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悪夢探偵

2007年01月25日 | 映画
悪夢探偵

ある殺人事件のカギが「夢」だとしたら…、そして他人の夢の中に入っていける男=探偵がいるとしたら…。こんな奇想天外な設定を作り上げたのは、全身が鉄になっていく男の不条理かつサイキックパンクな映画「鉄男」で1989年のローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリを獲り、2002年には「六月の蛇」でベネチア国際映画祭審査員特別大賞を受賞した塚本晋也監督である。
「鉄男」の頃は監督のみならず、俳優として髪の毛を逆立て、アイシャドーを塗りたくったパンクないでたちで(当時は有頂天のケラ=現ケラリーノ・サンドロヴィッチ、など、こういうインディーズ系パンクファッションが流行ってました)、正体不明の怪青年を演じていたが、今回の「悪夢探偵」でも正体不明の“ヤツ”という役を演じている。

「昨年作った映画ですが、海外の映画祭を回ってやっと日本で公開できます」。記者会見での塚本監督は、スナフキン風帽子をかぶったムーミンを髣髴とさせる柔和な面差しで語り始めた。
まずは海外の反応について、「50カ国での上映決定のほか、現在ハリウッドでリメイクを成功させているブラッド・ピットの制作会社(トニー・レオン主演『インファナル・アフェア』をディカプリオ主演『ディパーテッド』としてリメイクに成功)や、『リング』をハリウッドで成功させた制作会社など、約11社の会社からリメイクオファーがきており、非常に光栄に思っています」と、手応えを感じているようだ。

本作については、監督いわく、「なぜ人間は心の中でこんな怖いってことを思うんだろう。極限まで突き詰めてみたい」との思いから、この映画が出来上がったという。監督自身は「夜」が来るのが凄く怖く、母親に、寝ている間1度起こしてほしいといつも頼んでいたという。ホラー的要素以外の人間の根源的な恐怖心理の側面を、この監督は映画という形で浮かび上がらせたいと思っているのだろう。
そんな監督を、主演の松田龍平は「塚本さんが何かをやろうとしているものに対して、周りのスタッフが一緒になってやっていこうとする風景が僕には心地よくて、撮影が楽しく終わりました」と敬意をこめて話す。監督も撮影中に「そっくりのことが時々あった」と回想したほど、今日の松田龍平の窪んだ眼孔や無精髭、顔の傾き、声の出し方は妙に故・松田優作に似ていてドキリとさせられた。
続編も構想されているこの映画の主演俳優は、「新年早々悪夢ですが、その悪夢を楽しめる映画です」と語って幕を引いた。
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<シネセゾン渋谷、池袋シネマサンシャイン他でロードショー中 PG-12>

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