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星槎教育研究所ブログ★相談員の部屋

みんなちがって、みんないい。一人ひとりの宝物を見つけながら。

ビジョントレーニングのすすめ

2009-06-03 13:27:38 | 本の紹介
星槎教育研究所フリースクール・支援センターのスタッフGENです

今回も本の紹介です

『子どもがぐんぐん伸びる目のトレーニングBOOK』



先日私たちが受講したかわばた眼科さんの「視覚発達支援講習」で、
講師をされた米国認定オプトメトリストの内藤貴雄先生の本です。

ご存知のように、私たちが普段キャッチしている情報の約80%は
目からの情報といわれています。つまり、視覚情報を適切に
処理することは、環境に適応するためにとても重要なことと
いえるでしょう。

LDやADHD、アスペルガー症候群といった発達障害
のあるお子さんのなかには、新しいことを覚えること、
体を動かすこと、集中すること、イメージすること、など
が苦手なことがあります。

内藤先生いわく、こうした発達障害のお子さんにありがちな問題が、
「視機能と関連していることがある」、とのこと。

この『子どもがぐんぐん伸びる目のトレーニングBOOK』では、
こうした発達障害のあるお子さんの抱えがちな問題に対して、
視機能からの要因を分析し、対応策をビジョン・トレーニング、
というかたちで提案しています。

すごく分かりやすく、普段子どもたちと関わる人にとってはとても
ありがたい、実践に役立つ具体的な手立てが多数紹介されています。


現在、星槎教育研究所ではビジョン・トレーニングの研究しています。
近々フリースクールや支援センターでも導入を目指していこうと思っています

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重松清『小さき者へ』

2009-05-30 23:05:18 | 本の紹介
星槎教育研究所フリースクール・支援センタースタッフGENです

お勧めの本の紹介です。



発達障害の専門書ではなく、小説ですが…

重松清『小さき者へ』

年齢を問わず重松ファンは多いのではないかと思います。

重松作品には、親と子、先生と生徒など、大人と子どもの
やり取り、関係性のなかで起こる葛藤がよく描かれています。
そういう意味でも、子どもとかかわる仕事をしている僕にとって、
重松作品との出会いはごく自然のことであったように思います。

実際本の中には、思い通りに子育てが進まずに苦しむ親、
生徒の対応に四苦八苦する先生や、いじめに苦しむ子、
環境に馴染めずにひきこもりになってしまってしまった子、
などが多数登場します。

なかには、「あれっ、この子発達障害じゃないの!?」
と感じさせられるような子どもも出てきたりします。

今回紹介する「小さき者へ」は一番最近読んだ作品で、
父親からひきこもりの14歳の息子に対して書かれた手紙に
沿ってストリーが展開される、というものです。
詳しい内容はここでは控えますが、引きこもりの問題が実に
リアルに描かれていると思います。

「キッチンの床はソースやケチャップで汚れ、
割れた卵やこぼれた牛乳が水たまりのように広がった中に、
魚の切り身や豚肉のスライスが浸っていた」
(『小さき者へ』より抜粋)

思春期に引き起こされる激しい葛藤を外でぶつけることができず、
家庭内で暴発を繰り返す息子と、その息子の苦しみに対して
親でありながら、大人でありながらも「何もできない」苦しみが
そこに込められているのではないでしょうか。

以前、重松氏のご講演を聞いたことがありますが、そのなかで
重松氏いわく「小説に出る全ての人物にはモデルが存在する」とのこと。
小説ではありますが、こうした家族内の苦しみは紛れもなく
「リアル」に基づいているのです(もちろん小説はフィクションですが…)。

私たちは現在、不登校や引きこもりの支援を行っています。
支援に当たって、まずは当事者の方々と、「一緒に苦しむこと」が
支援のスタートです。

そして、その苦しみを共有するなかで、苦しみを何とかして
あげようとするのではなく、「苦しみながらただただ待つこと」
が支援をする側に必要なことではないでしょうか。

ご興味をもたれた方、是非読んでみてください

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『ディスレクシアでも大丈夫~読み書きの困難とステキな可能性』

2009-05-19 05:48:46 | 本の紹介
mitsuです。
昨日に続き 藤堂栄子さんの本のご紹介

   実はわたしは NPO EDGEの初年度からの会員でした。
   そして藤堂栄子さんは 星槎大学開学の年に 
   第一期生として入学。
   (私も、一緒に特別支援教育について学んだりもしていました。)

さて、本の紹介です。
キャッチフレーズは
  『この本には、ディスレクシアへの具体的な支援のあり方
   子育てのノウハウが満載されています。』(上野先生の推薦文より)


1600円(税込)/A5判・160頁
送料無料・ぶどう社へ注文

●序文より

親と子のコラボレーションで、すばらしい可能性を見事に示してくれる本
上野一彦先生(日本LD学会 会長)

ディスレクシアは、知的な遅れはないのに、
読み書きに困難を示しやすい発達の障害です。
LD(学習障害)の代表的存在でもあります。
でも、「障害」という言葉から受けるイメージとはぴったりしません。
むしろ非常に個性的で魅力的な子どもや青年たちなのです。
この本は、親子による、お二人の貴重な体験の中から、
自らの言葉で「ディスレクシア」を語り、
そのすばらしい可能性のあり方を示す、わが国における最初の本です。
親子によってコラボレートされた本だからこそ、
ディスレクシアの実感が強く深く伝わり、
また、ディスレクシアを乗り越えるための知恵と工夫、
そして、どのように能力が開花していくのかが見事に示されているのです。
この本には、ディスレクシアへの具体的な支援のあり方、
子育てのノウハウが満載されています。
きっと多くの方々に、たくさんの夢と希望を与えてくれることでしょう。


●序章より

〈ディスレクシア〉という言葉は、ご存じでしたか。
私は息子が「ディスレクシアではないか」と言われて、初めて知りました。
ディスレクシアって、なんでしょう。
ディスレクシアをめぐって、どんなことがあるのでしょう。
私なりにこの10年間の経験でわかってきたことを、
できるだけわかりやすくご説明したいと思います。

藤堂英子

●本の構成
序章 ディスレクシアって、なんだろう

1章 読み書きの困難について
  1 読み書きに困難がある
  2 どうやって読み書きしているか
  3 読み書きの困難を引き起こすもの
  4 読み書きの困難を軽減するには

2章 読み書き以外の困難と得意なこと
 1 困難なこと――こんなにいろいろ
 2 得意なこと――こんなにたくさん

3章 ライフステージにそって ――どう対応すればいいの
  1 幼児期では、どんなことが
  2 小学校低学年では、どんなことが
  3 小学校高学年では、どんなことが
  4 中学校では、どんなことが
  5 高校・大学では、どんなことが
  6 就労では、どんなことが
  7 日常生活では、どんなことが
  8 ディスレクシアをめぐる課題

4章 息子の成長――誕生から就職まで
  1 誕生から、幼稚園入園まで
  2 幼稚園では、のびのびと育った
  3 小学校では、学年が上がるにつれて……
  4 中学は、全寮制の学校で
  5 イギリスに留学して建築を学ぶ
  6 ステキな可能性を開花させてくれた!

5章 僕がイギリスで受けた支援  藤堂高直
  1 どんな困難を持っていたか
  2 イギリスで受けたさまざまな支援
  3 僕が設計したもの

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すべての子どもに通じる子育て~明石洋子さんの本〔自閉症の息子と共に〕シリーズ  

2009-05-02 10:20:17 | 本の紹介
 研究員の本紹介です!

明石洋子さんの本〔自閉症の息子と共に〕シリーズ  ぶどう社

①『ありのままの子育て』
②『自立への子育て』
③『お仕事がんばります』



   毎日の生活に必要なこと

 ~ことば・トイレ・偏食・こだわり・お手伝い・お金など

   ・・・日々の生活の中で、家族の中で、地域の中で、
           どのように教えていくか・・・

   子どもの視点を理解すること、教えるチャンスを見極めること、
        そして、
   母親だけ・家族だけの力ではなく、地域の中で育ててもらうこと
   いろいろなチャンスを生かすのは、知恵と工夫が必要なこと・・・


  明石洋子さんの本には、
   当時、どのように育てていけばいいのか、その指針がない中で、
    体験を重ね、編み出された工夫がいっぱいあります。

     それも、
  自閉症の子どもを育てるために・・・という内容ではありません。
   すべての子どもに通じる子育ての仕方を、
    ご自身の体験という具体的な方法で紹介してくれています。

     そして、
  明石洋子さんの本の中で、にもっともインパクトを与えた一節は・・・

           
   大事なことは、「伝えたい」(話したい)という気持ちを育むこと

           
     ・・・でした

    人と関わって生きていくことは、
  「伝えたい」という気持ちが一番の鍵になっているという事実!
    伝えたい気持ちは、
      自分を表現すること、
     自分を認めてもらうこと、
       そして、
     相手を受けとめること、
      相手を認めること、
       長じて、
     社会で生きる力の原動力と
    となると思うのです。



   わたしたち、「できないことをできるようにする」という目的ばかり
     優先しすぎているような気がするのです。
   そうではなくて、
     その子の持っている力を伸ばしていくことが大切なのではないか
      と思うのです。


       例えば「ことば」
  言葉を知っているだけでは、使えるようにはなりません。

   明石さんは、著書の中で、次のように記しています。

           

    「朝顔」一つ見る場合でも、「朝顔が咲いているよ」という大人の言
   うことばを聞いて(耳に入る)、「朝顔」や「咲いている」という言葉
   の内容を理解し(理解言語)、朝顔を見て、「朝顔さいてるな」と気づ
   いて、朝顔を指差したり、手で触ったりして、これから口から「朝顔咲
   いたね」ということば(表出言語)がでてくる。
    このように、ことばが出てくるまでには、伝えたい(話したい)心が
   育ち、脳の中でいろいろな感覚がうまく統合し、それに応じて口や
   手などの身体も動かなければならないのです。

           


    その子の持っている力を活かして伸ばして、
      伝えたい「心を育てる」ことが、
       一番重要なのではないかと思うのです。

   は、「伝えたい心を育てる」という箇所を読んだ瞬間、
     思わず、自分の授業をふり返りました。

   (心中語)
  「伝えたいという気持ちを育まないまま、授業をしているのではないか?」

  「伝える喜び」を感じさせないまま、「やり方」を示して練習しているだけの
     授業になってはいないか?とふり返ったのです。
 
  「できないことをできるようにする」だけを目的としてしまって、
     心を置いてきぼりにしてはいないかと・・・

          日々、注意していきます!
     「心の育み」に気づかせていただきました。
   いま、は、「ふり返らせてくださってありがとうございます」
   の気持ちでいっぱいです。


    だれかに自分を伝える喜びを知ること、
      伝わる喜びを知ること、
       心が育つことで、
  「伝えたい」という世界は、次第に広がっていきます。
    一緒に何かをするという喜びを得るということから
     一緒に何かをしたいという心が育っていくこと・・・
       これが、
  最終的に自立に結びつき、社会の中で生きていく喜びとなるのだと思います。


        容れものだけを用意する
    ・・・これが、子どもの心の育みを無視する関わりとなっていることを思います。
      「できないことをできるようにする」のは、
    ただ、容れものだけを用意していることになるのではないかと気づきました。


    「お仕事がんばります!」は心からの要求です。
       ことばだけではありません。

    ・・・心を育んでいくことを一番に見据えることの大切さを、
    明石洋子さんの本は、に伝えてくれました。



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内山登紀夫先生の特別支援教育をすすめる本「こんなとき、どうする?発達障害のある子への支援」

2009-04-06 11:10:48 | 本の紹介
3月31日 内山登紀夫先生と細川佳代子さんの
出版記念パーティが
地元神楽坂の日本出版クラブ会館で開催されたので
お祝いに伺いました。

内山先生が監修・出版なさったのは
特別支援教育をすすめる本
「こんなとき、どうする?発達障害のある子への支援」
『特別支援教育をすすめる本』
ライフステージに合わせ、
幼稚園・保育園、小学校、中学校以降 の3種類です。

イラストたっぷりで具体的なとてもわかりやすい本です。


  


第8回スペシャルオリンピックス夏季世界大会に出場した
ダウン症の少女の物語です。
(内容)
障害のあるともこちゃん、世界大会で銀メダル
 スペシャルオリンピックスの理念は「みんなにチャンスを」。
 予選で1番成績の悪かった、障害のあるともこちゃん、世界大会で銀メダル。
 
 少女の奇跡のようなできごとが、みんなの心に種をまきました。
この絵本には、スペシャルオリンピックスの精神が息づいています。
 
認定NPO法人 スペシャルオリンピックス日本 理事長 有森裕子




そこで出会ったのが
川崎市自閉症協会の明石洋子さん。
http://kusabue.web.infoseek.co.jp/greeting.html
そうです!あの「お仕事がんばります」の・・・
そこで 「ようこそ自閉症ワールドへ シネマ&ライブ」の
お誘いを受けたのです。
行ってきました! その話はまた今度。
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三田地真実先生が、『応用行動分析』をいかした子育てハンドブックを出版なさいました

2009-02-26 07:44:17 | 本の紹介
星槎大学で 山口薫学長といっしょに
『応用行動分析』を担当なさっている三田地真実先生が
「 子育てに活かすABAハンドブック
 応用行動分析学の基礎からサポート・ネットワークづくりまで 」を
出版なさいましたので、皆様にご案内いたします。

三田地真実先生は 星槎教育研究所もお世話になっており
昨年の実技研修会でも講座をもっていただき
大好評でした。

☆★★☆☆★★☆☆★★☆☆★★☆
『 子育てに活かすABAハンドブック
応用行動分析学の基礎からサポート・ネットワークづくりまで 』
https://www.space96.com/php/user/item_detail.php?store_id=space96&item_cd=s09012706
著者:三田地真実・岡村章司 監修:井上雅彦 
 価格:2,310円 発売日:2009年01月30日

(内容)

 難解な専門用語を極力使わずに、ABA(応用行動分析学)の重要な考え方を
 解説したわかりやすい入門書!
ABA(応用行動分析学)を初めて学ぶ方向けの入門書・テキスト。
難解な専門用語を極力使わずに、
 ABAの原理・重要な考え方のエッセンスを基礎から解説し、
 ステップ・バイ・ステップで指導の進め方を紹介している。

ABAを取り上げたペアレント・トレーニングの企画・運営方法や
 実際のケース(事例)も具体的に提示しているほか、
 付録として記録フォーム集をつけているので、理論だけではなく
 実践にすぐに役立つ内容となっている。
 
これからABAを学ぼうとする保護者や現場の先生方、
 さらには親の会などでペアレント・トレーニングをデザインする方に
 絶好の一冊。

(目次)

第1部 ABAをベースにした指導ステップ──「やりとり上手」への道
  1 ミニレクチャー──ABAの基礎の基礎
    (1) ABAの真髄(その1)──ABCフレームで行動を見る
    (2) ABAの真髄(その2)──機能的に行動を理解する
  2 ABAの原理をもとにした指導プロセス
                ──ステップ・バイ・ステップで進めよう!
    ステップ1 意味づけ上手への道
          ──何のための指導? 何を目指す? 指導の意味・意義
    をしっかり見据える!
    ステップ2 観察上手への道──しっかり「見る」、全体の中で「見る」!
    ステップ3 ほめ上手への道──強化の原理を応用する!
    ステップ4 工夫上手への道──よい行動をうまく引き出すのがコツ!
    ステップ5 ふり返り上手への道
           ──うまくいかなくても大丈夫! すべては学びの機会

第2部 ペアレント・トレーニングの勧め──ファシリテーションを応用して
  1 ペアレント・トレーニングで目指すもの(その1)
         ──仲間と共にABAの理解・実践を行う
  2 ペアレント・トレーニングで目指すもの(その2)
         ──仲間同士のサポート・ネットワークをつくる
    (1) 「学びと実験の場」として
    (2) 「仲間同士のサポート・ネットワークをつくる場」として
    (3) 「親の会」ペアレント・トレーニングのその後
  3 ファミリー中心アプローチ(ファミチュー)の哲学をベースにした
    ペアレント・トレーニング
  4 ペアレント・トレーニングのプログラムをデザインする
        ──ファシリテーション入門
    (1) ファシリテーションで大切な3つのこと
        ──1番は「ゴールの明確化」
    (2) ペアレント・トレーニングをワークショップ型で行う意味
    (3) ペアレント・トレーニングのプログラムを具体的にデザインする

第3部 ABAを学ぶためのペアレント・トレーニングの実際
        ──リアル追体験してみよう!
  1 第3部のはじめに──実際のペアレント・トレーニングの場面から
  2 具体的なケース集
    (1) ある程度自分でできる行動をターゲットにしたケース
    (2) お母さん自身の行動をターゲットにしたケース
    (3) 生活の流れの中にターゲット行動を組み込むことで成功したケース
    (4) 学校の先生と一緒に取り組んで指導がうまく進んだケース
  3 第3部のまとめ

  付録 記録フォーム集

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えじそんくらぶの本・・・・ニューヨーク州立大学バッファロー校STP 視察報告書

2008-09-18 07:14:15 | 本の紹介
えじそんくらぶ」から出版されている本は
安くて中身が濃くて参考になる本が多い。

以前ここで紹介した
『アスペルガー症候群の理解と対応』
~新しい障害のモデル(ICF)から考える~
A5判 56ページ 2003年2月第1刷 本体価格450円
もそうだ。

今日ご紹介するのは
『ニューヨーク州立大学バッファロー校STP 視察報告書
~子どもの可能性を引き出す支援~』

竹田契一/田中康雄/室橋春光/品川裕香/山下裕史朗/高山恵子他
という豪華執筆陣。
ニューヨーク州立大学バッファロー校夏期治療プログラム(STP)視察報告の他、
広島少年院スタッフ・親の会代表のエッセイも掲載されています。
「参加者の素顔が見える報告書にしたい」という思いで
まとめられたそうです。

9月23日に講演をお願いしている山下裕史朗先生も
特別寄稿なさっておられ
・エビデンスに基づくADHDの短期治療
・ペアレントトレーニングの必要性
・家庭での行動療法的介入
・学校での行動療法的介入・・・ABCプログラム
・ポイントシステムの行動療法
などとても参考になります。

セミナーがまたまた楽しみです。みなさまもぜひ。
ADHDへの支援
「子どもたちがポジティブに変わる! 
~久留米・ADHDサマー・トリートメント・プログラムの取り組み」
講師 山下 裕史朗
久留米大学 医学部 医学科 小児科学 
http://www.seisa.ed.jp/npo/seminar07.html#2
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発達特性の視点を持った
教員・支援員・相談員・親のための
2008特別支援教育セミナー
お申し込みはこちら
http://www.seisa.ac.jp/information/seminarall.html





新刊のご案内「大人のアスペルガー症候群」~一生懸命やっているのに生きづらいのはなぜ

2008-09-09 06:10:44 | 本の紹介
スペース96さんから 新刊のご案内をいただきました。

本の内容をみると いつも私が訴えたいと思っていることが
網羅されているので ぜひご紹介させてください。

コンパス事業に関わっていても
自閉症協会の部会に参加しても
星槎国際高等学校の生徒をみていても、
未診断や中途診断の IQの高いアスペルガー症候群で
二次症状が出ている方が多いのです。
早くわかっていれば、そして理解ある支援があれば
ここまで苦しまなくても・・・と思うことが多いのです。

それを伝えたくて 2007特別支援教育セミナー
「不登校・ひきこもりの背景の発達障害」をやったり、
2008特別支援教育セミナー
「明日からできる子どもの発達を支える理解と支援」をやったり、
このBLOGを書いたりしています。


『こころライブラリー イラスト版 大人のアスペルガー症候群 』
監修:佐々木正美、梅永雄二 価格:1,365円 発売日:2008年08月29日

(内容)
友だちができない……仕事をうまくこなせない
一生懸命やっているのに生きづらいのはなぜ?
あなたの身近に存在するアスペルガー症候群を正しく理解し、向き合おう!

(目次)
第1章 なぜうまく生きられないのか
     アスペルガー症候群/よくも悪くも目立つ、三つの特性
     行動特徴/社会性がなく、失礼な言動をする
     どう考えるべきか/こころの病気ではなく、脳機能のかたより

第2章 人にあわせられない疎外感
     付き合いの悩み/友達のつくり方がわからない
     子ども時代は/少数の友達とだけ、仲がよかった
     どう考えるべきか/付き合いの幅を無理に広げない
     column 友人に頼みたいこと/悪意がないことを知ってもらう

第3章 職場に定着できない無力感
     仕事への無力感/指示されないと、自分からは動けない
     学生時代は/天才肌で、得意科目に自信があった
     どう考えるべきか/指示があれば、期待に応えて働ける
     column 同僚に頼みたいこと/独特の行動への理解を求める

第4章 誤解と非難がもたらす劣等感
     誤解/家族が障害を認めないことに苦しむ
     二次障害/非難され続けて、劣等感や絶望を抱く
     どう考えるべきか/二次障害は対応次第で防げること
     家族に頼みたいこと/障害にいっしょにとりくんでいく

第5章 支援を受けると、生活が安定する
     生活支援/療育手帳や福祉手帳は取得できるのか
     就労支援/支援センターを利用して適職をみつける

『発達障害の心理臨床』~子どもと家族を支える療育支援と心理臨床的援助~

2007-10-25 12:17:33 | 本の紹介
研究員(Mae)の本紹介です。



   『発達障害の心理臨床』
     ~子どもと家族を支える療育支援
                と心理臨床的援助~

     田中千穂子・栗原はるみ・市川奈緒子[編]

                 有斐閣アルマ(1、900円+税)



この本は、発達障害とその支援や療育について「説明すること」「解説すること」を
目的としているので、概要を知るには有益な本です。それぞれの章末に参考文献が
あがっており、より詳しく知るための文献や本を教えてくれています。
また、ところどころに、文学作品として公表された障害を持った人々による独白
小説、あるいは障害を持つ子どもや人々をとりまく物語を紹介しています。
「発達障害へのまなざし」という序のあとには、
   第Ⅰ部「発達障害の理解」
   第Ⅱ部「発達障害への療育支援」
   第Ⅲ部「発達障害への心理的援助」
と続き、発達障害とは何か、障害の診断となる特徴、その障害が持つ特性、保護者
に求められる理解、医療機関が考えていかなくてはらないこと、教育機関について、
支援について、自立に向けて、それぞれのジャンルに分けられ、丁寧に伝わりや
すい言葉で説明されています。
どんなサポートシステムがあるのか、専門職の人達はどんな手助けをしてくれる
のか、家族として保護者として何をしていくべきか、成長という時間の流れとも
あわせて広範な内容が1冊にまとめられいます。



            ~本書の一節より~

        成人期から老人期の心理援助をはじめとして、発達障害をもつ人々
       への心理臨床的援助の世界は、まだよくわからないことがたくさん
       あり、かつ今後需要がふえてくる領域です。もっと親や本人たちか
       ら学び、教わりながら、その実践から得られた理解を共有しあうこ
       とをとおして、少しずつ質の高い援助をしてゆきたいものです。
        障害は治せなくても、障害を抱えて生きていくうえで起こってく
       る問題を解決し、より充実して自分らしく生きていくことへの援助
       が発達障害をもつ人たちへのこころのケアの目的です。そのための
       療育支援であり、子ども時代の援助であり、大人になってからの相
       談であるはずであり、あるべきです。



        ・・・本書末尾の最後の2段落に述べられていることです。
          一生を通した支援から、求められている今後の課題が明確に
          なっているのは、それだけ理解と支援が進んできたことをも
          示しているでしょう。
          もうゼロではありません。
          発達障害を持っている人たちの生のために。
           「わたしがわたしであるために」
           「わたしをわたしが否定しないために」


・・★・・★・・★・・★・・★・・★・・★・・★・・★・・★・・★・・
発達特性の視点を持った
教員・支援員・相談員・親のための
支援員育成セミナー
ご家庭や職場でもDVDで受講できます。
http://www.seisa.ed.jp/npo/seminar05.html



『「障害児なんだうちの子」って言えたおやじたち』

2007-10-12 09:42:03 | 本の紹介
『「障害児なんだうちの子」
            って言えたおやじたち』


   町田おやじの会 著  ぶどう社(1、500円税別)


父親がわが子の発達障害を認めないことで、子どもと母親が実際的な支援も
こころの支援も得られないことがあるのですが、このような父親たちもいる
んだよ、ということを紹介したいなと思い、ここに記します。
この「町田おやじの会」に見えているのは、「障害児の父親」という共通点は
あるものの、子どもが抱えている障害は、発達障害、ダウン症などさまざま
です。
子どもが持っている障害はばらばらなのに一緒に集まって話ができる、、、
大ざっぱに感じますが、子を思う気持ちはみんな一緒という共通点があります。
はじめはわが子の障害から目をそらせていた日々、障害をどのように受容した
のか、妻との育児方針の話し合い、互いの役割、それぞれのおやじがたどって
きた軌跡が見えてきます。
おやじたちの飾りのない言葉「ありがとう」「ごめんなさい」「これからもよろしく」
がつまっている告白書です。



       ~本書の一節より~

   「あなたは泣けていいわよね」って言っちゃった。「今まで私は
   悲しい時に涙一粒もこぼすゆとりも、相手もいなかったけど、あ
   なたは悲しい時に泣けていいわよね」って。ヘコんでるだんなを、
   もうギャフンってところまでヘコましちゃったの(笑)。
   でも、はっきりしているのは、その日から変わったの、だんなは。



        ・・・これは、本書の中にはさまれた「おやじ」ならぬ「おかあ
       ちゃんたちの座談会」の一節です。病院に行き、お子さんが障害を
       持っているという診断を受けた時のことだそうです。
       「おやじたち」の言葉で、自分が変わったのと語るのは本書でいくつも
       見えているので、ここに紹介することをひかえました。
       逃げずに変わっただんなさんの勇気と、母としてこれまでのいろいろ
       なことに、ひとり対峙しつづけた勇気、わたしは二人の強さをここに
       見ます。



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『自閉っ子、自立への道を探る』

2007-10-05 14:27:31 | 本の紹介
    『自閉っ子、自立への道を探る』

      服巻智子    花風社(1,600円税別)



自閉症スペクトラムについての認知が広がるにつれ、療育・特別支援教育を整える
方向に進みつつある状況という現在ではありますが、では、その診断を下された子
どもたちが「どういう大人になるのかな?」という不安を保護者は同時に持つこと
になります。
「自立」が子育てのゴールである以上、保護者の方々が子どもたちの将来について
深く考えていかなければならない課題であることは自明のことといえます。
それに加えて、当事者である子どもたちも同様の不安として抱えることとなる
でしょう。
この本は、自閉症スペクトラを持ちながら、現在大人になり自立の道を歩んでいる
3人の方々のインタビューの形で紹介がなされています。
定型発達の人々にはわからない苦労・苦悩・苦痛、それをどのように自分の生に
受け入れ、生活しているかということがよくわかります。
ただ「わかる」という視点ではなく、どのような点でどこに自立の難しさがある
のかを知るために有効な具体的情報として伝えてくれています。
3人の方のインタビューの後にまとめられている服巻智子さんの「○○さんと
お会いして」の文言は、それぞれの方々の例から考えた自閉症スペクトラムの
人々の就労に関する選択について、習得していかなければならい技術について、
そして、それぞれの方々のすばらしさについての冷静な分析が記されています。
支援する立場にいる者として、どのように「自立」という将来に備えて考えて
いくべきかが、これら3人の方々の歩んでいる道を知った責任を引き受ける
ことになってきます。



         ~本書の一節から~

     私の特徴の一つとして、人の顔を見られない、覚えられないということ
    があります。学校では、当然子ども達の顔と名前を覚えないといけません
    よね。それも新学期早急に。その工夫として、始業式の日に一人一人大き
    めの紙に出席番号と名前を書いたカードを持たせて顔写真を撮ります。そ
    の名前カードは、後にそのまま机に貼って私から見えるようにして利用す
    るんですけどね。写真の方は、A4一枚に全員分が入るようにプリントし
    てパウチし、四六時中持ち歩いて覚える努力をします。この方法を思いつ
    いてからは、ちょっと楽になりました。





      ・・・これは、感覚過敏をもちながら、小学校の先生をしている自閉症
     スペクトラムの方のインタビューの一節です。
     ここにあがる工夫のほかにも、「マイ耳栓」や暖房やプールなど、いろいろ
     挙がっています。
     試行錯誤の上での、さまざまな工夫をしても、なおかつ人間関係という
     大きな問題が立ちふさがってしまうということもわかります。
     仕事をする、生活をするだけでも工夫と努力を重ねた上で、なおかつ、
     人間関係に対応していかなくてはならないのですから、相当な体力と
     精神力が必要です。
     本書では発達障害の方々の就労の選択についても述べられていますが、
     どんなに工夫や努力をしても、体力と精神力の限界を超える場合がある
     ことも考え、やりたいと思う仕事と自身が持っているもの、双方を加味し
     仕事を選択していかなければならないこと、それが自立に向けての支援の
     上で大切になってくることです。


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『怠けてなんかない! ディスレクシア 読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち』

2007-10-05 14:18:24 | 本の紹介
研究員(Mae)の本紹介です

『怠けてなんかない! ディスレクシア
    読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち』

    品川裕香 著  (1,300円税別)岩崎書店


   本書のはじめにディスレクシア(読み書き困難・読み書きのLD)を
   持った子ども(大人も)達の目には文字がどのように見えているかを
   示してくれています。
   文字がダブったり、ひっくりかえっていたり、ゆがんでいたり、、、
   それはとても読めたものではなく、これで「読め! 理解しろ!」と
   言われたら、わたしは怒り出してしまうでしょう。
   「読めるように印刷してから言ってちょうだい!」と。
   文字を認識することが視覚上難しい上に、単語・文・文章として理解
   するなんてできません。
   でも、LDの子ども達は、「きちんと見えるようにして」と怒ることも
   要求することもなく、「なんで自分はできないんだろう」と思ってしま
   うのです。
   それどころか、だめな子・怠けている子というレッテルを貼られてし
   まう、、、
   この本には、6人のLDを持っている方々及び保護者の方々の体験が
   綴られています。
   これから育っていくディスレクシアの子ども達が、わたし達と同じ辛く
   苦しい思いをしないように、、、強い願いが伝わってきます。
   第3章からは、ディスレクシアの子ども達に対する支援の現場を紹介
   しています。
   支援はまだまだ発展途上だという現在でも、専門機関・民間機関・
   学校がこのような方向で進みつつあるという方向を見ることができます。



            ~本書の一節より~

      「このとき、先生は拓也は読めるけど書けない、っておっしゃった
      んですが、実際は読めないし書けなかったんです。家で読む練習を
      して、全部暗記していたんです。教科書を持って読んでいるフリを
      しても、実際は、覚えている文章を当てられた場所に応じておぼろ
      げに諳じていただけ。よく聞くと語尾とかは違っているんです。
      “今日は雨が降っているので、写生ができないから部屋で勉強しよ
      うかなあ”という文章だとすると、“今日は雨だから写生ができな
      いので部屋で勉強しよう”となる。意味はあっているけど、これで
      は読んだことにはならない。でも、拓也のことをよく見ていないと、
      そんな細かいところまでは気がつかないんです」




         ・・・この中の「先生」は、拓也君の小学校1・2年生の担任の先生
        のこと。だとすれば、拓也君は、少なくとも小学校2年生で教科書の
        文章を暗記できる能力と、当てられた時その箇所がわかる授業内容の
        把握ができるという高い能力をもっているのに、と惜しくなります。
        読めないことを知られたくないという気持ち、、、
        だから、丸暗記するほどの努力を重ねる、、、
        このような生活は体力と精神力を消耗させるでしょう。
        しかし、このような努力も伝わらないばかりか、「努力が足りない」
        と自分を責めることをしているのです。
        心も体も倒れてしまう前に気づき支援すること、倒れてしまっても
        支援できる体勢をつくること、あとがきの末尾「先に生まれた人間の
        責務として何ができるか、今後も自分なりに考えていきたいと思って
        います。事情を知ってしまった以上、もはや知らなかったことにはで
        きないでしょう?」
        最後の一文に綴られている言葉は、そのとおり、この本を読んだ者の
        責務だと思うのです。


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「ありがとう」からはじまる特別支援教育 ~阿部先生の『教師の力で明日できる特別支援教育』本日発売

2007-09-13 10:56:06 | 本の紹介
わたしは 阿部利彦先生の「いいところ応援計画」応援員である。

阿部先生には 星槎親の会 星槎大学をはじめ
各種セミナーでお話いただいた。
冷静な分析と熱い思いが あたたかいユーモアにくるまれていて
楽しくて タメになるお話である。 

その阿部先生の新しいご本が、本日発売である。
★ 
『教師の力で明日できる特別支援教育
 スペシャルサポートをナチュラルサポートにつなぐ埼玉県所沢市の挑戦』


柘植 雅義 監修/阿部 利彦 編
本書に寄せて
はじめに
序章 所沢市の特別支援教育の特徴(冒頭)
第1章 特別支援教育を通常の学級でどうすすめるか?(冒頭)
第2章 特別支援教育コーディネーターはどう動けばいいのか?(冒頭)
第3章 子ども,保護者,教師を応援するシステムとは(冒頭)
第4章 学習支援員活用マニュアル/活動ガイド(冒頭)
おわりに

http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D071616%2D6

以下 阿部利彦先生のあいさつ文です。
とても思いのこもった文なので ぜひご一読ください。

はじめに

   「ありがとう」からはじまる特別支援教育

「特別支援教育って具体的に何をすればいいのか?」
「私は専門的知識がないので」
「通常の学級で『特別なこと』をするのは無理だ」
「そんな時間は作れない」

 特別支援教育への期待とともに,
学校現場では不安や戸惑いの声をたくさん耳にする。
我が国では,特に通常の学級において,特定の一人へのスペシャルな,
周りから目立つような支援を実施することは難しいのである。
 その原因の一つは,周りの子どもたちに「寛容さ」が育っていないことにある。「あいつだけずるい」「どうしてあの子だけ特別なの」といったジェラシーが
周囲から湧き上がり,そこから新たな問題が生じる可能性が高いからである。
それなら子どもたちの理解を得ればいい,というのは正論だが,
現実はそう甘くない。
 学生ボランティア等を活用した学生支援員,特別支援教育支援員等の制度も
最近は進んできたが,ただ人員を就けただけでは,
支援対象となる子のプライドを傷つけたり,孤立を招いたりする恐れもある。
また,他の保護者がどう受け止めるかによっても,成果は異なる。
発達障害のある子を支えるべきスペシャルサービスが,
その子をクラスから浮かせ,苦しめているケースが実際多く聞かれる。

 また,現場には,担任クラスに他の教師や学習支援員が踏み込むことに
慣れていない教師や,皆に分け隔てなく接しようとするあまり,
特定の子に特別な支援を行うことに抵抗のある教師もいる。
発達障害に対する理解にしても,管理職から教師や支援員のすみずみまで
浸透しているとは言いがたいのが実状なのである。

 そこで,本書では,スペシャルなサービスを,自然にさりげなく導入し,
その子を支える「ナチュラルなサポート」にしていくための努力を
紹介していきたい。
 通常の学級での自然な支援を構築するための,基本的な学級経営の在り方,
コーディネーターの動き方,子ども・保護者・教師を支える組織の体制作り,
そして学習支援員の有効な活用法等であるが,どの章にも貫かれているテーマ,
それは「さりげなく,ささやかで,しみこむ支援」である。

 子どもが学習でつまずいたり,クラスメイトとうまく関われなかったり,
気持ちの調節が上手にできなかったり,といった「辛さ」や「うまくいかなさ」を
持っている場合,障害のあるなしに関わらず,
その子にあった指導や援助をできる限り工夫していくことが求められる。

 独特の「生きにくさ」を抱えた子どもたちの中には,
「苦しんでいる」と口にできない子,それを認めたくない子,
そのことにすら気づかない子もいる。
「苦しんでいる」サインをより早くキャッチし,
適切な援助の手を差しのべるために,私たち大人が腕を磨くこと,
それが「特別支援教育」の要であると私は考える。

 しかし,子どもが困っている時に何らかの手を差しのべる。
それは,制度やきまりによって行われることではなく,
先に生まれてきた我々に与えられた当然の使命ではないだろうか。
一人ひとりの子どもの特徴に合わせた指導を実践してきた教師にとっては,
ここで紹介する特別支援教育の中身は,決してこれまでと「別の取り組み」とは
思えないはずである。

 「特別支援教育」は,
これまでとはまったく新しい発想や取り組みなのではない。
すでに心ある教師たちが実践してきたこと,
まさに教師の知識と経験と勇気こそが核になっている取り組みなのである。
本書を読んで,それをぜひ感じてもらいたい。

 そして,特別支援教育にはもう一つ重要なことがある。
それは,いつもお互いが周囲の人々に感謝の気持ちを持ちつづけることである。

 例えば,担任が子どもへの対応を少し工夫してくれた時には,
「担任だから当たり前」ではなく,「ありがとうございます」と言いたい。
落ち着きがないと言われる我が子の学習支援のために
毎日学校に足を運んでくれるお母さんには「親だから当たり前」ではなく,
「いつもありがとうございます」と言いたい。
子どもが頑張ってくれている時には,「中学生なんだから当たり前」ではなく,「君が一生懸命でうれしいよ。ありがとう」と。

 「相手への感謝」こそが,人と人が支え合う,
支援の基本であることを忘れてはならない。

 所沢市において,「特別支援教育」ははじまったばかりである。
それぞれの立場で細々と努力していた小さな取り組みが,今つながりはじめ,
花開こうとしている。
完璧な「特別支援教育」等は最初から存在しない。
保護者,教師,専門家,そして子どもたちとで「特別支援教育」という花を
咲かせていきたいと思っている。

 この本はお忙しい先生方や保護者の方のために,
いつもは専門書に向かう時に必要な肩の力をちょっと抜いて,
どの章,どの項目から読んでいただいてもいいように構成したつもりである。
そして,明日から少しずつ実践できるようなポイントをまとめてみた。
もし,この本が少しでも皆さんのお役に立つなら幸いである。

 今を精一杯生きている子どもたちに,お父さん・お母さんに,現場の先生方に,
そして,この本を手にとってくださったあなたに,

心から……「ありがとうございます」。

  2007年(平成19年)5月   編者 /阿部 利彦

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支援員育成セミナー
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『LD(学習障害)のすべてがわかる本』

2007-08-26 06:51:01 | 本の紹介
研究員(Mae)の本紹介です


   上野一彦 監修  講談社〈1,200円税別〉


 『LD(学習障害)のすべてがわかる本』(健康ライブラリー イラスト版)



   
    見開きで1つの項目が説明できるように、イラストとポイントとしての
    文章が配されていて、わかりやすく読みやすい構成の本です。
    イラスト等を含めて、提示の仕方を見ると、読み手にとって親切に作ら
    れていると感じます。
    LDについての知識、実際のLDの子どもの特徴、特別支援教育について
    など、保護者とLDの子ども、教師とLDの子ども、教育機関とLDの子ども、
    それぞれの関わりの場で、どのように接し、どのように学習を進め、
    総合的には、どのようLDの子どもの人生を豊かにしていくかということを
    伝えています。
    「健康ライブラリー イラスト版」には、この本の他に
     『AD/HD(注意欠陥/多動性障害)のすべてがわかる本』
     『アスペルガー症候群(高機能自閉症)のすべてがわかる本』
     『自閉症のすべてがわかる本』
     『ことばの遅れのすべてがわかる本』
    が刊行されています。


 
          ~本書の一節より~

       学習にかかわる要素は、大きく分けると理解の程度、認知、
       やる気です。この三つがそろって初めて、学習が軌道にの
       ります。認知にクセがあると、やる気があっても思うよう
       に学習が進みませんし、認知のクセが少なく理解できてい
       ても、やる気がなければ当然学習はとどこおります。



        ・・・「教育サポート」として述べられている文章の一節です。
           支援ということを考えると、例えば教材を用意したり、
           リソースルームなどの場所を確保したり、など、外側を
           充実させることを考えてしまいます。
           しかし、まず、そこ子について正しく知るということが
           第1であること、そして、その子のやる気というベースを
           作り上げること、その上で、教具や場所などが有効に活用
           できるようになることがわかります。

『軽度発達障害のある子に合わせた理解と対応』

2007-08-17 16:30:31 | 本の紹介
研究員(Mae)の本紹介です

  田中康雄著(北海道大学大学院教授)

                 学研〈2,000円税別〉

   『Q&A「仮に」理解して「実際に」支援するために
       軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた
                             理解と対応』


  保育者、小学校・中学校の先生方から寄せられた心配な子ども・生徒、
  どうしてよいかわからずに対応に困っている子ども・生徒についての
  質問に答えながら、実際の対応・支援を教えてくれます。
  常に、まず初めに考えなくてはならないのは、その子自身の立場に立っ
  て考えるということです。
  現れている行動が、自分勝手に見えたとしても、怠けているように見え
  たとしても、生意気であるように見えたとしても、おおもとの、その子
  自身を見つめることによって、なぜそのような行動となるのかという
  答えを導き出してくれます。
  その子の困っていることを導きだし、困っている原因があるからこそ
  問題としている行動が出てくることがわかります。
  どうしてそのような行動をするのか…、どうしたらいいか・・・。いま、
  悩んでいる先生には、きっとこの本の中の事例に当てはまるものが
  あると思います。
  子ども・生徒に、かかわってきた先生にも、保護者の方にも「ご苦労さま
  でした」「よくがんばってきましたね」という思いやりが、本書では
  度々見えています。
  これまで、本当にごくろうさまでした、さあ、休んで休養をとって、
  一緒に進んでいきましょう、考えていきましょうという言葉が、本書を
  読んでいると伝わってくるのです。



        ~本書の一節より~

      一般的に、注意欠陥多動性障害とは、外からのさまざまな
     感覚刺激に対して、すぐに運動的な反応を示してしまうとい
     う課題を抱えていると考えられています。いわゆる「行動す
     る前に考えることができない」くらい忙しく、待つことや、
     これまでの経験と照らし合わせることや、気分を上手にコン
     トロールすることが苦手と言えます。
      更に重要なことは、こうした行動は、彼らの脳が「正しく」
     命令している結果であるということです。彼らの言動には、常
     に「脳からの正しい指示による自然なふるまい」であるという
     ことを、かかわる者たちは知っておかねばなりません。



         ・・・注意欠陥多動性障害について、わかりやすく示されている
          文章でしたので、思わず注目しました。
          脳の指令として、体が正しく反応しているゆえの特徴的言動
          であることを知らなければ、その子の性格として見てしまう
          ことになるでしょう。
          しかし、その子の性格であると見たとたんに、その子自身が
          見失われてしまうことになります。
          おそらく、実際には、性格として判断されている子どもが多
          いのではないかと思います。
          その子は、まったく悪くないのです。むしろ、正しく行動し
          ていると言えるでしょう。
          その子自身が見失われてしまわないように、行動の特徴と認
          識させ、行動の特徴をコントロールする力がつくようにする
          ことが、かかわる者が行うべき支援だと感じました。