもしれないし、ニーズがないかもしれない。個人的には株で応援できるようになっているとよいとは思う。

以上です。


鎌倉投信の運用報告会・2014年春(その1)

2014-04-13 17:28:03 | 直販投信

4/12に鎌倉投信「結い2101」の運用報告会に参加(東京会場)。取締役・資産運用部長の新井和宏さんから説明を受けました。春の運用報告は2013年4月1日~2014年3月31日時点の運用報告。もう1つは決算報告(決算日は7/19)で、受益者総会を実施。今年は9/27(土)に神奈川県横浜市の大さん橋ホールで行う予定だそうです。以下、ポイントのみまとめました。

<現状報告>
2014.03末時点
●純資産総額;約84億円(前年3月末34.66億円)
●受益者:7250人(前年4780人)
●そのうち積み立てしている人:4669人(前年3170人)
→積み立て比率65%程度
→残高のペースが速くなっているのは株価上昇と、金融機関の投資家(信金や地銀など)からの資金が10億円程度入ったため。大口が増えた。

●組入銘柄数:46社(うち4社は未開示)
●人19社、共生15社、匠12社
→当初2013年3月末に100社を目標としていたが、遅れている。理由は去年株価が上がり、組入れを遅らせているため。株価が下がってきたら組入れていく。状況をみて増やしていく。
→会社は均等投資。(今は)1社当たり1.7%。6割の1%を超えたら開示する。
→下がったら買おうと思っているので「待つ」ことができる。規模の小さいところは半年くらいかけて買っている。
→新規に組入れたCOTA、エー・ピーカンパニー、日本空調サービス、カゴメ、HASUNA、  IKEUCHI ORGANICなどについて新井さんがアツイ説明をしていましが、ここは端折ります。

●資産構成 cash:42%、債券:3%、株式;56%(前年cash:37%、債券:5%、株式;57%)
→マーケットが大きく動く局面で株式の比率下げて保守的な運用へ。

●東証1部:62%(前年52%)
→組入銘柄のうち、総合臨床、エー・ピーカンパニー、コタなど1部上場に上がった会社があり、東証1部の比率が上昇。バランスが大事。東証1部の比率は半分程度に抑えたい(凍傷1部の比率が上がるとTOPIXに連動しやすくなる)。今も、マザーズ2社を組入れ中。

●業種:1業種20%以内のルールを守っている。

<運用実績>
●基準価額1万口あたり14,144円(2014.03.31)←12,996円(2013.03.31)
→TOPIXについていくのではなく、期待リターン4%に持っていくのが目標。

●リターン(設定来・年率):10.2 / TOPIX:5.7
●リスク(同):9.2       / TOPIX:20.7 
●リターン/リスク(同):1.1    

 ●リターン
・モーニングスター:12.79% (39位/43本←小型株グロース )
・R&I:12.8%(318位/362本←日本株)

●リスク
・モーニングスター:10.15(1位/43位)
・R&I:10.05(2位/362位)

●シャープレシオ
・モーニングスター:1.25
・R&I:1.27

<3年の実績>
●リターン
・モーニングスター:12.96%
・R&I:12.96%

●リスク
・モーニングスター:10.46
・R&I:10.3

●シャープレシオ
・モーニングスター:1.28(9位/40本)
・R&I:1.25 (7位/342本 )

●投資行動
1銘柄あたり(均等投資で)1.7%保有。比率が上がると売却。
・雪国まいたけを全売却。バングラデシュのグラミン銀行を中核とするグラミングループなどと合弁会社の設立し、モヤシの原料である緑豆の栽培を行い商品化するといっていたが、2~3年たってもできなかった。そうした中で不正会計の発覚。債務超過の恐れがあり、会社に緑豆の件も確認したが、さすがにもう待てないと売却。緑豆の商品化が進まないため、買付は止めていたのでポートフォリオ全体に占める割合は0.1~0.2%程度だった。

・株式比率の下限をいまは55%に設定している。
→ボラティリティが高いときには株式の比率を下げている。(株価の変動が)安定的してきたら70%程度まで引き上げていきたい。
・リスクを10%以内に抑えたいので、逆算して株式のウエイトを決めている。 

●企業業績
・当ファンドは原則組入れた会社を長期で保有。組入れている企業の成長(純資産+配当)がリターンの源泉になる。5%成長していれば、4%のリターンをお返しできる
・今後はインフレ率+4%を実現していかないといけない。

その2へ続く