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2011年01月14日 14時14分42秒 | 東野 圭吾

東野圭吾さんの作品。

東野氏の作品には、社会の風潮や出来事があちこちに散りばめられてゐるがこの作品も「政治不信」を引き起こしてゐる「腐敗」を背景に、殺人事件の犯人を追う警察の姿を上手く描いてゐると思ふ。

女性の絞殺体が発見される。殺害現場から発見された一本の毛髪から、「DNAプロファイリング」鑑定法により犯人に最も近い人物が報告される。

DNAプロファイリングとは、血液型や推定身長体重・体格、人相、体質とそれによる病気、容貌だけでなく、東京都**区在住の++子、この女性の三親等以内に犯人はゐる、といふ結果まで導き出すものであつた。

そのプロファイリングにより、犯人が逮捕されるのだが警察は犯人を絞り込んだ過程において「目撃情報を得た」といふことにする。なぜ、プロファイリングシステムといふ本当の理由を発表できないのか - 捜査一課の浅間は疑問を持つうちに国民にDNAを登録させ、遺留物を検索したときに、関係者が出てくるシステムの開発が進んでゐることを知る。

「DNA登録」とはプライバシーの侵害と考へる浅間に対し、プロファイリングシステムの神楽は既に法案が国会で通ることとなつてゐること等を告げる。その法案が成立しその後、政府は国民に「DNA登録」を呼びかけ始める。犯罪抑制に繋がるといふのが建前なのだが・・・・

しかし、その後起きた殺人事件ではシステムは「該当者なし」といふ"Not Found" を示す。NF13と呼ばれる犯人と、システムに登録データが不足してゐると考へて動いてゐるうち、システム開発に重要な人物らが殺害される。

年金問題等、「何があつても自分たちは安全に」を考慮しながら動く官僚、政治家らの姿勢をシニカルに描いて行く。それらに加へて、ファンタジツクな面もあり・・・

やはり東野さんは「人間」を描くのが上手いな・・・ さう思ふ作品であつた。



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