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黙秘 裁判員裁判

2010年07月25日 20時50分37秒 | 司法・法曹
小杉 健治さんの作品。
 
小杉氏は裁判や土地家屋に関する不動産を扱つた作品が多い。法律を専攻したあたくしと
しては、興味深いテエマが取り上げられてゐるので何冊か拝読してゐる。
 
この作品は・・・
最後、感動といふか感涙といふか
あれを「甘い」 「人間そんなに甘くない」等の意見もあるだらうが
こんな人間関係が築けるといひなあとしみぢみ思ふ、人間関係が描かれてゐた。
 
裁判員裁判が開始されて1年以上経つ。
裁判員裁判に関する本には、制度の欠陥が指摘されたり裁判員裁判を扱つた小杉さんの別作品や冤罪の体験本を読んで、裁判員裁判と裁判そのものに関する疑問があつた。
 
この作品は、その「疑問」を描きそして最後に奇跡のやうな人間関係が描かれるといふ
ものである。
 
内堀 優一郎は殺人容疑で逮捕され、裁判員裁判の被告人となる。
彼は結婚真近の一人娘をストーカーを繰り返してゐた男に車で轢き殺される。
しかし、その男は殺人罪ではなく交通事故の過失傷害として処分され、3年で交通刑務所から出てきた。
 
今回殺された被害者はこのストーカーを繰り返してゐた男であり、内堀優一郎は「娘の仇を
取つたのでは」として逮捕されるが、否認を続ける。
優一郎は事件の肝心なことになると、「黙秘」を貫くのであつた。
 
警察と検察官は、優一郎が犯人であると主張する。
しかし、優一郎の弁護を自ら買つてでた鶴見弁護士は「優一郎は無罪であり犯人はほかにゐる」とほのめかすのであつた。
 
優一郎のほかに犯人としての動機がある人物は誰か
物語は裁判の進行であらゆる可能性を示唆していく
 
「疑はしきは被告人の利益に」
裁判の前提であるこの言葉を鶴見弁護士は裁判員らに言ひ、判断を促すのであつた。
 
真犯人は誰なのか
真犯人が被告人とされてゐる人物でなかつた場合、警察と検索は最初から「可能性」から
外してをり、取り逃がしてゐるのである・・・・・
 
築かれてゐた人間関係だけでなく、それをもこの作品は指摘してゐる・・・・


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