ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

十四代 秘伝玉返し

2023年05月29日 | 酒と料理と
最初に断っておくが、十四代を手に入れたという話ではない。
この前の回で、十四代に挑もうとする酒があるという話題を出したので、
ついその思い出の十四代が頭に浮かんだという話である。

もう随分昔のこと、阿蘇市が町村合併になる前、まだ阿蘇町の頃。
熊本でも日本酒愛好家には名を知られた酒屋で、「千代の屋」という店がある。
コロナ前には、国酒の会を主催し日本酒の美味さを広く知らしめたという店でもある。
その千代の屋の主人に、あるとき「十四代は手に入らんでしょうね」と訊くと、
「ああ、問い合わせてみましょうね」と気楽なご返事。
数日後連絡があって、「十四代が入りましたよ、ただ本醸造ですが」と。
「いいです、いいです」欣喜雀躍すぐに店に駆けつけたのです。
代金は一升瓶で二千数百円だったような。
今はと、ネットで調べると4~5万円のお値段です。
呆気にとられるというか、馬鹿らしくなります。
酒蔵の高木酒造さんも呆れているというより気分が悪いでしょうね。


十四代秘伝玉返し。5万円はないでしょう。たかが酒じゃないですか

え、味はどうだったかって?
本醸造とは言っても磨き55%とはさすがに十四代ではありまして、目の覚める美味さだった。
さて「千代の屋」だが、この店に関しては私には自慢がひとつあって、
「井筒ワイン 生」を紹介したのは実は私なのだ。
これも随分前の話で、通販の送料を辛抱したいばっかりに「千代の屋」さんに仕入れてもらった。
それ以来「千代の屋」さんでは毎年ワインの新酒が出る頃には井筒ワインの生ワインを仕入れていて、
私はその瓶を見てほんのちょっぴり誇らしく思いながら買って帰るのだ。


阿蘇の酒店「千代の屋」さん。日本酒や焼酎の品揃え、田舎の酒屋にはもったいない

さて、話は飛んだが十四代に挑んだ酒を飲んでみました。
純米吟醸槽口絞り無濾過生酒、限定酒であります。
遙か昔に飲んだ十四代と比べるには私の口は綻びを見せておりまして、比べることは叶いません。
だけど、大変美味い酒で味わいは甘口でしょうか、槽口絞り無濾過の生という酒のせいか、
十四代の玉返しに比べるとよりまったりとした口当たりだが最後はすっきりと終わる感じ。
吟醸なれど香りは穏やかで含み香もそれほど立ち上がりはしないが、これも癖がなくていい感じ。
この酒の名前まだ公開しますまい。十四代のようにプレミアムな金額が付けば、
飲む側にも売る側にも、どちらにとっても不幸であります。
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