【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

昭和史発掘~その1

2012-06-06 16:16:56 | 心の宝石箱





                                 【トラディスカンティア】
   昨日とは打って変わって
  快晴の空となりました。

   青空にたなびく白い雲を
  眺めているだけで、
  癒やされます。

   こんな日は蝶も千客万来。
  今日は、いつものアゲハ蝶とは
  違う青い蝶が飛来。

   生憎、止まる事はなく、
  何処とも知らず飛び去って
  しまいました。

   この蝶、以前にも見掛けた
  事がありますが、
  その時も今日と同じ。

   いいえ、あの時よりは
  滞在時間が長かった事を
  せめて喜ぶと致しましょう。

   でも良くしたものですね。
  今、トラディスカンティアの
  白い小さな花が満開。
  まるでそれは白い蝶が飛んでいるよう。

   今日は、これで満足するとしましょう。
  アン ではありませんが、想像力はこんな所でも役立ちますね。








   


   さて平成も24年。
  いつの間にか昭和も随分、遠くなったように感じる昨今です。

   そんな中、松本清張ファンを自認する私としては、いかにも遅く、
  やっとの事で、「昭和史発掘」(全13巻) の1巻を読み終えました。

   「昭和」 となりますと・・。
  吉屋信子でお馴染みのセピア色の部屋へ。
  何せ、昭和にどっぷり浸かる訳ですから。

   この本は、斜め読み出来ませんから
  落ち着ける場所がいいのです。
  ~なんて。

   1巻は薄い本ですのに、結構、
  時間がかかってしまいました。
  こんな調子ですから、まだまだ先は長いですね。

   尤も他にも色々する事があり、
  中断を余儀なくされた事もあるのですが・・。
  そのため又々、元に戻り・・という事の繰り返し。

   思った以上に時間はかかってしまいましたが、
  だからと言って面白くないという訳ではないのです。

   重い事件の連続である事には間違いありませんが、
  どれもこれも教科書では決して習う事のない歴史上の事件。

   それらが文体は淡々と、内容は実に仔細に綴られているのです。
  所謂(いわゆる)、小説ではなく、ドキュメンタリーですね。
  おまけに清張お得意の検察調書的手法も至る所に。

   この1巻は、「陸軍機密費問題」、
  「石田検事の怪死」、「朴烈(ぼくれつ)大逆事件」 の3篇です。

   「陸軍機密費問題」 は、今も昔も政治家のお金にまつわる問題を
  あぶり出していますし、「石田検事の怪死」 は
  文中にもありましたが、下山国鉄総裁怪死事件を彷彿させます。

   この篇ではミステリー要素たっぷりですから、
  氏の筆も冴えるという訳です。
  ~なんて。これこそ、私の先入観というものでしょう。

   それにしても・・いつの世も権力に屈せず、
  清廉潔白に物事を進めようとしている者(石田検事)への上からの圧力。

   大正15年という時代背景もあるのでしょうが、
  正しい事をやり遂げようとすると消されて? しまう理不尽さ。
  つくづく考えさせられます。

   そして 「朴烈大逆事件」。
  この事件の内容は、朝鮮人朴烈が内妻金子文子と共謀して、
  爆弾を持って摂政宮(天皇)を暗殺しようとたくらみ、
  爆弾の入手準備中だったというもの。

   前述の事件も根元となったのは、この事件のようです。
  死刑判決の後、減刑され無期懲役。金子文子は獄中で自殺。

   しかしながら、この事件をも検察の “でっちあげ” とか。
  検察、刑事などがある目的(意図)を持って誘導する事の
  怖さを思い知らされます。それは以下のように記されています。




朴烈事件は、朴烈と文子との
過剰自供がうまうまと立松判事の策略にかかって
刑法第73条にでっちあげられたのである。
この条文には予備行為も大逆罪として成立すると
あるが、朴烈と文子の場合はその予備行為すら
具体的に証明するものがない。
彼らの供述をみても、爆弾を手に入れたら
天皇と皇太子に投擲するつもりだったと
言うのみで、現実には爆弾の入手方法も
立っていない。爆弾は幻なのである。
(中略)
とにかく、立松判事の成功は、
朴と文子の心理状態をよく読んだのと、
例の予審廷での優遇によったとみるべきだろう。                      
                  【松本清張著 「昭和史発掘1」】