東野 圭吾さんの、久々の 純ミステリイといふ作品。
東野さんは、立て続けに刑事が登場する社会的なミステリイを発表されてゐたが、この作品では完全なるミステリイに徹してゐる。
第一章から第五章まで、「ナミヤ雑貨店」を取り巻く話となつてゐる。
第一章で、犯罪をしでかした後らしい、若者3人が「あばらや」へ向かふ。そこはとつくに閉店した雑貨屋なのに、なぜかポストに手紙が投函された。
その手紙は「悩み相談」だつた。
面白半分に回答して、返事を牛乳箱に入れると、なぜかすぐにその回答に対する返事が来た。これはどういふことなのか?
ミステリイから幕を開け、この第一章の悩み相談を始めとして第二章から第五章まで、物語りが展開していく・・・・・
東野さんは、人の心情を描くのが大変上手い作家であるが、このミステリイもその特色が生かされてゐる。
ミステリイなので、作品の詳細は書かない。ここで読むよりも作品を読んでほしいからだ。
最後の最後の、ナミヤ雑貨店の返答には、涙した。 常に社会を見つめる東野さん。社会の様相を作品に反映させていく東野さん。
若者の職がない、等若者が未来に希望が持てないといふ暗いニュウスをマスゴミが流してゐるが、東野さんはそれを蹴飛ばし、自分次第なのだと伝へてくれてゐるやうに思ふ。