「ご覧なさい。あの 詩 が見えて?」 (中略) 「あたしなら寧ろ、絵と言うわ」 と ジェーン は、 「詩とは行や節の事を言うのよ」 「あら、そうじゃないわ」 アン は、・・・・・頭を強く振った。 「行や節は詩の外観の衣裳に過ぎないのよ。 丁度、あんたの襞縁や、飾り襞が、 あんたではないと同じように、 行や節自体が詩ではないのよ。 本当の詩はそういうものの中にある魂の事よー そしてあの美しい一編は、 文字に書き表してない詩の魂なのよ。 詩を見る事はそう、始終は望めないわー 詩の魂 だって、そうよ」 【「アンの青春」 第13章】 |
昨日の雨は朝には上がり、春本番の暖かさです。
今日は本当に穏やかな一日。しかしながら、昨日は春一番も。
こちらはそれほどでもなかったのですが、
台風並みの風が吹いた所もあったようですね。
立春から春分までに吹く暴風を 「春一番」。
感性の豊かな日本人らしい言葉だと思うのですが、
元は漁師の言葉だったそうですね。
“これが吹かないうちは漁に出ない”
西日本一帯で使われるようになり、
やがて、気象用語になったそうですね。
そう言えば、漁師さんたち、常に自然と対峙(たいじ)
しているのですもの。気象に敏感で詳しいのも納得です。
【「スコットランドの釣鐘草」 ~ スコットランド民謡】
さて、前述の記事から連想した事。
漁師から海、そして春一番、俳句の季題、詩人、
果ては海から防人(さきもり)、最後は万葉集へと・・。
所謂(いわゆる)、お得意の想像の連鎖。
申すまでもなく、万葉集には飛鳥時代から奈良時代までの
天皇や貴族の歌に始まり、名も知れぬ防人の歌まで
4500首余りもの歌が収められています。
防人と言えば、辺境を警備する兵士の事。
そんな名もない貧しい若者たちまで歌を詠んでいたのですものね。
日本人って、詩人の魂を持つ民族・・だと思うのです。
「梅の花咲きて散りなば桜花
継ぎて咲くべく成りにてあらずや」
~薬師張子福子
「春の苑くれなゐにほふ桃の花した
照る道に出で立つをとめ」
~大伴家持
言葉の意味など良く分からなくても、
大らかさ、素朴さ・・十分、伝わって来ますね。
声に出して読んでみますと、尚更心に響きます。美しい言葉。
こんな美しい言葉をさらさらと筆文字でしたためたら、
どんなに素敵でしょう。そう思って取り出した、便箋と筆ペン。
本当は仮名文字をさらさらと書ければ良いのですが・・。
たまたま横書きの便箋。ならばと・・。
でも愛用の筆ペンで、英文字がスムーズに書ける事を知りました。
和から洋まで自由自在の筆ペン。益々、好きになりました。